第二十八回

大物政治家との対決.タミー,ヨガ死亡.ハングマン組織壊滅す.
影との対決 ハングマン散る!

脚本:中村勝行 監督:永野靖忠

仕事開始

ある山の中で白骨死体が発見された.この事件が仕事になった.
タミー「死体は死後1年以上経過したものと思われ,ほぼ白骨化していた. その後の警察の調べで, 死体の身元は1年前に捜索願が出されていた会社員河村ときおさんと判明. 死体の鑑定結果や背広のポケットに遺言めいた走り書きなどがあったことから, 自殺と断定された.以上が新聞に報じられた事件の概要よ.」
マイト「で,この記事が何か?」
ゴッド「本題に入る前に,まずデジコンから補足説明をしてもらおう.」
デジコン「これが河村ときお当時46歳. 栄進開発という不動産会社の経理課長をしていた男だ.」
オショウ「栄進開発? どっかで聞いたこと,あるなあ.」
デジコン「これを見れば思い出すさ.」
デジコンは新聞記事を映し出した.
デジコン「1年前に土地転がしをしてぼろ儲けをして, 国税庁の手入れを受けた札付きの不動産会社だ.」
オショウ「ああ,あれか.」
マイト「しかし脱税容疑については, 結局証拠不十分で立証できなかったんじゃないのか?」
デジコン「ああ.手口が巧妙でさすがの国税Gメンもお手上げだったようだな.」
タミー「ちょうどその時期に経理課長の河村が行方不明になったわけね.」
デジコン「うん.そして1年後に白骨死体となって見つかった. 経理課長といえば会社の中枢に位置するポストだ. 河村が社内の重要機密を知っていたとしても不思議じゃない.とすれば…」
ヨガ「消されたという可能性も.」
オショウ「そう考えるのが妥当だろうな.」
マイト「で,今回の仕事は.」
ゴッド「問題は2つある.その1つは河村ときおの死が自殺であったか, 他殺であったか. そしてもう1つは栄進開発が土地転がしをして得た巨額の金がどこに消えたか. この2つの謎を解明することだ.」

その頃.大室寛治郎(水嶋道太郎)の屋敷で 大室が秘書(草薙幸二郎)から報告を受けていた.
大室「得体の知れぬ男が?」
秘書「はい.例の件を嗅ぎまわってるそうです. やはりハングマンが動き出したようです.」
大室「いいかね.物事には全て表と裏がある. 世の中はそれによってバランスが保たれているんだ.当然, 政治にだって裏がある. その裏の力が国を支えてるということに気づかぬ馬鹿者が多過ぎるんだ. ましてや,それを暴こうなんていう連中は国を危うくする国賊だよ.この際, 徹底的に叩いとくんだな.」
秘書「はい.」

さてオショウは栄進開発の事務所を訪れていた. だが事務所には電話番をしている女の人しかいなかった. 電話はジュリーからかかってくるという. 仕方なくオショウが帰ると入れ替わりに男(宮口二朗)がやってきた.
女「あんた誰?」
男「私が噂のジュリー.」
早速男は電話をかけた.その頃,オショウをデジコンの車が拾った. 車の中にはデジコンとヨガがいた. デジコンは栄進開発の関連会社を一通り当たってみたが, 現在は影も形も無くなっていた. オショウの調べでは栄進開発は脱税直後に休眠状態に入ったらしい. 栄進開発の社長は関西方面でやっていたらしいが, どうも素性がはっきりしない.名前は篠崎りょうすけ.

その頃,大室の秘書と篠崎が会っていた. 篠崎は「ジュリー」とは別の人物だった. 秘書は篠崎に当分の間姿を隠すことを示唆した. さて河村のところをマイトとタミーが訪れていた. 河村はマイトとタミーが経営するスナックの常連だったと称していた. そしてマイトは,土地転がしの脱税事件の口封じに河村が殺されたのではないか, と示唆した.河村の妻(沢井孝子)は事件のことは何もわからなかったが, 事件の直前,河村が栄進開発のやり方に不審を抱いていたらしいことはわかった. さらにマイトが,社長の篠崎の仕業じゃないか,と言うと,河村の妻は否定した. 篠崎は法の網の目をかいくぐってお金を儲けてきたが, それだけに人一倍用心深くて臆病な人物だったのだ. だから殺人なんかできないと河村の妻は考えていた. そこでマイトが,第3の人物が関わっていたのでは,というと, 夜中に河村が先生と呼ぶ人物から何度か電話がかかってきたことを, 河村の妻は思い出した.

その晩.栄進開発に現れた男は大室の秘書にクラブで報告した.
男「先生,見つけましたよ.例の事務所に現れた男を.」

今週のよね子

さて妙徳寺ではよね子が朝食の支度をしていた.
オショウ「おはよう.」
オショウはパジャマ姿だ.
よね子「和尚様,おはようございます.」
オショウ「いやあ,今朝は気分爽快でねえ,寝起きがいいんですよ.」
よね子「夕べはご苦労様でございました.」
オショウは照れ笑い.
オショウ「ご苦労様だなんて,そんな.」
よね子「食前にどうぞ,これ召し上がってください.」
よね子は怪しげな飲み物をオショウに渡した.
オショウ「何すか,これ.」
よね子「レモンと蜂蜜,スッポンの卵が二個. それにほうれん草に人参にニンニクが入っておりますの.」
オショウ「ほお.」
オショウは感心(するふりを)した.
よね子「今夜も和尚様に頑張って頂かなくっちゃと思って, 随分いろいろと考えましたのよ.」
オショウ「いやあ,1日や2日は休んだほうが…」
よね子「うーん,そんな水臭いこと.」
よね子はオショウの腿をつねった.オショウは痛がった.
よね子「あら,蝮の粉のふりかけがございませんわね.」
オショウ「いや,そんなものは置いてございませんよ.」
よね子「あたくし,買ってまいります.」
オショウ「いや,売ってませんよ.」
よね子「売ってるんです.」
オショウ「じゃあ,あたし,行って来ます.」
オショウは逃げようとしたが
よね子「ああ,いいんですの,いいんですの. 和尚様はここでジーっとして体を休めててくださいな.」
オショウ「は,はあ.」
よね子「和尚様のオートバイ貸してくださいね.」
オショウ「あ,どうぞ,どうぞ.」
よね子「行って来ます.」
よね子はオショウの耳にキスした. そして笑って出て行った.オショウはよね子特製のドリンクを捨ててしまった.

さてよね子が鼻歌を歌いながらオショウのスクーターへと向かった.
よね子「♪幸せいっぱい.胸いっぱい.だって,だって,私は.」
よね子がスクーターのキーを回した途端にスクーターは爆発した. ギャグのシーンが一転して,こんなシリアスなシーンになるとは… 視聴者も驚いたがオショウも驚いた.爆音を聞いてオショウは外へ出た.
オショウ「奥さん.奥さん.」
オショウはよね子が倒れているのを発見した.
オショウ「奥さん.奥さん.奥さん.しっかり.しっかりしてください.」
だが意識を失ったよね子は返事をしなかった.
オショウ「しっかりしてください.奥さん.」
オショウがスクーターを見た.スクーターはばらばらになっていた. よね子は救急車で運ばれていった.

このことをゴッドのオフィスでオショウは報告した.
デジコン「爆弾を仕掛けられた.」
オショウ「ああ.一つ間違えたら今頃俺はあの世行きだ.」
タミー「死んだの,よね子さん.」
オショウ「いや,幸い命は取り留めたが.それにしてもどこのどいつだ, あんな真似しやがったのは.」
マイト「問題はそれだなあ.明らかにオショウの命を狙ったとすると, 敵は只者じゃない.」
デジコン「栄進開発の篠崎か?」
マイト「いや,奴はそんな大それたことをできる男じゃないよ.」
ヨガ「じゃ,いったい誰が.」
マイト「どうやら,この事件の裏にはかなりの大物の黒幕がいそうだ.」
ゴッド「目星はついているのか?」
マイト「いえ.今のところわかってるのは殺された河村が, その男を先生と呼んでいたことだけなんです.」
ゴッド「先生?」
デジコン「政治家か.」
マイト「いや.政治家だったらすぐに面が割れるはずだ.」
ゴッド「いずれにしてもオショウの正体が知れたとなると, あの寺へは戻れんな.」
オショウ「わかってます.」
ゴッド「ところで篠崎の行方はまだわからんのか.」
デジコン「心当たりを虱潰しに当たってみたのですが, どこへ雲隠れしたのかさっぱり.」
タミー「もしかすると,とっくに消されているのかも.」
マイト「その可能性もあるなあ.」
ゴッド「とにかく今度の仕事は一筋縄ではいきそうもない. くれぐれも身辺には気をつけてくれ.」

大室の屋敷で秘書が報告していた.
大室「しくじった?」
秘書「申し訳ございません. しかしこれで一つだけ明らかになったことがあります.」
大室「何だね?」
秘書「念のため,奴の戸籍を調べてみたのですが, 実際に記載されている人物は17年前に死亡しております.」
大室「そうか.奴らは他人の戸籍で世間の目をくらましていたんだな.」
秘書「おそらくハングマンの一味に間違いありません.」
大室「過去のことはともかく今度のことが表沙汰になれば, 内閣の一つは吹っ飛ぶような大問題になるからな.」
大室は戦闘機の写真や図面を見ていた.
秘書「いよいよ,決定ですか.」
大室「来月の閣議で決定させる.輸入代理店はわしの意向通りたいこう商事だ.」
秘書「その前に奴らを叩き潰しておかなければ.」
大室「奴らをおびき出すために,この際餌を撒いてみてはどうかね.」
秘書「餌?」

秘書は篠崎を撃ち殺した. そして篠崎が変死した事件をデジコンはマイトに報告した. マイトは慌てて河村の妻の家を訪れたが,河村の妻も殺されていた. そしてマイトは銃で狙われた.マイトは逃げ回った.そこへ大室の秘書, そして男も現れた. 何とか追っ手を巻いたマイトはゴッドのオフィスに全員集合させた.
デジコン「というと奴らが篠崎や河村の奥さんを殺したのは,口封じというより, 俺達ハングマンをおびき寄せるのが目的だったって言うのか.」
マイト「野郎,許せねえ.」
オショウ「話はあべこべだよ.ハングマンが狙われるなんてなんてこったい.」
タミー「しかも,相手は正体不明.」
マイト「一つだけいえることは, 今度の相手はおそらく我々よりも数倍でかい闇の組織ということだ.」
オショウ「こうなったらいっときも早く相手の正体を突き止めることだ.」
マイト「こっちから仕掛けてみる.」
オショウ「仕掛ける?」
マイト「どうせ俺の面は割れちまってるんだ. 車のナンバーから店も割り出してしまってる筈だ. 俺が囮になって奴らをおびき出す.」
デジコン「しかしそいつはかなりやばい手だなあ.」
マイト「一か八かやってみるさ.」

マイトはカジノ「ダイナ」に姿を現した.
さとみ「マスター,お帰りなさい.あらあ,腕どうしたんですか?」
マイト「いや,別に.何か変わったことは?」
さとみ「それがね,変な男の人が来てマスターの居所を教えてくれって.」
マイト「早速来たか.」
さとみ「ん?」
マイト「俺は今日限りこの店をやめることにした.」
さとみ「やめる?」
マイト「知り合いに権利を譲ったんだ.心配いらないよ. 今まで通り君は働いてていいから.」
さとみは寂しそうに言った.
さとみ「そう.マスターやめちゃうんですか.」
マイト「今までからかってごめんよ.あれは全部しゃれなんだ. いいか.いい男探して幸せになるんだぞ.」
さとみはうなずいた.
マイト「長い間ありがとう.」
そう言ってマイトは走り去った.

「ダイナ」を出たマイトを早速サングラスをかけた男(宮口二朗)がみつけた. その様子をタミーとオショウもみつけた. タミーはデジコンとヨガに無線で連絡した.ヨガはサングラスの男をつけた. マイトはうまく男を巻いてデジコンの車に乗り込んだ.一方, ヨガは男が大室の秘書と会うところを見届け,写真撮影した. ゴッドのオフィスで
マイト「こいつは栗田だ.」
デジコン「栗田?」
マイト「栗田そういち. 政財界の大物とか影の総裁とか呼ばれてる大室寛治郎の第一秘書だよ.」
オショウ「大室寛治郎? こいつは驚いたなあ. まさかそんな大物までつながってるとはなあ.」
マイト「そいつは妥当な線かもしれねえぜ. 政界から身を退いたとはいえ,党の長老として相当の権力を持っている. それだけ政治資金が豊富ってことかなあ.」
デジコン「なるほど.栄進開発は大室の地下金脈だったってわけか.」
ヨガ「しかし,そんな大物がなぜ俺達を.」
マイト「ひょっとすると大室はもっとでかい金脈を掘り当てたのかもしれない. それを暴かれるのが恐くて先手を打って俺達を.」
オショウ「だろうなあ.栄進開発なんてのは氷山の一角さ. 奴さんにしてみればもっともっとでっかい仕事知ってたって不思議じゃねえ. なんたって鶴の一声で国家予算を動かすほどの怪物だからなあ.」
タミー「そういえば, 過去の汚職事件にはいつも大室の名前がちらついていたわねえ.」
デジコン「しかも奴が絡んだ事件には必ず何人かの犠牲者が出ている. それを阻止するためにも奴らの陰謀を暴かなければ.」
オショウ「よーし,秘書の栗田をちょいとつついてみるか.」
だがマイトはもっと大胆な作戦を提案した.
マイト「生ぬるいなあ.直接大室に仕掛ける.」
オショウ「おいおい,相手は怪物だぞ.」
マイト「大室は週1回,白金の料亭で懇談会と称して, 政財界の大物と密談をしている.そのときが狙い目だ.」
タミー「あたしがやるわ.マイトやオショウは顔を知られているし, 場所が料亭なら女の方が接近しやすいわ.」
デジコン「しかし相手が相手だ.ドジを踏んだら命はないぞ.」
タミー「任しといて.たとえ刺し違えても相手に不足はないわ. もしやられたら香典はうーんとはずんでもらいますからね.」
マイトはにやりと笑い,タミーの肩を叩いた.

ヨガ,そしてタミー,死す.

そして作戦が決行された.料亭辰巳の前にヨガ, マイトとオショウとデジコンが張り込んでいた.タミーは仲居に化け, 盗聴機を仕掛けた.
デジコン「やったぞ.」
大室の声「その後,関係各所の根回しは済んだかね.」
政治家の声「はあ.今週中には根回しは済んでいるはずです. それに野党との茶番劇の筋書きができております.」
大室の声「となると,次の特別委員会を強行突破するだけだなあ.」
政治家の声「は.マスコミが騒ぎ始める頃には決着がついてるはずです.」
そのとき,栗田が盗聴機発見機を作動させ,盗聴機を発見した.
オショウ「何だこりゃ.」
デジコン「ばれたかなあ.」
マイト「よし,俺が行ってみる.」
マイトはデジコンの車から降りた.
オショウ「おい,無茶すんな.」
そのとき,車が猛スピードで発進していった.
マイト「ヨガ,今の車,追え.」
ヨガはバイクを走らせて車を追った.その後
オショウ「マイト.」
外車が料亭辰巳から出て行くのが見えた.マイトは辰巳の中へ入っていった.

ヨガは車を追った.車の中にはタミーが縛られ, 猿轡を噛まされて乗せられていた. 車を運転していたのはマイトを追いまわした男.助手席には栗田が座っていた.
男「先生.」
男に促されて栗田が振り返るとヨガがつけてくるのが見えた. 栗田は自動車電話で何か指示した.

辰巳の中からマイトが戻ってきた.
マイト「タミーが拉致された.」
オショウ「何?」
マイト「デジコン,行く先を調べろ.」
デジコン「Ok!」
マイトは慌てて車を走らせた.
マイト「デジコン,まだか.」
デジコンのコンピュータが発信機の電波を拾った.
デジコン「出たぞ.次の信号右だ.」
マイト達は発信電波を頼りに追いかけていった.

その頃,ヨガの背後に別の車が現れ,ヨガのバイクにぶつかった. ヨガは倒れてしまった.デジコンもそれを知った.
デジコン「やばい.なんかあったぞ.急げ.」
マイト達が現場に到着するとヨガのバイクとヘルメットだけが転がっていた.
マイト「デジコン,タミーからの発信音をキャッチしろ.」
デジコン「了解.」

ヨガとタミーは柱に縛り付けられていた.ヨガは殴られていた. そしてヨガは男によってナイフで顔中を切り裂かれ, 膝を刺されたが表情一つ変えなかった.
栗田「どうやらハングマンというのは特殊な訓練を受けてるようだな. なまじの拷問じゃ吐かんだろう.例の薬を使ってみるか.」

その頃,デジコンの車の中では
オショウ「何か連絡ないのかよ.」
デジコン「黙ってろよ.」
三人とも焦っていたが,どうしようもない.マイトは黙って車を走らせていた.

ヨガとタミーはお互いを見合った.ヨガは頭を垂れ, タミーは腰のベルトについた発信機のスイッチを押した.

その頃,デジコン達は.
デジコン「よーし,入ったぞ.北三丁目の倉庫街だ.」
オショウ「もっとスピード出ねえのかよ.」
マイト「待ってろよ,行くから.」
マイトはフルスピードで車を走らせた.

その頃,ヨガは縄抜けに成功していた.だが栗田は注射器を用意させていた.
栗田「こいつは CIA が使っていた自白剤だ.こいつを打たれると, どんなに鍛えられたスパイでもまるで子供のように素直になる.」
男は部下に注射器を持たせ,ヨガに自白剤を打たせようとした. だがヨガの反撃を受けた.そしてヨガは飛び掛ったが, 男に背後から拳銃で撃たれてしまった.苦悶の表情を浮かべるヨガ. それでもヨガは振り返り,男に飛びかかろうとした.だが, ヨガは男に拳銃の弾を何発も撃ちこまれて蜂の巣にされ,膝を突き, タミーをじっとみつめた.涙を浮かべながらヨガを見つめるタミー. そしてヨガは前に倒れてしまった.
タミー「ヨガ.」
男は注射器を部下から受け取った.その頃,外にデジコンの車が到着していた. だが,一歩遅かった.男は注射器を持ってタミーに近づいた. そして男はタミーの右腕を持った.男がタミーに自白剤を注射しようとした途端, タミーは注射器を跳ね除け,ブラウスのボタンを引きちぎり, 中に仕込んであった薬を飲んだ.
男「あ,毒飲んだ.」
男達は薬を吐かせようとしたが,タミーは…死んでしまった.

マイト達が駆けつけた時,そこにはヨガとタミーの死体しかなかった. まずマイト達は倒れているヨガの死体に駆け寄った.
マイト「ヨガ.」
デジコン「ヨガ.」
オショウ「ヨガ.」
マイト「ヨガ.」
だが返事はなかった.続いてマイト達はタミーの死体に気がついた.
マイト「タミー.」
マイトは柱に縛られたままのタミーの死体に駆け寄った.
マイト「タミー.」
だがタミーは返事をしない.マイトはタミーの顔を何度も何度も叩いた.
マイト「タミー.タミー.タミー.」
だがタミーは返事をしなかった.愕然とするマイト.
マイト「あれを使ったんだ.俺達をかばうために.」
オショウもデジコンも声が出ない.オショウは泣きながら, ヨガの手を組んでやった.デジコンも涙を流した. マイトは黙ってタミーを見つめた.マイトはタミーの髪を整えてやった. そのとき,3人は時計の音に気がついた. 3人が慌てて倉庫から出た途端に倉庫は爆発した. タミーとヨガの死体も灰燼に帰してしまった. 3人はずっと燃え盛る炎を見つめていた. その目はタミーとヨガを殺された怒りに燃えていた.

ハングマン組織解散

この事態をゴッドは深刻に受け止めた.
マイト「解散.」
ゴッドは3人のパスポートを用意していた.
ゴッド「ハングマンの正体を知られた以上,組織を維持していくことは無理だ. 本日限り,解散する.君達は自分の身の安全だけを考えてくれ.」
が3人は納得しなかった.
マイト「しかし,このまま奴らをほっといたら,タミーやヨガは浮かばれません. ここで大室を潰さなければ新しい犠牲者が.」
ゴッド「わかっている.今度のことは私の責任だ.後の事は私が考える.兎に角, この仕事は君達の手を離れたんだ. 敢えて危険を冒すような愚は避けてもらいたい.」
ゴッドはわざと後ろを向きながらそういった.
マイト「しかし,ゴッド.」
ゴッド「マイト.ハングマンの掟を忘れたのかね.長い間,ご苦労だった.」
そして3人はゴッドのオフィスを後にした. マイトが,デジコンが,オショウが街の中に消えていった.

大室,死す.

そして1週間くらい経ったある晩.料亭辰巳で大室は懇談会を開いていた. そこへマイトがやってきて,中に入った.タミーとヨガの仇を討とうと言うのだ. その時,マイトはオショウの姿をみつけ,微笑んだ.さらに
デジコン「マイト.」
3人とも気持ちは同じだったのだ.
マイト「デジコン.」
デジコン「やっぱり来てたか.」
マイト「俺だけじゃねえ.」
デジコン「え?」
マイト「オショウもだよ.」
そこへオショウもやってきた.
オショウ「考えることはおんなじだなあ.」
デジコン「その通り.」
マイト「このまま黙ってられるか.奴の座敷にこのニトロをぶち込んでやる.」
デジコン「ちょっと待てよ.そんな荒っぽい手を使わなくても, 俺がちゃーんと仕掛けを作ってきたぜ.」
デジコンはリモコン装置を懐から出した.
マイト「リモコンかあ.」

料亭辰巳を大室の車が発進した.ヨガを撃ち殺した男と栗田も一緒だ.
大室「その後,ハングマンの方はかたがついたのか?」
栗田「はい.例の一件以来解散したという情報が入りましたので, ご心配ありません.」
大室の車が山道に差し掛かった.デジコンが大室の車を発見した.
デジコン「オショウ,来たぞ.」
オショウ「はい,了解.」
オショウは工事中の看板を出し,回り道の看板を出した.マイトは穴を掘り, リモコンをつけたニトロを埋めていた. そして大室の車が「工事現場」にたどり着いた.
栗田「工事か.」
男「ええ.迂回しなければなりませんねえ.」
大室の車は看板に騙されて迂回路へ向かった. そして大室の車がニトロの埋められているところについた.
マイト「よーし,今だ.」
デジコンがリモコンスイッチを押した.爆発し,炎上する大室の車, そして大室達も爆死した.マイト,デジコン, そしてオショウは燃える大室の車をいつまでも眺めていた.

そして

大室爆死事件をゴッドは新聞を読んで知った.ゴッドは新聞を置き, 無言で立ち上がった.

退院したよね子は妙徳寺へ向かった.もちろん,オショウに会うためだ.
よね子「和尚様.」
だが木魚を叩いていたのは別の和尚(天草四郎)だった.
和尚「どちら様で?」
よね子は驚いた.
よね子「あのう,和尚様は?」
和尚「和尚は私ですが?」
よね子「頭に毛のある和尚様です.」

その頃オショウは変装して焼芋を売っていた.
女の子「おじさん,お芋頂戴.」
オショウが焼芋を売っている脇で警官がマイト,デジコン, そしてオショウの指名手配のポスターを貼っていた.
オショウ「ああ,ご苦労さんです.」
大胆にもオショウは警官に声をかけていた.
オショウ「ああ,大負けで500円だね.」
オショウは焼芋を入れながら自分のポスターを眺めた.
オショウ「はいよ.はいどうも.」
オショウは女の子に焼芋を渡した.
オショウ「ええ,石焼芋.」

デジコンはおもちゃ屋でサンタクロースに扮装していた.
子供達「サンタのおじさん.」
デジコンは子供達に手を振った. ちなみに本放送の日はクリスマスイブだった.

マイトはペットブリーダーになっていた. 客(大屋政子)のプードルをいじりながら
マイト「さすが,フランスから連れてくるといい犬だなあ.ねえ.ママに似て, ほら刈り上げも済んだし,リボンは赤いし,ねえ.へへ.オールバックにするか. ほらあ,ほらあ.似合わないなあ.よしよし.ああ.」
マイトは客にプードルを渡しながらお世辞を言った.
マイト「買い主が美しいと飼われてる犬も大変美しいですなあ.」
客「まあ,何を言うてはるの.お上手やねえ.」
マイト「ええ.奥様,マニクアはいかが致しましょうか?」
客「マリアンヌに?」
マイト「いいえ,奥様にです.」
客「あらあ,うれしいわねえ.」
マイトは微笑んだ.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp