第四回

死人になった男の冤罪を晴らす
天下り役人に仏罰を

脚本:田上雄 監督:小澤啓一

ある晩.地下駐車場を男(平泉成)が逃げ回っていた. だが正面からも背後からも続々と人が追いかけてくる. 男はマイトの車に潜り込んだ.マイトはそれに気がつかずに車を走らせていたが, しばらく走っているうちに気配に気づき, 車を止めた.そしてドアを開けて外に出て,タバコを吸い始めた.
マイト「おい,あんまり待たせるなよ.」
男が降りてきた.
マイト「ただ乗りは国鉄だけにしてもらいたいね.それとも金が目当てかい.」
男「決してそういうわけじゃ.素晴らしい車だったんで,つい.」
マイト「冗談じゃねえ.ガキのカーマニアじゃあるまいし.追われてるのか?」
マイトの質問は図星だった.男はマイトから目をそらした.
マイト「やっぱりな.」
男は逃げ去った.
マイト「それにしても,どっかで見た顔だなあ.」
次の日.秋葉原のデジコンの店でマイトは昨日の男の顔を, コンピュータで作らせていた.男は二年前, マイトが現役の刑事だった頃に手配写真で見たことのある顔だったのだ. どうでもいいが,この描写は昔の描写と矛盾する.「ザ・ハングマン」では, オショウことパンの娘が中学二年生の時 銀行に就職して働いている時 と,二つの事件が登場する.なおかつ,パンは23歳の小島京子のことを, 「年格好もうちの娘と同じくらいでなあ.」と言っているのだ. 「ザ・ハングマン」ではかなりの時間が経っていると考えないとおかしいだろう. ま,それを言い出すとキリがないので無視しよう.

今週のよね子 その1

妙徳寺ではよね子がオショウの帰りを待っていた.
よね子「遅いわねえ,和尚様.もうお帰りになってもいい頃なのに.」
よね子はお弁当だけではなく,布団まで敷いて待っていた.
よね子「昼間っからはしたないかしら.でも,今日は絶対逃がさないんだから.」
すると戸の開く音が.
よね子「あら,帰って来た.」
よね子はコンパクトで自分の顔を見た.そして障子のそばに隠れ, オショウの登場を待った.障子が開いた. よね子は入ってきた男の足に抱きついた.
よね子「お帰りなさい.随分お待ちしておりまし…」
様子がおかしいのでよね子が見上げると,彼は前の晩にマイトが乗せた男だった.

さてオショウがスクーターで帰ってくると山門からよね子が飛び出てきた.
よね子「ああ,ああ,大変です,和尚様.」
オショウ「ああ,これは奥さん.どうしたんすか,そんなに慌てて.」
よね子「わたくし,とんでもないことしてしまいました.」
オショウ「とんでもないことって何やらかしたんです?」
よね子「和尚様と間違えて知らない人に抱きついてしまったんです.」
オショウ「なんてはしたないことしてくれたんですか. 檀家の方ですか?」
よね子「和尚様の弟さんです.」
オショウ「私の弟?」
オショウは驚いた.
よね子「ええ.確かにそうおっしゃいました.」
突然,オショウはスクーターで去って行った.
よね子「待って,どこ行くのう.」
その様子を二人組の男が物陰から見ていた.
男(石山雄大)「見張ってろ.」
男は部下(沖田駿一)に命じていた

とりあえず調査開始

茶室でゴッドにオショウが質問していた.
オショウ「あの寺の住職は妻帯したことがなく,家族はないと仰いましたねえ.」
ゴッド「ああ言ったよ.コンピュータがそういうデータを弾き出したんでねえ.」
オショウ「親兄弟はすでに死亡,親戚はなしとこうおっしゃいましたねえ.」
ゴッド「その通り.ハングマンが生き返るにはもってこいの人物だ.だから, 君に住ませた.」
オショウ「しかし,現に弟と称する男が寺に訪ねてきてるんですよ. これいったいどういうことなんですか?」
ゴッドはオフィスに出てコンピュータを操作した.
ゴッド「さて,始めるか.」
オショウ「またこれでやんですか.やだなあ.人間が機械に使われるなんて.」
ゴッド「うん,これだな.」
オショウ「え?」
ゴッドはアカツカミキオ,昭和16年生まれで前の住職の妹の夫を検索して出した. つまり,住職の義理の弟だった.変だなあと不思議に思うゴッド. そこへマイトがやってきた.マイトは偶然その男を乗せたと言い, その男は二年前に自殺したことになっていたことも告げた. 彼はひき逃げした責任を取って妻と一緒に海に飛び込んでいたらしい. マイトは赤塚は追われているらしいと言った.
ゴッド「その辺の事情はオショウ,君自身が本人に聞いてみるんだな.」
オショウは大慌て.
オショウ「冗談じゃありませんよ. そんなことしたら,あたしが偽者だって一発でばれちゃいますよ.」
ゴッドは大笑い.
ゴッド「ばれるかばれないかは君次第だよ. 元々,前の住職と君とは顔形が実によく似てるんだ.これがその写真だ.」
確かに前の住職はオショウによく似ていた.

その頃,ある屋敷の中で男(稲葉義男)が女秘書(工藤明子)から, 赤塚が義理の兄が住職をしている寺へ逃げ込んだことをしらされていた. 男は赤塚と住職を今夜中に始末しろと命じていた.その頃, 大塚付近の都電のそばにある, 蔵というラーメン屋で働く小谷(本阿弥周子)のところへ, 赤塚から電話がかかってきた.赤塚は義理の兄のところにいると言った.

オショウは前の住職に化けて赤塚に事情を聞いていた. 赤塚だけ海中に押し出されて助かったと言うのだ. なぜ名乗り出なかったのかと言うオショウに赤塚は答えなかったが, 赤塚は当分の間かくまってくれと頼み込んでいた. そのとき,物音が.恐がる赤塚にオショウは風の音だと安心させた. 赤塚はオショウに, 出向先の会社の社長を自分が轢き殺した事件を知っているかと聞いていた. 事件が起こったのは二年前の四月. 被害者はホテル建設会社で城都建設社長木島そういちろう. 実はあの事件は赤塚の犯行ではなかった. 赤塚の車を使って他の誰かが故意に轢き殺した殺人事件だったのだ. そこまで言ったところで男達が乱入し,赤塚を撃ち殺した. オショウは拳銃で応戦.男達は逃げ去った. 赤塚は一年間一緒に暮らした小谷かずえの写真を渡し, 詳しいことは小谷に聞いてくれと言った.赤塚は小谷の住所を言おうとしたが, 豊島区と言ったところで事切れてしまった.

ダイナにて

二人組の女(春やすこ・けいこ)がポーカーをしていた. マイトが鮮やかなカードさばきを見せる.
やすこ「ちょっと,なにみとれてんのよ.早くチップ賭けえよ.」
けいこ「いやあな,このおっちゃんなあ,私の彼氏によう似てんねん.」
マイト「おっちゃん?」
マイトはおっちゃんと呼ばれたことを気にしたようだ.
やすこ「どこが似てんのよ.」
けいこ「似てるじゃないのよ.色が限りなく黒くてさあ, 指のサイズが,指のサイズが,こんな人に私,犯されたいわ. 私,乗り換えよう.」
すかさずマイトがおだてた.
マイト「お客さん,お二人とも私の好きなタイプなんです.」
やすこ「私もタイプやわ.触らせて.」
マイト「お客さん,たちます,たちます.たちます.」
そこへ従業員の女の子がやってきた.電話がかかってきた. 電話はデジコンからだった.
デジコン「実は,つい先程ゴッド商会から連絡が入りましてねえ. 新しい製品が入荷したそうです.よろしければ,ご一緒に行ってみませんか.」
マイト「わかった.すぐ行く.」

ヨガの路上販売

相変わらずヨガは瞑想していた.
タミー「これ,おいくらかしら?」
ヨガ「ブスは5千円,ぶりっ子なら3千円,美人は千円.」
タミー「あ,そ.じゃ,これでいいわねえ.」
タミーは千円札のおもちゃを出した.ヨガが裏返してみると 「大至急! ゴッドのオフィスに集合のこと!」と書かれていた.

本格的に調査開始

ゴッド「赤塚三喜男の死体は極秘裏に埋葬した.無論,警察には届けていない. 理由はわかるな.」
タミー「事件が表面化するとオショウの立場が危なくなるからです.」
ゴッドはうなずいた.
ゴッド「したがって,今回の仕事はオショウを除く四人でやってもらう.」
オショウ「その間,あたしは何を?」
ゴッド「寺へ帰ればまた命を狙われるかもしれんぞ.ま,しばらく, ホテルへでも入って,ゆっくり静養してもらおう. さて,問題の城都建設について説明しておこう. この会社は今から十年前に設立された.資本金は17億2千万.」
デジコン「建設会社としては中の上というところだな.」
ゴッド「だが,この数年来飛躍的に発展している. まず建設官僚だった前社長が就任と同時に200億に及ぶ地下鉄工事を受注した.」
マイト「つまり国家事業の契約と言う手土産で天下りしたってわけだ.」
タミー「よくある話ね.」
ゴッド「前社長が事故死した後, 新たに迎えられた現社長の中根忠雄(江見俊太郎)もやはり官僚出身だ. この男もまた天下りの際には, 100億以上の河川改修工事を手土産として持ってきたといわれている.」

中根の元をタミーが木島多美恵と名乗り,前社長の娘と称して訪れた. タミーは中根に赤塚三喜男のことを訪ねたが,中根は知らないと答えた. タミーは赤塚が訪ねてきたと言い,赤塚が前社長の死が単なる事故ではなく, 意図的な殺人だと言っていたと中根に言った.中根は知らないと答えた. タミーは目眩を起こしたふりをし,中根に盗聴機をつけてきた. 早速デジコンとヨガが盗聴を開始した.中根は大野木に会いたいと秘書に伝えた.

その頃,マイトは蔵へ行き,赤塚の友人草野と称して小谷かずえに会っていた. マイトは赤塚がオショウに託した写真を見せるとかずえの態度が変わった. マイトは赤塚が拳銃で撃たれて死んだことを伝えた. かずえは赤塚が死んだと聞いて驚いた.その頃, 会社を出た中根をヨガがバイクでつけていた.そして, マイトは赤塚が心中の生き残りだと知っていたねとかずえに聞いた. 赤塚は一生懸命立ち直ろうとして働いていたのだ. マイトが城都建設の件を持ち出すとかずえは警戒して去ろうとした. だがつわりを起こして倒れてしまった. かずえは赤塚の子を妊娠していたのだ.

中根は大野木の屋敷に入った.それは赤塚殺しを部下に命じた男の屋敷だった. ヨガも屋敷に忍び込んだ. 中根は赤塚を使って木島前社長を殺したことがばれたらと恐がっていたが, 大野木は赤塚が死んだことを伝え,安心するように言っていた. 大野木は酒を勧めたが,中根は弱くなったのでと断った. それを聞いた大野木はそろそろ引退した方がいいだろうと言った. 中根は驚いたが,大野木は政治献金が減ったことを理由に引退を迫った. だが中根は断った.どうしてもやめさせると言うなら, 今までのことを公表すると開き直った. 大野木は赤塚のときと同様,女に殺しを命じた. 一生懸命写真撮影するヨガ.しかし犬がヨガに寄ってきて吠えた. 音を聞きつけて大野木の女が出てきたのでヨガは逃げた. そしてヨガは木の上にのぼり,死人のポーズを取って気配を消した.

エスカイアで昼間の件をヨガがタミーとデジコンに話していた.
タミー「死人のポーズ?」
ヨガ「そう.ブレッシングのコントロールで心臓の働きをミニマムに. ヨガの秘伝だ.」
デジコン「よくわからんが, 相手が死人では猛犬もよりつかないという理屈らしいな.」
ヨガ「理屈じゃない.宇宙の法則.
デジコンは苦笑した.
タミー「それで,大野木と言う人物は見届けたの?」
ヨガはカメラを見せた.

さてオショウは暇を持て余していた.
オショウ「ホテルに缶詰なんて冗談じゃねえよ. ちょいと失礼させて出かけますよ,仏様,あ,そうか,ゴッド様か.」
オショウは赤塚の義理の兄と称して小谷かずえの家を訪れた. そしてかずえを赤塚の墓へ連れて行った.かずえはお墓に手を合わせた.
オショウ「いやあ,ありがとうございました. これで三喜男も半分は浮かばれたでしょう.」
かずえ「半分?」
オショウ「完全に成仏できるのは, 三喜男を殺した犯人が罪の報いを受けたときです.」
かずえ「そんな.できるはずありません.相手が大きすぎます.」
オショウ「盛者必滅.獲者情理.おごれるものはいつかは滅びます.」
かずえ「誰が.まさかあなたじゃないでしょう.」
オショウ「かずえさん,三喜男はどうして殺されたんですか?」
かずえは無言で目をそらした.
オショウ「話してください.かずえさん.」
かずえ「あの人は,城都建設の前の社長さん殺した犯人をゆすってたんです.」
オショウ「ゆすってた? 金が目当てですか?」
かずえ「ええ.あたしのおなかに赤ちゃんができたのがわかって, せめて親子三人人並みに暮らしていけるだけの余裕が欲しいからって.」
オショウ「馬鹿な真似を.あなた止めなかったんですか?」
かずえ「止めました.お金なんかなくたって幸せになれるって.でもあの人, 自分を無実の罪に陥れた奴に償いをさせてやるって.あたしの頼みを無視して…」
オショウ「無実の罪に陥れたって言うと?」
かずえ「二年前に城都建設の社長さんが死んだのはあの人のせいじゃないんです. あの晩…」
運転手をしていた赤塚は前社長を乗せて家へ送る途中, 社長宅の近くで道路工事にぶち当たってしまった.社長はここで降りるといい, 歩いて帰っていった.その直後,工員達(沖田駿一ら)に赤塚は襲われ, 車を奪われた.車で社長は轢き殺され,赤塚は妻とともに拉致された.
かずえ「その後,二人は車に乗せられて,海に突き落とされたそうです.」
オショウ「だが三喜男だけが生き残った.そしてあなたと出会い, 第二の人生を送るようになったと.こういうことですな.」
かずえ「ええ.」

ゴッドのオフィスにハングマンが集合した.
ゴッド「この男の名は大野木ごうすけ.」
マイト「政財界に隠然たる勢力を持つ大物実力者.」
ゴッド「そうだ. 滅多に表面には出ないので影のプレジデントとも呼ばれている.」
デジコン「城都建設とはどういう関係で?」
ゴッド「うん. 設立の時点で便宜を図ったのが縁で毎年多額の政治献金を受けている.」
タミー「それがなぜ前社長の命を?」
ゴッド「新たに天下り社長を送り込むことにより, 国家事業に絡む巨額の契約を手に入れるためだろう.」
オショウ「その手土産から獲た利益も結局は政治献金に化けるわけですね.」
ゴッド「うん.極めた悪質かつ国民を愚弄したやり方だ.」
マイト「それじゃあ,現社長もグルですか?」
ゴッド「多分な.しかも,ごく近い将来に消される恐れがある.」
ゴッドが改めて指令を出す.
ゴッド「そこで諸君の任務だが大野木の正体を国民の前に暴いてもらいたい. 手段を選ぶ必要はない.徹底的に痛めつけてやれ.」

中根を大野木の部下が狙っていた.血液を動脈にぶち込んで凝固させる作戦だ. その頃,中根の乗るエレベータにオショウとタミーが乗り込んだ. 中根の乗る車を大野木の部下が追った.車を止め,部下が注射しようとした瞬間, 注射器と拳銃が数珠で跳ね飛ばされた. 実はオショウが中根に化けて入れ替わっていたのだ. 中根はタミーに眠らされていた.逃げようとした大野木の部下はヨガ, そしてタミーに倒された.大野木の屋敷にはマイトとデジコンが潜り込んだ. デジコンは麻酔銃で犬を眠らせた. だが庭で大野木の部下がマイトとデジコンを襲ってきた.
デジコン「人間様の相手は任せるぜ.」
マイトがボディーガードを倒している間にデジコンが忍び込んだ. 大野木は日本刀を振り回したが,麻酔銃の相手ではなかった. デジコンは女も麻酔銃で眠らせた.そこへマイト登場.
マイト「どうだい,麻酔銃の威力は.」
デジコン「効き目は抜群だよ.」
マイト「よーし,運ぼうか.男の方,頼む.」
マイトは女の方に手を伸ばした.

かずえのところに, 白い封筒に入っていて数珠を握る手の描かれたシールで封をされた手紙, すなわち, オショウからのハンギングパーティの案内状が届いているのを見つけた. かずえは案内状を読んだ.
オショウの声「小谷かずえ殿.本日午前10時,城都建設本社前へご足労下さい. 故赤塚三喜男および城都建設前社長木島そういちろう氏殺害の犯人に, 仏罰が下されます.合掌.」
そしてハングマンは表の仮面を脱ぎ捨ててハンギングに出動した.

ハンギング

大野木達はコンテナの中に建てられた柱に縛り付けられていた. 大野木達の周りには鉄道模型の線路が張り巡らされていた.
大野木「ここはどこだ?」
オショウ「ここは閻魔様のお裁きの場だ. 今に仏罰が当たるから楽しみにしてな.」
中根「お前達は何者なんだ.」
タミー「あたし達はハングマン.闇の死刑執行人よ.」
大野木「死刑執行人?」
大野木の部下「ふざけたこと言うな.」
デジコン「俺達は真面目さ.天下りによる国家事業の契約と, それに伴う政治献金を狙う悪党どもを制裁しようって言うんだ.」
マイトがポケットから液体の入った小瓶を取り出した.
マイト「これがなんだかわかるか?」
マイトは小瓶の蓋を開けた.
マイト「ただの油じゃねえぞ.」
マイトは小瓶からスポイトで液体を少量吸い上げた. スポイトから液体を垂らすと液体は爆発した.
大野木「ニトログリセリンか.」
マイト「その通り.」
マイトは小瓶の蓋を閉めた.大野木の部下はビビリまくった.
マイト「デジコン,用意はいいか?」
デジコン「いつでも発車できる.」
マイトは電気機関車(EF81)の模型につながった貨車に小瓶を載せた.
マイト「この二台の機関車が衝突するとニトロに衝撃が加えられる.」
もう一台の電気機関車(EF65の1000番台PF型)が映る.
タミー「つまり,この部屋もろとも木っ端微塵になるわけよ.」
大野木達は恐怖で顔が引きつっていた.
デジコン「そろそろ発射時刻だ.」
マイト「よーし,出発進行.」
デジコンは機関車を発進させた.機関車がぶつかりそうになった.
オショウ「は,は,はあ.危なかったなあ.おい, 俺達そろそろズラカッタ方がいいんじゃないなあ.南無阿弥陀仏, 南無阿弥陀仏.」
ハングマンは全員立ち去った.
大野木「おい,おい.待て.待ってくれえ.」
置いてけ堀の悪党達は, ニトロを載せた貨車が何かにぶつかりそうになるたびに悲鳴をあげた. 本当に心臓に悪い状況だ.
中根「おい.ま,待ってくれえ.話す.話すから,その電車を止めてくれえ.」
大野木「黙れ,黙るんだ.」
だが中根は黙らなかった.
中根「私はあんたの言うことなんか聞かん.おーい,聞いてくれえ. 城都建設の前社長を殺したのはここにいる南村と佐伯だ.この二人だあ.」
佐伯(沖田駿一)「そんな.俺達は金で雇われただけでい. た,助けてくれえ.は,助けてくれえ.」
大野木「お前達の言うことなんか,誰が信じるもんか.」
実は中根達の自供は全て外のスピーカーへ大音量で流されていた. コンテナは城都建設の本社前に置かれていた.
佐伯「本当なんだ.それだけじゃないんだ. 前社長殺しの事実を知っていた赤塚と言う男を殺したのも俺達なんだ. ここにいる大野木の女秘書に指図されてやったことなんだ.ホントなんだよう.」
女「違います.わたくしが指図したのではございません. わたくしは大野木の指令を取り次いだまでで,わたくしに罪はございません. 冤罪でございます.」
その途端に壁が倒された.野次馬達が大野木を指差して大笑い. 大野木は観念して頭をたれた.その様子をかずえも見ていた. パトカーと野次馬がかけつけるのを見届けてからハングマンは去って行った.

今週のよね子 その2

オショウは赤塚三喜男の位牌に事件解決を報告.線香をあげ,お経をあげた. そこへよね子がやって来た.
よね子「和尚様.」
オショウ「え? あ!」
よね子「帰ってらしたんですのねえ.」
オショウ「またあんたかあ.」
オショウはがっかりした.
よね子「ずうっとお待ちしてたんですのよ.」
オショウは溜息をついた.
よね子「どこへ雲隠れしてらしたんですか?」
オショウ「ええ,ちょっとホテルのほうへ.」
よね子「ホテル? あたしをほっといて,どなたとですの?」
あれこれと妄想したよね子が迫る.
オショウ「いや,どなたとって私一人ですよ.」
だが(勝手に)嫉妬するよね子は納得しなかった.
よね子「嘘,嘘,嘘.誰となんですか,いったい誰となんですか.」
しかたがないのでオショウは外へ逃げた.
よね子「和尚様,お待ちなさい.お待ちなさい.和尚様.」
オショウ「うわあ.」

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp