第十回

捏造されたスキャンダルに潜む悪事を暴く
引き裂かれた水着 スキャンダル殺人

脚本:鴨井達比古 監督:帯盛迪彦

アイドル歌手の河野みゆき(河野みゆき)は, クリスチーヌ水着のキャンペーンにも選ばれ, レコードも出して順調に売れていた. 街には彼女の水着姿のポスターがたくさん貼られていた. 今日もサインをねだるファンを振り切り, 河野みゆきはマネージャー(堀勝之祐)に送られてマンションに帰ってきた. 次の日は二ヶ月ぶりの休みだった.そのみゆきを見送ったマネージャーに, 男から札束が渡された.マネージャーはみゆきの家の鍵を男に渡した.

みゆきが浴室から出て髪をとかしていると, 男が入ってきてみゆきを犯しはじめた.その様子は写真撮影された. みゆきは涙を浮かべていた.そして男の仲間がみゆきに覚醒剤を打った. 男は自分にも打ってくれと頼んでいた. 翌朝.新聞配達員が「河野みゆき 愛人の元歌手を殺害!!」の現場に来合わせた. 男は血まみれになっており,河野みゆきは包丁を握り締めて立っていたのだ. 警察の事情聴取を終え,「河野みゆき 犯行否認のまゝ保釈!!」された 河野みゆきを姉が出迎え,集まる記者を振り切って自宅に戻った. そしてある晩,河野みゆきは絶望のあまりベランダから投身自殺してしまった.

街から河野みゆきのポスターが次々と撤去されていった. カジノ「ダイナ」でもマイトが河野みゆきのポスターをはがしていた.
従業員「あら,マスター,はがしちゃうんですか?」
マイト「そう.」
従業員「私,みゆきちゃんが覚醒剤中毒だなんて信じられないわ.」
マイト「犯罪者のポスターをこの店に貼っとくわけにはいかんのです.ね.」
従業員「あ,マスター,お電話です.」
マイト「それを早く言いなさい.」
マイトははがしたポスターを従業員に渡して電話に出た.
マイト「はい.ああ,デジコンか.河野みゆき? なんだ,お前もファンなのか?」
デジコン「冗談言わないでくれよ. 俺は忙しくてまだ彼女の歌を聞いたことがないんだ.それに, そんな年でもないしな.あ,それよりマイト,今度の事件, この一件に関係あるらしいんだ.ああ.今夜0時に集合だ.」

今週のよね子

さてオショウとよね子が運動着姿でお堂にいた.二人とも正座していた.
よね子「本当ですか,和尚様.」
オショウ「本当です.その昔, ヨガというものはお釈迦様が考案なされた一種の美容体操です. これに励めばなおいっそう美しくなること請け合いです.」
よね子は大喜び.
よね子「あたくし,もっと美しくなって細くなって, もっと和尚様に愛されたいんです.」
オショウ「はあ,あたくしもそう願いたいんだが… それでは早速,参りましょう.」
オショウは足を組み始めた.
オショウ「足をこう乗せましてぐっと行きます.」
よね子「ここへ乗せて…」
よね子は右足を左足の腿の上に乗せた.
オショウ「胸をそってぐっと呼吸を整える…何をやってるんですか?」
太ったよね子は右足しか乗せることができなかった.
オショウ「手伝いましょう.」
よね子「お願いします.」
オショウ「こう行きます.」
よね子「お肉が邪魔をして上がらないんです.」
なんとかよね子は足を組むことができた.
オショウ「胸をぐうっとそってください.」
よね子は痛がった.
オショウ「痛いのはつきものですから,胸をぐうっと…」
そこへ電話がかかってきた.
オショウ「あ,もしもし.ああ.はい,了解.」
オショウは電話を切った.
オショウ「あたし,出かけますので,ちょっと失礼致します.」
オショウがよね子の肩を押すと
よね子「和尚様,ああ.」
よね子は達磨みたいに転がってしまった.
よね子「ああ,痛い.和尚様,足を…」

仕事開始

ゴッドのオフィスにハングマンが集結した.
タミー「河野みゆき16歳.ワールドプロダクション所属.昨年の秋, クリスチーヌ社の水着のマスコットガールに3000人の応募者の中から選ばれたの. 今年の春から東洋レコードとタイアップして, クリスチーヌ水着のイメージソングが発売され, このレコードはたちまちヒットチャートを上り詰め, 1ヶ月で80万枚の大ヒットとなった. わずか半年で河野みゆきは売れっ子スターになり,テレビドラマや映画にも進出. 同時にその異常人気をてこに, クリスチーヌ水着は今年の水着市場を完全に独占した.そして3週間前の7月7日, あとは皆さんご存知の通りよ. 覚醒剤の幻覚症状から元歌手のしまだひろしを刺殺, 殺人罪で起訴,保釈されて三日後,マンションから投身自殺.」
マイト「本人は犯行を否認しているそうだが,本当に覚醒剤中毒だったのか?」
タミー「体のあちこちに注射の痕があり, 部屋からも覚醒剤のアンプルや注射器が発見されたそうよ.」
デジコン「殺されたしまだって男も確か…」
タミー「ええ.一時はかなり売れた歌手だったんだけど, 覚醒剤取締法違反で二度逮捕されて失脚した男よ.」
オショウ「で,いつ頃から関係あったのかなあ,そのしまだって男と.」
タミー「みゆきのマネージャーの内田まさおがこう言ってるの.」
内田の証言「しまだから誘われたって聞いたとき,絶対に付き合うなって 言ったんです.4ヶ月くらい前でした.私がもっと気をつけていれば, こんなことには…」
タミー「もう一人, マンションの隣りの部屋に住んでいる井上はるみ(桜井浩子)という女性は…」
はるみの証言「以前からあの男,みゆきさんの部屋に出入りしてましたよ. ええ.元歌手のしまだひろし.」
タミー「それに警察の調べだと, しまだのアパートからも河野みゆきの衣類などとともに, こんなものが見つかってるわ.これはコピーだけど.」
タミーが出したのはしまだが河野みゆきを犯しているときの写真だった. しまだとみゆきが関係を持っていた証拠物件になりうる写真だ.
マイト「妙だなあ.このみゆきの表情.」
デジコン「何が?」
マイト「惚れた男に抱かれてるときの表情じゃない.」
オショウ「あ,そう.どれどれ.」
オショウも写真を見たが…
オショウ「俺にはさっぱりわからねえなあ.さすが,プレイボーイ. デリケートなとこまで気がつくなあ.しかし,そうなると…」
タミー「ゴッドはね,今度の事件は全部仕組まれたものだと見ているの. 今度の事件で, みゆきが所属していたワールドプロは大打撃を受けて倒産寸前だと言うし, 東洋レコードも大損害よね.それに今年の新人賞争いも本命が消えて大混戦.」
オショウ「芸能界の黒い霧か.」
マイト「いや芸能界と言うのは, いまや昔と違って何をやってもすぐにマスコミが騒ぐし, 真面目な社会人にしたかったら芸能界に入れろって言われてるぜ. しかし今度の件は罠かもしれんなあ.」

オショウとヨガはマネージャーの内田を見張った. 内田はある男から金を受け取っていた.すかさずヨガが男を追いかけ, オショウは内田を追いかけた.一方,マイトは草野と名乗り, 娘がみゆきと同じ病院に入院していたと称してみゆきの姉に近づいた. みゆきは松本の出身で, 姉はみゆきを両親と同じ墓に入れてあげるつもりだと言った. そしてみゆきがあんなことをするはずがないと姉は言った.その頃, ヨガは内田と接触した男を脅したが,男は競馬のノミ屋だった. みゆきの部屋を出たマイトははるみが転居して出て行くところを見かけた. はるみは大家に, たった2ヶ月しか借りていないので権利金をまけろと談判していた. ヨガはオショウと合流した.

その晩,はるみが経営する club hisen をオショウが訪れた. そこへマイトもやってきた.早速オショウはトイレへ. マイトもトイレに入った.オショウとマイトはトイレで連れ小便.
オショウ「おう,これまた臭いなかで.」
マイト「河野みゆきの隣りの部屋に住んでた女,この店のママらしいぜ.」
オショウ「はるみって女か?」
マイト「ああ.」
オショウ「ああ.」
ここでマイトはオショウの便器を見た.
マイト「なんだい,ちょろちょろ,ちょろちょろ. 手持ちの蛇口が壊れたのか?」
オショウ「ああ.出が悪くてなあ.」
マイト「ああ,そうか.いい医者紹介しよう.」
オショウがマイトの方を向いた.
マイト「小西医院って言うんだ.」
オショウ「ありがとう.」
植木等さんは笑いをこらえるのに必死だ. ここでマイトはようやく本題に入った.
マイト「何でこの店.みゆきのマネージャーの線か?」
オショウ「内田って奴は事件後プロダクションを辞めているが, 競馬のノミ屋に1千万近い借金があるらしいんだ.」
マイト「なるほど.臭うなあ.」
内田は男(亀石征一郎)に金をせびりに来たのだ. 男にはるみはどうする気かと尋ねていた. 男がはるみと一緒に店を出た所をヨガが撮影した.

はるみの店で内田と会っていた男についてデジコンが説明する.
デジコン「芦沢じろう48歳.元ワールドプロ全盛時のチーフマネージャー. 何人ものスターを育て上げ,十年前には芸能界随一の切れ者と呼ばれた男だ. ところが5年前,マリファナパーティーの主催者と見られ, 当局の手入れを受けたが証拠不十分になった. それをきっかけにギャラのピンハネ,その他, 芦沢が裏でやっていた汚い手口がわかったりして,彼はワールドプロを首になり, 以後,芸能界から芦沢の名前は消えたってわけだ.」
マイト「じゃあ内田との関係も…」
デジコン「そう.内田は芦沢からマネージャー業のいろはを教え込まれた, いわば子弟の関係だ.」
オショウ「はるみって女は?」
デジコン「以前新宿の場末の小さなバーで働いていた頃, 芦沢とできてたらしい.」
オショウ「芦沢から他の男に乗り換えてクラブのママに出世したってわけか. よほどいいスポンサーみつけたんだろうな.」
デジコン「そのスポンサーが誰かってのがよくわからないんだ.」
タミー「いずれにしてもこの事件は芦沢と見て良さそうね. 動機は自分を追い出したワールドプロに対する復讐.」
だがマイトはそれを否定した.
マイト「いや,違うな.」
タミー「なぜ?」
マイト「人が二人も死んでる.これだけのことやるのに相当金も要る.」
タミー「だからそれは競争相手のプロダクションとかレコード会社とか…」
マイト「いやあ.スキャンダルぐらい作っても殺しまではなあ.」
デジコン「そう.いくら調べても現在の芦沢と芸能界をつなぐ線が出てこない.」

そこでヨガは芦沢を見張ることにした.芦沢のマンションに内田がやってきた. 内田は芦沢に覚醒剤もせびっていたのだ.内田は直接あの方に接触すると言うが, 芦沢はそんなことは絶対にさせんと追い返した.芦沢はどこかへ電話した. 電話番号は局番がわからず,4149しかわからなかった. ゴッドのオフィスでデジコン達は頭を抱えていた.
デジコン「局番無しの 4149 かあ. それだけじゃ,いくら俺のコンピュータでも無理だなあ.」
タミー「局番を突き止める方法ね.」
タミーが 4149 とぶつくさ言っていると
オショウ「こりゃ 4149 じゃなく 4989 だなあ.」
デジコン「なんすか,そりゃ.」
オショウ「四苦八苦って言うの.」
タミーは苦笑した.
マイト「オショウ,冗談言ってる場合じゃない.タミー,時間だぞ.」
タミーははるみの部屋へ潜入することにしたのだ.

タミーが芦沢の席に着くと,はるみはここはいいわ, と言ってタミーを追い出した.はるみは内田の件は大丈夫かと念を押していた. はるみは芦沢がくわえたタバコに火をつけようとして, ライターを落としてしまった.ライターを拾おうとした芦沢は, テーブルの下に盗聴機が仕掛けてあるのに気がついた. 芦沢が盗聴機の存在に気づいたことを盗聴していたデジコンも気がついた. タミーはロッカーを調べ,はるみの手帳から 4149 の電話番号を調べた. タミーが手帳を調べているところをはるみと芦沢も見たが, 芦沢はとりあえずタミーを泳がせることにした. 4149 というのは「坂田直通」と書かれた電話番号(182-4149)の一部だった. タミーはトイレから無線でデジコンにそのことを報せた. デジコンは盗聴機が発見されたことを伝え, 無線機も捨てろと言った.タミーは無線機をトイレのゴミ箱に捨てた. 業務終了後,タミーははるみと芦沢に拉致されてしまった. はるみはボスの元へ向かった.そしてはるみをヨガが尾行した.

デジコンの調べで事件の全容がわかった. 事件の背後には一流の繊維メーカーであるレージンが関わっていたのだ. 新興のクリスチーヌ社が派手な宣伝攻勢をかけて水着業界に殴りこんだおかげで, ナンバー1を誇っていたレージン水着の売上ががた落ちになってしまった. そこでクリスチーヌのアイドルである河野みゆきに汚い罠を仕掛け, 一気に叩き潰す作戦に出たと言うわけだ. 今度の事件の黒幕はレージン専務坂田正也(根上淳)50歳. 全レージングループの宣伝販売の総司令官で次期社長の有力候補と言われる男だ. そして井上はるみのパトロンだ. はるみの店も半分はこの坂田の名義になっている.

その頃,タミーは芦沢に拷問されていたが何も吐かなかった. そこへはるみと一緒の部屋にいた坂田から電話がかかってきた. 芦沢は坂田に女(タミー)が何も吐かない事を報告. 坂田は明日連絡するといって電話を切った. 翌朝,坂田が部屋を去ると入れ替わりにヨガが入ってきた.
ヨガ「タミーはどこだ?」
はるみ「タミー?」
ヨガ「夕べ,お前達が誘拐した女だ.」
はるみ「知らない.あたし,知らないわ.」
ヨガははるみに当身を食らわせた. 出社した坂田のところへマイトから電話がかかってきた.
マイト「単刀直入に話をしましょう.坂田さん,夕べ, あなたは一人の女を手に入れましたね.そのことで話があるんだ.」
坂田「女? 何のことかさっぱりわからんなあ.」
マイト「とぼけるな.まあいい.後で連絡するから, それまで大切に女を預かっといてくれ.それから,坂田さん. あなたの周りから薬の臭いがぷんぷんするなあ. 気をつけた方がいいんじゃないですか.」
マイトはそう言って電話を切った.すかさず坂田は芦沢に電話をしたが, 女(タミー)は何も喋らないと言う返事しか返ってこなかった. 坂田は内田を拉致して女(タミー)と「心中」させろと命じた. 早速芦沢の手下が内田のところへ走ったが, 芦沢の手下はデジコンとオショウに倒された. そして内田はデジコンとオショウに拉致された.

覚醒剤が切れた内田は「薬をくれ.」と繰り返した. オショウとデジコンは覚醒剤をたてに河野みゆきの件を聞いた. ついに内田は自白した.
内田「坂田だ. レージンの坂田専務が命令して会社の利益の為に河野みゆきを殺したんだ.」
オショウとデジコンは「薬」を打った.
オショウ「もう効いちゃったよ.最近の睡眠薬は凄いね.」

坂田のところへ内田の代理と称してマイトが現れた.
マイト「ほう,さすがは従業員7000人の大企業だ.立派なもんですな.」
坂田「誰だい,君は?」
マイト「内田まさお, 死んだ河野みゆきのマネージャーだった内田まさおの代理ですよ.」
坂田「内田? 知らんなあ,そんな男.」
マイト「ご冗談を.」
マイトは冷笑し,核心に入った.
マイト「ところで,タミーは元気ですか?」
坂田「タミー?」
マイト「たみこ.今朝電話でお話したでしょう.あなたに預かって もらってる女ですよ.ま,とにかく,これを聞いてみてください.」
マイトはテープを取り出して再生した.
内田の声「坂田だ. レージンの坂田専務が命令して会社の利益の為に河野みゆきを殺したんだ.」
坂田は笑った.
坂田「何だね,これは.誰かがこしらえたいたずらテープかね.」
マイト「そう思いますか.ちょっと電話を借りますよ.」
マイトはどこかへ電話した.
坂田「私は忙しい体なんだ. いつまでも君の相手をしているわけにはいかないよ. さっさと帰ってくれたまえ.」
マイトは坂田の言葉を無視して電話を続けた.
マイト「ああ.俺だ.うん.出してくれ.頼むよ.どうぞ.出てますよ.」
マイトは受話器を坂田に渡した.
はるみの声「あなた,あたし.はるみよ.助けてえ.このままじゃ, あたし殺されるわ.お願いよ.その人の言うこと聞いて頂戴. ねえ,あなた.お願いよ.助けて.助けて,あなた.」
マイト「おわかりですね.」
驚く坂田を尻目にマイトは電話を切ってしまった. そしてマイトは封筒を取り出した.
マイト「専務,ここに時間と場所が書いてあります.キャッシュで5千万. それにタミーを連れてくる事.その代わり,はるみと内田は渡します. それで取引は全て終了.よろしく.」
マイトは立ち去った.

その頃.河野みゆきの姉水野恵子は家財道具を全て送り出し, カーテンを閉めていた.そして河野みゆきのお骨が入った骨壷の箱を持ち上げた.
恵子「みゆき,松本へ帰ろう.ね.」
そして恵子は松本へ帰ろうとマンションの玄関へ出た. そしてマンションの玄関にある郵便受けを見ると手紙が入っていた. それは黒い封筒に入っていて, 導火線に火のついたダイナマイトを手に持ち, 葉巻をくわえたギャンブラーが描かれたシールで封をされた手紙,すなわち, マイトからのハンギングパーティの案内状だった.恵子は案内状を読んだ.
マイトの声「傷ついたまま死んでいったみゆきちゃんは, 我々の永遠のアイドルでした.あのみゆきちゃんを罠にはめ, 死に追いやった悪党達を許すわけにはいきません. 明日の正午に,下記の場所へおいで下さい.悪党達に裁きが下されます.」
ハンギングパーティの場所は天神島の佐島マリーナだった. そしてハングマンは表の仮面を脱ぎ捨ててハンギングに出動した.

ハンギング

さて佐島マリーナに坂田がタミーと芦沢達を連れてやってきた. レストランに入る坂田達.そこへボーイが電話を取り次いだ.
坂田「ああ,もしもし.坂田だが.」
マイト「金は持ってきたか?」
坂田「ああ.持って来た.」
マイト「よし.真中の桟橋の一番端のモーターボートをチャーターしてある. 芦沢と二人でタミーを連れてそれに乗り,港の外に出ろ.」
坂田はマイトの指示に従った.それをマイトも確認した. そこへ恵子も河野みゆきの遺骨とともにやってきた.その頃, 坂田は無線機を取っていた.
マイト「タミーに水着を着せてあるか?」
タミーはうなずいた.
坂田「ああ.」
マイト「よし.じゃあ,タミーを泳がせろ.」
タミーは海へ飛び込もうとしたが,坂田が押さえ込んだ.
坂田「待て.はるみはどこにいる?」
マイト「金を持って,沖にいるヨットへ行け.そこにはるみがいる.」
坂田はタミーを海へ飛び込ませた.
坂田「わかった.」
坂田は沖にいるヨットへ急ぎ,タミーは泳いだ. そしてヨガがタミーを引き揚げた. ヨットに着いた坂田と芦沢はヨットに乗り込んだ. 船室にははるみと内田が縄で縛られて猿轡を噛まされていた. そして船室の壁は河野みゆきのポスターで貼り尽くされていた.
坂田「はるみ.」
坂田は船室に入り,はるみに近寄った.
坂田「しっかりしろ,はるみ.」
坂田ははるみの猿轡を外した.
はるみ「あなた.」
だが薬が切れていた内田が喋り捲る.
内田「みゆきはいい子だった.」
芦沢と坂田は内田を押さえ込もうとするが
内田「あんた達はよってたかってあんなかわいい子を殺しちまったんだ. 坂田専務.」
船室の模様は外のスピーカーへも流された.
芦沢「黙れ.」
内田「芦沢さん,あんたもだ.きたねえ手,使って.坂田専務.」
坂田「うるさい.」
内田「芦沢さん,あんたもだ.」
芦沢「うるさい.」
内田「あんなかわいい,かわいい子を殺したんだ. その上,俺まで殺そうとしたじゃないか.」
芦沢「だまらねえか.」
恵子は河野みゆきの遺骨を抱いて内田の叫びを聞いた.
内田「坂田専務.あんた,レージンという会社のためにみゆきを殺したんだあ.」
野次馬がヨットハーバーに集まってきた.
坂田「うるせえ.貴様,そのために1千万円くれてやったじゃないか.」
内田「嘘だあ.俺,俺も殺そうとしたじゃないか.ちくしょう.きたねえぞ, お前達.」
坂田と芦沢は内田の口を塞いだ.
芦沢「殺してやる.」
その時,船室でチャイムが鳴り響いた.
マイト「よく喋ってくれたなあ,坂田さん. 港の連中も面白がってみてるぜ.ぼちぼち,お迎えも来る頃だ.」
坂田と芦沢が慌てて外へ出るとパトカーが見えた. そして警官達が降りてボートに乗り,サイレンを鳴らしてヨットに近づいた. 頭を押さえる坂田.じっとヨットをみつめる恵子. そして恵子は新宿駅から急行アルプスに乗って松本へ向かった. それをマイトは甲州街道の橋の上から見送った.

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