第二回

ヘロイン密輸組織を叩き潰す.
女子留学生が麻薬を運ばされる!

脚本:柏原寛司 監督:西村潔

調査開始

ここはゴッドの屋敷.ゴッドがワインを出しながらサファリに聞いた.
ゴッド「車かね?」
サファリ「はあ.」
ゴッドは自分のグラスにワインを入れた. そしてもう一つのグラスにもワインを入れた.
サファリ「車ですよ.」
ゴッド「酔ったくらいで車の運転を誤るようじゃあ, ハングマンとして失格じゃあないのかね?」
とんでもないことを言うゴッドにサファリはこう返した.
サファリ「有能な部下に無意味な危険を強いるようじゃあ, ゴッドとしては失格ですよ.」
ゴッドは一瞬顔をしかめたが,すぐに表情を元に戻し,瓶をテーブルに置いた. そこへ?女がご馳走を運んできた.
?女「お待たせいたしました.」
?女は皿をゴッドとサファリの前に置いた.
?女「どうぞ.」
サファリはお辞儀をした.
サファリ「今日のメインディッシュはステーキだと聞きましたが, その前に蒟蒻ですか?」
そう.運ばれてきたのは蒟蒻の刺身だった.
ゴッド「蒟蒻の刺身も少し菊の花」
サファリは怪訝な顔.
ゴッド「芭蕉の句じゃよ.」
ゴッドは笑いながら蒟蒻の刺身を食べた.仕方なくサファリも食べた. 味はサファリの好みにもあったらしい.続いて?女はメインディッシュを出した.
ゴッド「さあ,お待ちかね.ステーキじゃ.」
一口食べたサファリは
サファリ「やっぱり蒟蒻じゃありませんか.」
ゴッド「うん.蒟蒻は健康によろしい.それに消費量の90%が国産だからねえ.」
サファリは怪訝な顔.
ゴッド「輸入となれば中間の業者が入ってきて問題が多くなる.うん. そうは思わんかね?」
サファリ「今度の仕事に関係あるんですか?」
ゴッド「ま,食べたまえ.」
サファリ「はあ.」
仕方なくサファリは蒟蒻のステーキを食べた.
ゴッド「後の3人の分も用意してある.」
見ると蒟蒻の刺身と味噌が4人分,折り詰めに入っていた.

ゴッドの屋敷から帰ったサファリが指令を説明した. 前尾建造46歳は東亜不動産の営業係長だったが, 1週間前に自宅のマンションから飛び降り自殺していた. 前尾にはサラ金数社から約700万円ほどの借金があった.その返済に困り, 自殺したのが警察の発表.だが,ここ半年の間に似たような自殺が, あと2件あった.井上けいいちと言う男と桜井ゆたかという男の自殺だ. この二人もサラ金数社から約600万円借金していた. クレイはサラ金を叩けばいいんだろうと言ったが,サラ金には問題はなかった. この3人の共通点はアメリカに留学している娘がいると言うことだ. そして3人とも欧米留学生協会を通じてアメリカに渡っていた. ゴッドは3人の自殺の原因がこの留学生協会にあると見ていた. さらに留学した娘達はアメリカで行方不明になっていた. 前尾の娘れいこ(広田玲央名)が捜査の糸口になるかもしれない.

クレイが問題の欧米留学生協会へ行ってみると, そこは花咲整形外科という医者に変わっていた. そこへ不良の男と女が原宿までやってくれとクレイに声をかけてきた. クレイはガス欠だとごまかしたが,男は聞き入れず, 乗車拒否するのかと因縁をつけ,クレイに車から降りろと言ってきた. そして車から降りたクレイは男に殴られてしまった. 早速花咲整形外科へ行くクレイ. 花咲整形外科は10日程前に入居したばかりだと言う. クレイは欧米留学生協会の転居先を聞いたが,看護婦は知らなかった. 立ち去ろうとしたクレイに看護婦は顔を治さないかと言うのであった.

オショウは週刊誌の記者と称して,宮坂清次(片岡五郎)の事務所である, 宮坂弁護士事務所を訪れた.宮坂の話だとかなりいい加減な組織だという. 現地にホームステイできると称して生徒を集めるが, 現地へ行ってみるとホームステイ先は決まっていないわ, 大学へ入る段取りもつけていないわ, 帰国の飛行機さえ予約していないわと詐欺同然のことを行なっていた. 留学生達は帰るに帰れないので親御さんから飛行機代を送ってもらっていた. 留学費用70万円を前もって納めることになっていたので, 親御さんにとってはかなりの負担になる. 続いてオショウは前尾れいこのことを聞いた. れいこはロサンゼルスでアルバイトをして英語を勉強したいと言っていた. オショウは前尾の証言か,それとも欧米留学生協会の話かと聞いたが, 宮坂は依頼人の秘密を守らなければならないという理由で答えなかった.

さてサファリは前尾の妻を見張っていた. 掃除をする前尾の妻(柳川慶子)を物陰から, 前尾の娘れいこが見ていることにサファリは気がついた. そこへ怪しげな男が二人やってきて,れいこを連れ去ってしまった. サファリは男達とれいこの乗る車のあとをつけた. 早速ジャッキーからクレイに無線が入った.
ジャッキー「サファリからの緊急連絡. 品川59と1428の車が明治通りを渋谷方面に向かって走行中.至急追尾するよう, どうぞ.」
クレイ「どういうことだ,どうぞ.」
ジャッキー「その車に前尾れいこが乗ってるのよ.」
クレイ「了解.」
サファリは追跡したが赤信号.構わずスピードを上げたが, 警官に止められてしまった.仕方なく,サファリは車を止めたが, 信号弾を発射して男達の車に発信機を取り付けた. 警官がサファリの免許証を見るのを横目に見て,クレイはサファリを冷笑. 続けてクレイは追跡を開始した.問題の車は麻布十番3丁目で車が止まった. アジトでサファリ,オショウ,ジャッキーがそれを確認. そこへクレイが帰ってきた.クレイも「いろいろあって」見失ってしまったのだ.
サファリ「人のことは笑えないなあ.」
オショウ「汚名挽回に麻布十番へ行ってみるか.」
汚名返上の間違いじゃないのか,オショウ.不審に思うクレイにオショウは, サファリが信号弾を打ち込んどいたことを説明した.
クレイ「そうかい.結局,俺,信用してなかったってわけか.」
サファリ「そうじゃない.確実をきしたってわけだ.」
クレイ「それが信用してねえっつうんだよ.」
サファリの肩をクレイがつかんだので
オショウ「ま,もめるなって.」
ジャッキー「怒ることないじゃない.見失ったんでしょう,結局は.」
クレイ「女は黙ってろよ.」
ジャッキー「あーら,光栄.女と認めてくれるなんて.」
クレイ「いいかい.今度,俺をガキ扱いしてみろ,タダじゃすまねえからな. で,車,どこに止まったんだって?」
オショウ「麻布十番3丁目だってさ.」
クレイ「そうかい.今度は俺がきっちり調べてくっからよ.」
出て行くクレイを見送ってオショウがしみじみと言った.
オショウ「若いというのは素晴らしい.」
サファリはハングガンを取り出した.それを見たオショウが忠告した.
オショウ「今回はクレイだけに任した方がいいんじゃないか?」
サファリ「カンボジアで戦っていたとき,俺の班に無鉄砲なアメリカ人がいた. ある日,奴に敵のキャンプの拙攻を命じた.だが奴は翌日死体で発見された. キャンプの敵の人数を見て自分独りで片をつけようとしたのさ. 奴は自分の力を過信しすぎた.」
ジャッキー「なによ,その銃.」
サファリ「サンダーブロウと言ってねえ,人を殺さないための銃さ.」
オショウ「人を殺さない銃.気に入ったねえ.」
サファリ「ハングマンにはピッタリだ.」

血気にはやるクレイは問題の車が止まった, 麻布十番3丁目にあるマンションの地下駐車場へやって来て, 問題の車を発見した.その車は503号室の山田という人物の場所に止まっていた. クレイは503号室の山田の部屋の前へやってきた. そしてドアにマイクをつけて盗聴してみると
男「ここを出るなって言っただろう.」
女「ちょっとぐらいいいでしょう.」
男「大事な仕事が残ってるんだ.出歩いて知り合いにでもあったら, どうするんだ.おとなしくしていたらまたいい目を見さしてあげるよ.」
とここまで盗聴したクレイは呼び鈴を鳴らした.男の部下が外を覗いてみたが, 誰もいない.また呼び鈴が鳴った.男の部下はまた外を覗いたが誰もいなかった. 男は部下にドアを開けさせた.クレイは部下を殴り倒し,男も殴り倒した. 前尾れいこを救い出そうというのだ.しかし油断したクレイは, 別の部下に後ろから殴り倒されてしまった.サファリの懸念が当たったのだ.

クレイが気がつくと,クレイは銃で狙われていた. 男はクレイにここへ来た目的を聞いたが,クレイは答えなかった. 男はクレイに薬を注射した.夜になり,クレイが気がつくと
男「またそのうちにこいつが欲しくなる.自分の方から喋る気になるさ.」
クレイはヘロインを打たれていたのだ.クレイはトイレへ行くと言って, 立ち上がった.そしてその隙をついて前尾れいこを部屋から連れ出した. クレイはれいこを連れてエレベータに乗ったが,1階に着いた途端, 男達に気づかれた.なぜかれいこは逃げようとしなかった. クレイは何とか車に駆け込んだが,銃で狙われ絶体絶命.
クレイ「来週に続くってわけにはいかないのかねえ.」
と言った途端,非常ベルが鳴り響いた. 見ると男達の後ろにハングガンを持ったサファリが立っていた 呆気に取られる悪党達.男の部下は拳銃を向けたが, ハングガンの敵ではなかった.
サファリ「銃を捨てろ.」
男達は手を挙げた.オショウも駆けつけ,クレイ達は逃走に成功した.

れいこは目隠しされてアジトへ連れ込まれた. 大丈夫なのと聞くジャッキーにクレイは1回だけでは中毒にならないと答えた. そしてれいこの目隠しを取ってサファリ達はれいこに質問した. れいこは姿を消した理由を答えようとしなかった. オショウは前尾が自殺したことを告げた.
れいこ「お父さんのことなんて知らない.娘が困ってるのに, 何にもしてくれない人なんて父親だと思ってない.」
サファリ「何でまた?」
れいこ「留学生協会がインチキでロスで足止めされてるときに, 飛行機代を送ってもらえるように何度も何度もお父さんに電話したの. でも,とうとう送ってくれなかった.」
オショウは驚いた.
オショウ「ちょっと待ってよ.俺が聞いた話と違うなあ. 君は確か英語の勉強をしたいからってロスへ残ったんじゃないの?」
れいこ「そうじゃないわ.」
クレイ「君がロスから直接親父さんに電話したのか?」
れいこ「山田さんが代わりにかけてくれたの.」
クレイ「山田さんってのは,さっきのマンションの?」
れいこ「お金に困ってる人達はみんな山田さんのお世話になったの.」
ジャッキー「じゃあ,あなたの他にロスに残った人はいるの?」
れいこ「あたしだけよ.」
突然,れいこは苦しみだし,ハンドバッグから箱を取り出した. ピンときたサファリが箱を取り上げて調べると, 注射器とヘロインの袋が入っていた. ジャッキーがれいこのパスポートを調べると, れいこは行方不明になっていた3ヶ月の間に, 3回も日本に戻っていたことがわかった.
オショウ「これはかなり計画的だなあ.まず彼女をヘロイン中毒にさせといて, 家族とは連絡取らせないで,その間,何かやらしてたってわけだ.」
サファリ「わかったよ,蒟蒻問答のわけが.中間業者,運び屋だ. 彼女を運び屋として利用し,ヘロインを密輸させていたんだ. 留学生なら税関も見逃し易い.」
ジャッキー「それで彼女をヘロイン中毒にしたのね.」
そこでオショウは宮坂弁護士を当たることにした. サファリはジャッキーに留学生協会を当たらせることにした. クレイはれいこの相手をしていたからだ.

その頃,れいこは禁断症状に苦しんでいた.クレイは一生懸命, 彼女を介抱していた.オショウは宮坂の事務所に忍び込んだ. そして調査依頼記録の前尾建造の調査結果の欄が空白になっていることを知った. ジャッキーは山田の部屋を訪れたが,そこはもぬけの殻だった. バイクで去るジャッキーを山田の部下の車が追った.その頃, サファリは前尾の妻のところを訪れた. 前尾はれいこが行方不明になるやいなや宮坂に相談. 宮坂はロサンゼルスの知り合いに連絡をとって調べ, れいこは現地のマフィアに捕まって売春をさせられるという, 調査結果が得られたと前尾達に伝えていた. マフィアから引き戻すには大金がいると宮坂に言われ, 前尾はサラ金から金を借りた.そして宮坂を通じて数回に分けて, 約600万円ロサンゼルスへ送金したのだ.サラ金の取立ては厳しくなるが, れいこは戻ってこない.そこで前尾は宮坂に相談に行ったが, その帰りに前尾が自殺したというわけだ.前尾の妻は家を処分し, 一人でアパートに住んでいた.

さてジャッキーは尾行に気がつき,渋谷で車も入れないような裏道へ逃げ込んだ. 車を降りた悪党達の後ろにジャッキーが登場.
ジャッキー「何でつけてきたの? あたしが魅力的だから?」
悪党はそれに答えず,マンションに来た理由を聞いた. 悪党は銃を出してさらにジャッキーを問い詰めようとしたが, ジャッキーの投げた球の敵ではなかった. 球から出た粉を吸って悪党達はむせてしまい, 苦しむ隙にジャッキーは逃げていった.

前尾の妻の家から帰る途中,サファリは喪服を着て帽子を被り, ベールで顔を隠し,骨壷を持った女に呼び止められた. 車を止めたサファリは車から降りた.
サファリ「どうぞ.」
女を助手席に乗せた.車を発進させずに
サファリ「ご愁傷様です.」
実は女は?女だった.?女はお辞儀をした.
サファリ「どちらまで?」
?女は骨壷を渡した.
サファリ「いや,あのう,ちょっと.」
?女はベールと帽子を脱いだ.驚くサファリを尻目に?女は骨壷を開けた.
サファリ「驚かさないで下さいよ.」
?女「皆さんのギャラと経費ですわ.」
サファリ「え?」
覗いてみると骨壷の中に札束が入っていた.
サファリ「今度から,あまり凝らなくて結構ですから.」
?女「細心の注意を払えと,ゴッドの命令です.」
サファリは骨壷を持って首をかしげるのであった.

れいこの苦しみは頂点に達した.クレイは上着を掛け, れいこを抱き寄せて一晩付き合うのであった. ついにれいこは禁断症状に打ち勝った.
サファリ「終わったな,彼女の戦いは.」
クレイ「よくがんばったよ,この子.」
サファリ「ふん.お前がいたから頑張れたんだよ.」
クレイ「俺がいなきゃ,もっと頑張れたかもしれないぜ.」
その頃,山田は「コスモ留学生協会」という事務所で, れいこの居所がまだつかめないのかと部下を問い詰めていた. 山田は宮坂の事務所に週刊誌の記者が来たことも知っていた. 山田はれいこの始末を指示.部下は前尾の妻を見張ることにした. 部下が出た後,山田は宮坂の事務所に電話した. その電話をオショウが盗聴していた.宮坂はれいこの件を確認. 山田は部下の大津達に任せていると答えた.宮坂は他の女を捜せと指示. 物の受け取り日が翌日なのだ.宮坂はかぎ回っている連中の始末も指示した.
オショウ「緊急指令トラトラトラだ.」
タイガーキャブの車は産業ロボットの操作により, 緑ナンバーから白ナンバーに変えられ,ボンネットから虎のシールがはがされ, 虎のエンブレムが屋根からはずされ,色も塗り替えられた. そしてハングマンは出動した.

ハンギング

クレイはれいこに言った.
クレイ「ここを出るまで,これつけてくれないか.」
れいこは目隠しを持ちながら言った.
れいこ「あたし,お母さんに会えない.ヘロインの密輸をやっていたんだし, お父さんが自殺したんだって,あたしが原因なんでしょう.」
クレイはれいこを慰めた.
クレイ「密輸はやってたんじゃなくて,やらされてたんだろう. それに親父さんは自殺なんかじゃないよ. 奴らに金を搾り取られた上に殺されたんだ.」
驚くれいこ.
クレイ「落とし前は俺達がつけてやるよ.」
クレイはれいこを母親のアパートへ連れて行った.
クレイ「行けよ.後の始末は俺達がつけてやるよ.」
れいこ「誰なの,あなた達?」
クレイ「言わぬが華さ.センチメンタルは嫌いなんだよ. 別れはあっさりした方がいい.」
クレイはドアを開けてやった.
クレイ「いい女になれよ.」
そう言ってクレイは去って行った.れいこはアパートに入り, 母親と久しぶりに会うのであった.

クレイは車を止めた.そこにはサファリ,オショウ,ジャッキーがいた.
オショウ「ラブシーンは終わったのかい?」
クレイ「もうちょっと時間があれば楽しめたんですけどね.」
みんな笑った.
クレイ「敵さんは本当に来るのかい?」
サファリ「下にもう来てるよ.」
大津達が車を止めていた.
サファリ「よーし,片をつけようぜ.」
クレイはグローブをはめながら言った.
クレイ「俺にやらしてくれねえか.本気で殴りゃあ, 葬儀屋が儲かるだけだからよう.」
そしてアパートに着いた大津達二人をハングマンが取り囲んだ. 大津達はクレイに殴り倒され,サファリ達は高みの見物.

山田の事務所に大津から電話がかかってきた.れいこはやったというのだ. この電話はハングマンに脅されて掛けさせられたもの.その頃, 前尾の妻とれいこのアパートにハンギングパーティーの案内状が届いた.
サファリの声「あなた方を苦しめ,お父さんを殺した悪党共のハンギング・ パーティーが行われます.是非ご出席ください.」
日時は9月26日金曜日午後4時.場所は港区芝浦 芝浦桟橋の「No. 1倉庫」

車で出ようとする宮坂にオショウが声を掛けた.
オショウ「お帰りですか?」
宮坂「まだ調べてるんですか?」
オショウ「いやいや.もう調べは終わりました.後はもう何するだけでね.」
宮坂「何って?」
オショウ「いや,ハンギングですよ.」
オショウはライターでタバコに火をつけようとした.
宮坂「ハンギング?」
と言った途端,オショウのライターから催眠ガスが噴射され, 宮坂は眠らされてしまった.
オショウ「へ,へ.使える,こりゃ.」

芝浦桟橋では取引が行なわれようとしていた.山田はいらいらして待っていた.
山田「何をやってるんだ,大津達は.」
そこへ小型船がやって来て山田の前で止まった. 船からは東南アジアからの留学生達が降りて来た. 山田は留学生達を待合室へ案内した.
山田「ここに留学生協会の車が迎えに来ますので,待っててください. 私に何か.」
そういうと留学生が荷物を渡した.
山田「どうもありがとう.それじゃ.」
山田は外へ出て行った.そして車へ乗り込もうとすると,サファリの姿が見えた.
山田「貴様ー.」
サファリ「東南アジアからの留学生にヘロインを持たせ,それをれいこさん達を 使ってロスへ運び込む.考えたもんじゃないか.」
山田は拳銃を出したが,拳銃を撃つ前にサファリの撃ったハングガンに撃たれて しまった.苦しむ山田.荷物からヘロインの袋が零れ落ちていた.

倉庫の中で悪党達は縄で縛られ,樽の上に座らされていた.
サファリ「全ての悪事を吐けば助けてやる. だが拒否すれば君達の命は保証できない.」
宮坂「我々は何もしちゃいない.何の話をしてるんだ.」
そこへクレイがよろめきながら登場した.
サファリ「君達のお陰で奴はヘロイン中毒になってしまった.」
クレイはよろめきながら悪党達に近づいた.そして山田につかみかかった.
クレイ「くれよなあ,ヘロイン,くれよ,おい.頼むよー.」
山田「何を言ってるんだ.貴様.」
ジャッキー「ヘロインはここにあるわ.」
ジャッキーの持つヘロインの袋を見たクレイは
クレイ「くれよ,なあ.」
ジャッキーに近づいたが,サファリに邪魔された.
サファリ「あいつらを殺したら,やるよ.」
サファリはクレイにハングガンを渡した.クレイはハングガンを握り締めた. 宮坂の顔色が変わった.クレイはよろめきながらハングガンをぶっ放した. と同時に宮坂達の後ろに置いてあった木箱が爆発した.驚く宮坂達.
サファリ「ほら.もう1回.」
サファリはクレイに弾を渡し,クレイはハングガンに弾を装填した.
サファリ「留学生をヘロインの運び屋に仕立て, その上その親からも金を毟り取り,挙句に殺害したんだなあ.」
山田「そんなことはしてねえ.」
ハングガンを向けるクレイをオショウが制止した.
オショウ「ああ,ちょっと,ちょっと.どうなんだい.喋れば撃たない.喋るか? え? 喋らない.よーし,撃て.」
クレイは一歩一歩悪党達に近づいた.だがよろめいて暴発させてしまい, 弾がオショウの左腕に当たってしまった.血を流して苦しむオショウ.
オショウ「あ,いた.どこ見て撃つんだ,この馬鹿.」
これを見た宮坂達はビビリまくった.大津は山田と宮坂の方を向いた.
オショウ「ジャッキー,血止めしてくれ.」
ジャッキーはオショウの傷口にハンカチを巻いてやった.
オショウ「あいつらを撃つんだ,あいつらを.」
クレイはよろめきながらポケットから弾を出し,ハングガンに装填した. そして宮坂にハングガンを突きつけた.
宮坂「お,おう,わかった.助けてくれえ.」
サファリがマイクのスイッチを入れ,宮坂達の方へ向けた. クレイは山田にハングガンを突きつけた.山田は悲鳴を上げた. その頃,待合室に前尾の妻とれいこがやってきた.すると
山田の声「宮坂弁護士が持ちかけてきたんだ. 東南アジアのヘロインをアメリカに運ぶには留学生を使うのが安全だって.」
スピーカーから悪党達の自白する声が響いてきた.留学生達,作業員, そして前尾の妻とれいこもこの叫びを聞いた.
宮坂「何を言ってるんだ.山田.」
山田「やめてくれ.全部話してるじゃないか. 前尾から金を搾り取ろうって考えたのも宮坂なんだあ.」
宮坂「何を言うか.お前だって賛成したじゃないか.」
山田「殺すのには反対したじゃないか.」
宮坂「でも,前尾を自殺に見せかけて殺したのは山田,お前だぞ.」
山田「うるさい.みんな,お前が悪いんだ.悪いのはみんな, この宮坂なんだあ.」
前尾の妻,そしてれいこは真実を知って悲しみに暮れた. そしてオショウは大笑い.
オショウ「冗談,冗談.なあ.」
サファリはスイッチを切った.
クレイ「あーあ.芝居も疲れるなあ.役者になんなくて良かった.ホントに.」
それを聞いて呆然とする悪党達.オショウはサファリに聞いた.
オショウ「あー.どうする?」
サファリ「ギルティー.」
サファリは例のポーズを取った.悪党達は木箱に載せられ,レールを走らされ, 上から落とされた.それを見て大笑いする野次馬達.前尾母子もそれを見た. そして宮坂達はかけつけた警官と救急隊員によって担架で運ばれていった. それを見届けてオショウとジャッキーが,クレイが,サファリが去って行った.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp