第十二回

売れっ子評論家の化けの皮をはぐ
ギャラは人妻! 売れっ子評論家を吊せ

脚本:ちゃき克彰 監督:小澤啓一

評論家の大和田史生(青木義朗)は ワイドショーで主婦の浮気はいけないとコメントしていた.
大和田「反対するとかねえ,賛成するとか,もう論外ですね.大体ねえ, こういう問題がテレビで取り上げられる今の風潮そのものが問題だ…私はねえ, 世の中の奥さんに声を大にして言いたいですね.主婦としての,この最低の モラルだけは是非守って欲しい.これはね,これ最低の条件です.」
そんなことをほざいていた大和田は, ホテルの浴室でシャワーを浴びたばかりのある人妻のところに, 全裸にバスタオル一枚を羽織っただけの格好でやってきた. 人妻は夫がやってきたものとばかり思っていた.
大和田「評判通り,美人だなあ.それに体もいい.」
人妻は逃げるが,大和田の部下達(信実一徳ら)が現れ,
大和田の部下「奥さん.このことは御主人も承知の上なんですよ.」
人妻「え? あの人が.」
大和田の部下「奥さんの体を提供するそうです. 大和田先生の協力と引き換えにね.」
そして大和田は嫌がる人妻の体を食い物にしていった. 夫(西田健)に大和田の部下は例の件は全面的に協力すると伝えた. 夫はホテルの部屋で妻の由美に声をかけたが,由美は泣くばかり. 夫は会社を守るために大和田の協力が必要だったと言い, 事故に遭ったと思えばいいと言う.だが由美は, あなたの顔なんかもう見たくないと言うのであった. そして由美は自動車に飛び込んで事故にあってしまった.

今週のよね子

翌朝.オショウが寝ていると
よね子「おはようございます.」
驚いたオショウに
よね子「不用心ですわよ.戸締りなさらずにお休みになるなんて. さ,起きてください.今,朝ご飯の支度致しますから.」
オショウ「寝かせてくださいよ.」
よね子「いけませんわ.朝のお勤めもございますでしょ.」
オショウ「仏様が30分くらい待ってくれますよ.」
よね子「しょうのない和尚様.」
よね子は突然,着物を脱ぎ始めた.
オショウ「何やってるんですよ.」
よね子「私もご一緒させていただきますわ.」
よね子は襦袢だけの姿になってオショウの布団に潜り込もうとした.
オショウ「冗談じゃありませんよ.あたしは朝のお勤めがあるから.」
よね子「1時間や2時間遅れたって,慈悲深い仏様は目を瞑ってくださいます.」
よね子はオショウの頬にキス.
オショウ「え,ちょっと.いやあ.」
よね子「ねえ.30分じゃ,短すぎますでしょ.」
オショウ「ああ,ちょっと.」
よね子「和尚様.」
オショウ「うわあ.」
タミー「すいません.ちょっと道をお尋ねしたいんですけれども.」
オショウ「はいはいはい.どうも.」
これ幸いとオショウは布団から脱出.
よね子「もう.」

オショウ「ああ,タミー,いいとこ来てくれたよ,助かったよ.ああ. で,ゴッドからの集合指令か?」
タミー「そう.でも出かける前に顔をちょっと洗ったほうがいいみたいよ.」
オショウの頬にはよね子のつけたキスマークがついていた.

仕事開始

マイト「さあ,始めてもらおうか.」
スクリーンに大和田の姿が映し出された.
オショウ「ん? どこかで見た顔だな.」
マイト「毎日のようにテレビに出ている顔だよ.」
オショウ「ああ,そうか,そうか.評論家の大和田.」
タミー「大和田史生48歳. 花形評論家として今もっとも脚光を浴びているマスコミの寵児.」
デジコン「政治,経済,時事問題, テレビの人生相談からコマーシャルにまで顔を出している. 問題はその大和田の裏の顔だ.」
オショウ「裏の顔って?」
タミー「大和田史生は企業の秘密や弱みを握って, それをネタに企業をゆすってるらしいの.」
デジコン「マスコミに公表すると脅かされて, 現にかなりの数の企業が奴に莫大な口止め料を出しているらしい.」
マイト「とんだマスコミの寵児だ.」
タミー「5日前に大崎にある幸田精機という会社の社長の娘で専務夫人が, 車にはねられて死んだわ.」
タミーはあのとき大和田の毒牙にかけられた人妻, 五十嵐由美が車にはねられて事故死した事件を報じた新聞記事を, スクリーンに映した.
タミー「一応は事故死と言うことになってるけど,でも彼女が死んだ夜, 夫と二人で泊まったホテルに大和田が現れた形跡があるの.」
マイト「彼女の死に大和田が関係あるのか.」
デジコン「断言はできないんだが, ゴッドの情報によると奴は人妻が好きらしい.」
タミー「大和田に弱みを握られた会社の中で口止め料と一緒に, 社員の奥さんを提供する事例がかなりあるらしいの. 社員は昇進させるという条件でね.」
オショウ「じゃあ,彼女もその提供された人妻の一人だったのかなあ.」

大和田の事務所である大和田史生経済研究所にマイトが, 週刊毎朝記者渡部こういちと名乗って現れた.
女事務員「で,ご用件は?」
マイト「イメージ狂っちゃったなあ.あなたですよ. オールドミスのキャリアウーマンだって言うからもっとブスでさあ, ババアかと思ったら,全然きれいなんだもん.僕のタイプなんだなあ.」
マイトはなおも室長に大和田に会いたいとねじ込んだが,断られた.だが, しっかり, 室長がコンピュータ室の鍵を事務員に渡して机の引出しにしまうところを, 目撃して帰っていった.

タミーは五十嵐由美の妹が由美の事故現場に花を供えているのを目撃し, 声をかけた.妹はあれがただの事故死ではないとタミーに話した.その頃, ヨガは幸田精機に電気の工員と称して潜り込み,盗聴機を仕掛けた. デジコンが早速盗聴開始. 五十嵐由美の夫五十嵐専務が,大和田の秘書室長の森口に, 電話をかけるのを聞いていた. 幸田精機のトップ製品に目をつけた大手メーカーが, ダミーを使って株の買占めにかかっており,銀行にも圧力をかけているため, 幸田精機は苦境に立たされていたのだ. そこへ五十嵐の父である幸田社長(伊沢一郎)がやってきた. 幸田は血圧が高くて出社を控えている身だったので, 五十嵐由美の妹の幸田友美は心配していた. 五十嵐は幸田に大和田に協力をもらおうと申し出ていた. 会社の半分の株を持つ幸田の持ち株の10%を渡せば, 大和田は協力すると五十嵐に言っていたのだ.幸田はその提案を拒絶した.

その頃,マイトは女事務員にお酒を持ってきて,飲ませた. そして大和田は別の人妻を毒牙にかけようとしていた.しかし, 五十嵐由美の時とは違い,彼女は大和田の相手をすることを喜んだ. だから大和田は気持ちがなえてしまった.初体験が人妻だったので, 人妻を犯すのが趣味だったのだ.さてマイトは女事務員を潰し, コンピュータ室の鍵を手に入れた.そしてコンピュータ室に潜入し, コンピュータの電源コードを切断した.そして電話帳に細工し, コンピュータの会社のところに別の会社のシールを貼った.

翌朝.二日酔いでうなる女事務員の有働に,秘書室長の森口が, コンピュータが故障したので修理の手配をするように命じた. 有働はマイトのシールに騙されてデジコンのところへ電話を入れてしまった. その頃,幸田友美は由美が泊まったホテルのフロントで, 何か変わったことがなかったか聞き込んでいた. だがフロントは別に変わったことはなかったと答えるばかり. 友美が帰ると同時にフロントは森口にこのことを報せた.早速森口は出て行き, 入れ替わりにデジコンがやってきた. デジコンは修理に時間がかかるという名目で有働を追い出し, コンピュータのデータを盗み出した.その頃, 森口は大和田のところにやってきて, 友美がいろいろと聞き回っていることを報告. 大和田は五十嵐に連絡を取るように指示した.

大和田史生経済研究所のコンピュータには, 100社以上の企業の秘密が入力されていた.脱税.贈収賄.粉飾決算. 幹部のスキャンダル.幸田精機の件について, 大和田は顧問契約書を大手の機械メーカーと交わし, 多額の顧問料を受け取っていた.しかも, 幸田精機の株を買い占めていた会社の影のオーナーは大和田だった. 買い占めた株を大手メーカーに売りつけることが, 大和田の一番の狙いに違いない.
タミー「これを知ったらあの五十嵐って男,どんな顔するかしらね.」

多摩川を渡る小田急の鉄橋の下に止まった車の中で五十嵐は友美を説得していた. 幸田精機を救うためには大和田の協力が絶対に必要だと言うのだ. だが友美は五十嵐にあの晩のことを聞いたが,五十嵐は友美に襲い掛かった. 逃げる友美.そこへタミーが現れ,友美を家まで送り届けた.その後, 五十嵐は大和田と森口に会っていた.大和田は株の持ち出しを示唆.その晩, 五十嵐は株の持ち出しを実行に移そうとした.が,幸田に見つかってしまった. 五十嵐は強引に株を持ち出し, 幸田はショックで脳溢血を起こして倒れてしまった. そして五十嵐が大和田史生経済研究所に着いたところへマイトが登場. 大和田を殴り倒し,そのまま引き返した.新宿のビル街で五十嵐を起こした. 五十嵐にマイトは大和田の狙いを告げた. そのことを聞いた五十嵐は株を渡す前に約束を守るように大和田に迫った. 五十嵐は明日中に実行しなければマスコミに何もかも公表すると告げた. 大和田は五十嵐の抹殺を実行に移させた.五十嵐は車にはねられ, 頭蓋骨骨折で死んでしまった. このことを知ったハングマンは表の仮面を脱ぎ捨ててハンギングに出動した.

ハンギング

まず森口にデジコンが田村建設の人間と称して会った. デジコンは自分の妻と称してタミーを紹介. ヨガはデジコンとタミーが泊まることになっているホテルに, 電気工事の点検と称して乗り込んだ.その頃, 幸田の病室に手紙が投げ込まれ,幸田を看病する友美がそれを拾った. それは桃色の封筒に入っていて,赤いキスマークがされた黄色い紙が, 壁に留められた様子が描かれたシールで封をされた手紙,すなわち, タミーからのハンギングパーティの案内状だった.友美は案内状を読んだ.
タミーの声「あなたのお姉さんを死に追いやった者達が神の裁きを受けます. 本日午後三時,下記の場所へおこしください.」
ハンギングパーティの場所は神宮台4丁目 神宮修徳会館 4F 大和田史生を囲む会.

森口のところに田村建設の社員が訪れた.そのことから, 森口は女が偽者であることに気がついた.その頃, 大和田はタミーに襲い掛かっていた.その様子は隠しカメラで撮影されていた. 森口はホテルに急行したが, エレベータの中で部下ともどもヨガに殴り倒されてしまった. そして森口達が気がつくと,彼らは廃工場の中の車の中にいた. 車はクレーンで吊り上げられた.
マイトの声「ようこそ,悪党諸君.もうおわかりだろうが諸君には今, 空中ドライブを楽しんでもらっている.諸君,下を見たまえ. よーく目をこらして見るんだ.」
下を見ると,車が潰されてスクラップにされる様子が見えた. 森口達は恐怖で顔がひきつった.
マイト「わかったか.こっちの操作一つでお前達3人は車もろともあの世行きだ. ペチャンコでな.」
森口「何の真似だ.」
マイト「お前達が大和田大先生の命令で何をしたか,全て白状してもらおう.」
森口「そんな脅しに乗ると思うのか?」
マイト「よろしい.」
マイトは車をおろした. そしてヨガの運転する大型フォークリフトが車をスクラップ場へ運んだ. さらに車の上にプレス機が降りてきた.ついに森口の部下が白状した.

さて大和田の暴行はまだ続いていた.
大和田「泣け.もっと泣き叫ぶんだ.今までなあ,何人もの人妻がなあ, みんな私の前でそうやって泣き叫んだんだ.」
タミー「あなたあ.」
大和田「叫べ,叫べ.お前もその一人だ.叫べ.もっと泣け. もっと泣け,泣け.叫ぶんだ.もっと叫べ.」
頃はよしと,突然,タミーが抵抗をやめた.
タミー「やあめた.あんたの悪趣味にこれ以上つきあってられないわ. 疲れちゃった.」
大和田「なにもんだ,貴様.」
答えの代わりにタミーは大和田に当身を食らわせ,殴り倒した.

そして「大和田史生先生を囲む会」で大和田が講演を開始した. 講演の模様はテレビでも中継された.
大和田「大和田史生です. 今日はお集まりの皆さんに家庭における愛情と信頼について, お話したいと思います.これは私のメインテーマでもあります.」
突如,会場の照明が消され,室内が暗くなった. そして大和田がタミーを暴行しているシーンが映し出された.
大和田の声「泣け.もっと泣き叫ぶんだ.今までなあ,何人もの人妻がなあ, みんな私の前でそうやって泣き叫んだんだ.」
会場に集まった主婦達はざわめいた.
大和田「何だ,これは.」
大和田にスポットライトが当てられた.
大和田「やめろ.すぐやめろ.すぐ止めないと告訴するぞ.」
だがフィルムの上映は続けられた.
大和田「やめろ.やめさせろ.誰かいないか.森口.岸本.やめろ. やめさせろ.」
画面が切り替わり,車の中で森口が白状している様子が映し出された.
森口の声「大和田は企業の弱みを握って金をゆすっている. 口止め料だけでは足りずに何人もの人妻を提供させていた. 幸田精機の専務の奥さんもその犠牲になった一人だ.」
大和田「嘘だよ.あいつの言ってることはみんな嘘だ.あれもなあ, 絶対出鱈目だ,出鱈目だ.嘘だ.あいつの言ってることはみんな嘘だ.」
岸本の声「俺達は,ただ大和田先生の命令に従って動いただけだよ. あの人は金のためなら人殺しも平気でやる男だ.」
部下の声「幸田精機の人殺しをやったのは俺達だ.」
ついに主婦の一人が立ち上がった.
主婦「なんて人なの.悪党.酷いわよ.」
怒号が飛び交った.
岸本の声「命令されてやったことだ.」
森口の声「大和田は仮面を被ったけだものだあ.」
主婦の攻撃を受け,大和田は呆然とするばかり.その様子を友美もタミーも見た.
大和田「やめろ.やめてくれ.」
大和田は座り込んでしまい,主婦達は全員帰ってしまった. そしてパトカーがやってきた.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp