第五十一回

ハングマン組織解散
死人たちは二度死なない

脚本:中村勝行 監督:井上梅次

都内のホテルで男(藤木孝)と女(田島令子)が情事にひたっていた. 男は女から以前頼んだ情報を得ていた. それは検察側の隠し球に関する情報だった.女はその男西岡に抱きついた.

西岡は南條弁護士(戸浦六宏)に電話をかけていた.
西岡「山岸稔,32歳.セントラルホテルの営業主任です.」
南條「ホテルマンか.で,住所は?」
西岡「中野区緑町3-6-14」
南條「そうか.ご苦労だった.礼はあらためて.」
南條は部下の坂崎に命じて山岸を始末させた. まず帰宅する山岸を殴り倒し,無理矢理酒を飲ませて踏み切りに寝かせ, 電車に轢き殺させたのだ.

その夜のうちに村上精二検事正(小池朝雄)は, 検事総長からの電話でそのことを知った. 村上は妻のかよこ(田島令子)に今夜は帰れないかもしれないと告げ, 検察庁へと出て行った.そう.西岡の情事の相手はかよこだったのだ.

調査開始

この「事故」を怪しいとにらんだゴッドはハングマンに調査するよう指令した.
パン「夕べ11時頃,城北線緑町駅付近の無人踏切で,帰宅途中の会社員, 山岸稔さんが下り電車にはねられて死亡.緑署の調べによると, 死んだ山岸さんは酒を飲んでおり,警報機を無視して, 踏み切りを渡ろうとしたのが事故の原因と見られている.」
デジコン「いくら酒を飲んでたからといって,電車が走ってくるのくらい, 気がつきそうなものだがなあ.」
タミー「泥酔状態ならわかるけど.」
マイト「この事故と俺達の仕事とどういう関わり合いがあるのです,ゴッド.」
ゴッドはマイトの問いに答えた.
ゴッド「偽装殺人の疑いがある.」
マイト「偽装殺人?」
デジコン「何か根拠でも?」
ゴッド「死んだのはこの男だが,今世間を騒がせている帝都物産事件だ.」
タミー「帝都物産事件と言うと…」
パン「輸入食料品の闇カルテル問題で国会で追及されている大事件だよ.」
マイト「もみ消そうとして政界に金をばら撒き,贈賄容疑で会社は起訴されたが, 一つ間違えれば内閣の命取りになるぜ.」
ゴッド「もっか公判の山場を迎えて検察,弁護側が必死の攻防を続けている. ところがここへ来て検察側が有力な隠し球を持っているという噂が流れた.」
マイトが身を乗り出した.
タミー「隠し球?」
ゴッド「金の受け渡し場所とされているセントラルホテルの営業マンだ. 贈賄容疑を立証する決め手としてこの男を証人申請するつもりでいた.」
デジコン「まさか,この男が.」
ゴッド「夕べ事故死した山岸稔だ.」
マイト「偶然にしちゃ出来すぎた話だ.」
デジコン「しかし,隠し球というからには, この男の存在は極秘だったわけでしょう?」
ゴッド「検察上層部と捜査当局のごく一部しか知らない事実だった.」
タミー「とすると,検察内部から情報が漏れたということですね.」
ゴッド「誰が,いつ,どこで,どんな方法で情報を流したか. それを暴くのが君達の仕事だ.」
続けてゴッドは警告した.
ゴッド「ただし,相手が検察であれ弁護士であれ, 国家最高の権力である司法機関に切り込むことになる. 一つ間違えばどういうことになるか.それなりの覚悟をしてもらいたい.」

検察庁で村上は悔しがっていた. 特捜部の高柳刑事(土屋嘉男)は特捜部では他殺の疑いも濃いと見ていると言った. 村上も同意見だった.その場合,検察内部から情報が漏れたことになる. 村上は検事総長と協議し,表向きは事故として処理し,内偵を進めることにした. 村上は高柳に内偵を依頼した.
村上「あ,高柳さん.」
高柳「は?」
村上「向こうには南條弁護士という難物がついているからねえ. 捜査はくれぐれも慎重に.」

その頃,南條は事務所でほくそ笑んでいた.
南條「検察もさぞ泡を食ってることだろうなあ.」
坂崎「村上検事正の顔が見たいところですよ.」
南條「あの若さで地検のトップに一気に駆け上がった男だ. 今度の事件でも徹底的に追及して内閣の屋台骨を揺さぶり, 一躍マスコミに名を売るつもりだ.」
坂崎「勝てば検事長の椅子が約束されるでしょうからねえ.」
南條「だいたいあの男は人生を計算しすぎたようだな. 前の法務大臣の娘を妻に迎え, 政略的に現在の地位を手に入れたところまでは良かったが, その親父さんが病死した途端,手のひらを返したように妻に冷淡になった. そもそもそれがつまずきの元だ.」
南條はコーヒーを飲んだ.
南條「ところで大丈夫かな?」
坂崎「酔っ払いの事故死と言うことで他殺の線は出ておりません.」

マイト達は弁護側,検察側の人物の写真をテーブルに並べていた.
パン「さあてと,どっから攻める?」
マイト「こいつはどうだ.」
マイトは南條の写真を取った.
タミー「誰?」
パン「南條常雄.」
デジコン「帝都物産の弁護団長だよ.」
マイト「検事上がりの海千山千の弁護士だ.」
パン「なるほど.この男なら検察の手の内は知り尽くしているだろう.」
マイト「しかも現役の頃からゴリナンと呼ばれるほど法廷戦術は強引だった. 証人を抹殺することぐらいやりかねねえぜ.」

一方,かよこは公園(渋谷の鍋島松涛公園)で西岡と会っていた. かよこは新聞記事で山岸の事故死を知り, スクープがふいになってしまったと悔やんでいた. 西岡は白々しく驚いたと言った.かよこは早く一緒になりたいと言ったが, 西岡は編集会議があると言って立ち去った.

その晩,南條はクラブにいた.マイトとデジコンもそのクラブにいた. そこへ南條に電話がかかってきた.西岡が謝礼を貰いたいと言うのだ. 南條は20分後に例の場所で会おうと言い,電話を切った. そして一緒にいた坂崎を呼び,外へ出た. 南條と坂崎がクラブから出てきたのを高柳と高柳の部下が見つけ,さらに, タミーとパンの乗る車が南條と坂崎の乗る車を尾行するのも見つけた.その頃, マイトとデジコンはクラブで電話の相手が西岡であることを聞き出していた. 坂崎は尾行がついていることに気がついた.そこで南條は例の場所ではなく, 事務所へ車を走らせた.南條は例の場所に電話し,西岡と話をした. 誰かにつけられたこと,金は銀行口座に振り込むことにしたこと, そして村上の妻かよこと別れること.

一方,村上は書斎においてあった公判資料を見ていた. そして証人申請の個所に女の髪の毛が挟まっているのを見つけた.
村上「女の髪の毛.まさか,かよこが…」

マイトとデジコンは南條の事務所に忍び込むことにした. だが廊下には防犯カメラが. そこでデジコンは白と黒の線が交互に入った筒をとりだし, カメラの前で回転させた.モニター室でモニターを見ていた警備員は, カメラが故障したと勘違い.
マイト「さすがにデジコン,俺と同じくらい頭がいいな.」
デジコンが鍵を開け,マイト達は中に入った. マイトとデジコンは特殊メガネをかけ,赤外線による警備装置を突破. そして南條の事務所で「東京日報 社会部記者 西岡徹」の名刺を発見した. だがそのときにマイトの尻が赤外線を遮ったために警報機が鳴った. 慌ててマイトはカーテンで赤外線を遮ってごまかした.

翌朝.玄関で見送るかよこに村上は声をかけた.
村上「かよこ.」
かよこ「はい.」
村上「書斎の机に置いてあった書類に触ったかね.」
かよこは一瞬口篭もった.
かよこ「いいえ.その書類がどうかしたんですか.」
明らかにかよこは動揺していた.村上は振り返ってかよこを見た.
村上「いいや.行って来る.」
村上は車に乗って検察庁へ向かった.

かよこは西岡を喫茶店に呼び出した.その頃,検察庁では.
高柳「奥さんが?」
村上「問いただしたときの家内の様子から直感した.」
高柳「検事,それは思い過ごしですよ.」
村上「いや,間違いないね.家内以外の女の髪の毛が, 公判資料のファイルの間に紛れ込むことなど,ありえないことだよ. しかも,髪の毛の挟まっていたのは証人手続き申請のページなんだ.」
高柳は村上の方を見た.
高柳「え?」
村上「高柳君,これはあくまでもプライベートな頼みなんだが, 一度家内の素行を調べてもらえんかねえ.」
高柳は驚いた.
高柳「検事!」

かよこと西岡があっている喫茶店にマイトとデジコンが姿を現した.かよこは, かよこが公判資料を見たことを村上が気がついたのではないかと言った. かよこは村上と別れるつもりだと言い,さらに西岡に一緒になってくれと頼んだ. だが西岡は別れ話を持ち出した.新聞記者としての肩書きに傷がつくというのだ. かよこは西岡が自分を利用したことに気がついた. その様子をマイトとデジコンは見ていた. そして外にいたパンとタミーにかよこをつけるように命じた. 一方,高柳もかよこが西岡と会っている喫茶店の外にいた. そして西岡が出てくるのを見かけ,さらにタミーとパンの乗った車,つまり, あのとき南條を尾行した車がかよこの乗るタクシーを尾行するのを目撃した. そして高柳はタミーの車を尾行した.タミーとパンは, 喫茶店で西岡と会っていた女が,村上検事の妻かよこであることを知った. そして高柳は部下にタミーの車のナンバーをメモさせた. 一方,家に帰ったかよこは鏡を叩き割っていた.

ゴッドのオフィスでゴッドが報告を聞いていた.
ゴッド「ほう,村上検事の夫人が?」
パン「ええ.彼女なら極秘情報を手に入れるのはわけありませんよ.」
デジコン「それを東京日報の西岡に流し,さらに西岡から南條弁護士に. おそらく,これが今回の漏洩ルートでしょう.」
ゴッド「なるほど.しかし,検事の妻がなぜ新聞記者と.」
マイト「あの二人はできてますねえ.」
タミー「信じられないわ.あんな貞淑そうな奥さんが.」
パン「ああいう女ほどもろいもんさ.」
ゴッド「村上検事は政略結婚だったんだ. 利用価値がなくなって夫婦の仲も冷め切ってたんだろう.」
マイト「亭主にも利用され愛人にも利用されたってわけだ.」
デジコン「とすれば彼女も哀れな被害者だ.」
タミー「村上も西岡も許せないわ.」

高柳から村上は報告を受けた.
村上「そっかあ.家内が新聞記者と.」
高柳「しかし検事,それだけで奥さんが情報を漏らしたと断定するわけには…」
村上「いいや,それだけで十分だ.少なくとも事情聴取の対象にはなるだろう. 検事の妻が警察の取調べを受けるとは.しかも不貞行為のおまけつきだ. ああ.破廉恥な.」
村上はしばらく顔を押さえていたが
村上「高柳さん.もうしばらく時間を貸してくれないか.」
高柳「時間を?」
村上「すぐに離婚手続きを取るつもりだ.あたしの名誉と検察の威信を, 守るためにね.それまで捜査を引き伸ばしてもらいたいんだ.頼む.」
そこへ電話がかかってきた.かよこが手首を切って自殺したのだ. 高柳と村上は村上の自宅へ向かった. 自宅に着いた村上はかよこの死体を見て呆然とした.
村上「なんということだ.あたしの立場はいったいどうなるんだ.」

その頃,団地のアジトにタミーが到着.食料を差し入れた.
マイト「ああ,僕ちゃんの口にあいそうもないけど, まあこれを食べたら出動だ.」
タミーはマイトとパンにカーラジオでかよこが死んだニュースを聞いたと言った. 団地の外ではミニパトカーに乗った婦人警官がタミーの車を発見していた.

一方,村上は高柳に捜査の打ち切りを命じていた.
村上「事態は変わったんだ.唯一の証人であった家内は死んでしまったし, 検察の情報が外部に漏れたという証拠は何にもない.てことは, やはり山岸証人の死はあくまでも偶発事故として処理すべきだと思うがねえ.」
高柳「しかしそれではみすみす弁護側の思う壺に.」
村上「やむをえんだろう.いやいや.あたし個人のためじゃない. 検察全体の名誉のためには.」
だが高柳は村上に重大な情報を伝えた.
高柳「ですが検事,万一何者かの手でこのことが暴露されたら, それこそ大スキャンダルだ.」
村上「何者かの手で?」
高柳「我々以外にも奥さんをマークしていたものがいるんです.」
村上は驚いて高柳の方を見た.
村上「おい,誰だね,それ.」
高柳「検事,ハングマンってのをご存知ですか?」
村上「ハングマン?」
高柳「非合法手段で犯罪を摘発する正体不明のグループです. どうやら実在するようですな.」
村上「その連中が動き出したと言うのかね.」
高柳「おそらく.」
村上「冗談じゃない.そんな連中が家内のスキャンダルを暴き出したら, あたしの立場はどうなるんだ.検事長の椅子どころじゃないよ. 検事としてあたしは完全失脚だよ.高柳君.そいつらを何とか逮捕してくれ.」
高柳はうなずいた.そこへ電話がかかってきた.電話は本庁からで, あのときハングマンが使っていたと思われる車がみつかったというのだ.

タミーの車を警官が調べているのを見たデジコンは団地のアジトへ急行. マイト達は第二アジトで集合することにした.タミーはいつもの車で出発. だが高柳は慌てなかった.タミーの車に方向探知機をつけておいたのだ. 高柳は第二アジトも発見した.高柳は警官隊を招集した. そのことをマイトも気がついた.踏み込んだ警官隊に向かって, マイトはダイナマイトを二発投げた.
高柳「爆弾だ,逃げろ.」
警官達は物陰に隠れた.導火線が燃えていく.
高柳「下がれ,下がれ.」
導火線は燃え尽きた.そして爆弾は…爆発しなかった.
高柳「くそう,偽物だ.いけ.」
追う警官達.さらにマイトは煙幕弾を投げ,警官を巻くことに成功した.

ハンギング

南條と坂崎が事務所を出ようとして車に乗ろうとすると,中にはマイトがいた.
坂崎「君は誰だ?」
マイト「素晴らしいところへご案内しましょう.」
坂崎「何?」
というと同時に坂崎はデジコンに殴り倒された.
南條「な,なにをするんだ.」
デジコン「ちょっとドライブでもね.」
南條も殴り倒された.そして西岡はタミーとパンに殴り倒された.

ハングマンは南條と坂崎および西岡をあのときの踏み切りにつれてきた. そして南條達の手足を縛って線路上へ寝かせた.
南條「貴様達,何をするんだ.」
マイト「もちろん,死んでもらうのさ.」
南條「何!」
パン「お前さん達が証人の山岸を殺したのとおんなじ方法でな.」
マイトは坂崎に言った.
マイト「手を下したのはお前さんだろう.」
坂崎は無言だ.
マイト「あと二分で電車が通過するぜ.」
坂崎は驚いてうめき声をあげた.続いてマイトは南條に言った.
マイト「死にたくなかったら洗いざらい喋るんだなあ.」
南條「そんな脅しに乗るもんか.」
西岡「知らん.俺は何も知らん.」
パン「ああ,そうかい,そうかい.じゃあ死んでもらおう. よし.武士の情けだ.目隠しだけはしてやろうじゃないか.」
南條達は目隠しされた.
マイト「天にまします我らの神よ.罪多き人をお届けします.さようなら.」
マイト達が車で去って行く音が聞こえた.
南條「こいつは罠だ.何も喋るんじゃないぞ.」
と同時に赤い光が二つ点滅し,踏み切りの警報機が鳴る音が響いた.
坂崎「警報機だ!」
電車が近づき,警笛を鳴らす音が聞こえてきた.
西岡「助けてくれえ.言う,言うぞう.ああ.」
南條「西岡,お前…」
西岡「何もかも喋る.助けてくれえ.」
南條「だまれえ.」
実は警報機の点滅に見えたのは, マイトとデジコンが懐中電灯の赤い光を点滅させていたもので, 警報機の鳴る音や電車の音はすべてテープに録音されたものだった.
西岡「言う,言う.村上検事の女房をそそのかして検察の極秘情報を手に入れ, そいつを南條弁護士に売り渡したのは,この俺だあ.」
南條「な,何を言う.」
坂崎「先生,先生だ.頼む,助けてくれえ.山岸を殺したのは俺だあ.」
と同時に音がやんだ.
マイト「はあい,よかったよ.とっても上手だったよ.はあい,どうぞ.」
マイトとデジコンは三人の目隠しを取った.あっけに取られる三人.
マイト「ただいま,午前二時.電車は通ってないの.」
デジコン「警報機はね,これなの.これ.」
デジコンは懐中電灯を点滅させた.
南條「畜生.騙しやがったな.」
西岡「ただじゃ,おかんぞ.」
坂崎「覚えてろ.」
パン「お前達が喋った言葉,すっかり録音させてもらったよ.」
パンはマイトにテープを投げて渡した.
マイト「これをどう使うか.お楽しみだなあ.」

次の日.南條たちは新宿の公園にさらされた.あのテープが大音量で再生され, 南條達は首にロープをかけられて立たされていた. 現場に高柳と村上がやってきた.
村上「これであたしは完全に失脚だ.やられたあ.見事にやられたよ. ハングマンに.」
そこには新聞記者もいて,村上は質問攻めにあった. 高柳と村上は新聞記者を振り切って,車で去った.
村上「高柳さん.あたしはもう終わりだ. しかしハングマンだけはどうしても許せん. 検事として最後の仕事は奴らを検挙することだ.」

さらばハングマン

警察の追及が始まった.
村上「しかしハングマンだけはどうしても許せん. 検事として最後の仕事は奴らを検挙することだ.検挙することだ. 検挙することだ.」
聞き込みが開始され,警察犬も投入された.
高柳「警察の面子にかけても必ず奴らを.面子にかけても.面子にかけても. 面子にかけても.」
タミーの住むマンション,マイトの定宿, デジコンの住むマンションなども突き止められてしまった.

ゴッドのオフィスに警察から何とか逃げ切ったハングマンが全員集合した.
マイト「ゴッド,ここも二,三日のうちにやばくなりますぜ.ゴッド!」
腕組みして考え込んでいたゴッドは決断した.
ゴッド「組織はひとまず解散する.」
デジコン「解散? 指紋まで消したのに.」
タミー「年収4千万の失業かあ.」
パンは自分の位牌を持って眺めた.
パン「あーあ.アジトを突き止められたんじゃ,解散もやむをえんわ.」
パンは位牌を置いた.
マイト「しばらくの間,我々は海外にでも行ってましょうか.」
ゴッド「ボーナスは別に1千万円出す.パスポートもちゃんと作っておいた.」
ゴッドは4人分のパスポートを取り出した. マイト,デジコン,タミーはパスポートを取った.
マイト「井上ゴン太郎.」
タミー「ちょうどいいバカンスになるわ.私はニースへでも行こうかな.」
デジコン「俺はニューカレドニアにでも行ってたっぷり泳いでこようかなあ.」
マイト「私の場合は世界各国の秘密警察で勉強してまいります.」
タミーはパンにパスポートを渡そうとしたが
パン「ゴッド,せっかくのご好意ですが,これ,お返しいたします.」
マイト「親父さん.」
パン「外国,全然駄目.味噌汁,おしんこ,干物のないとこ駄目.」
タミー「でも国内で暮らすの不便でしょう.戸籍も指紋もないんだから.」
パン「昔ね,面倒見た小西がちゃんと用意してくれた.」
パンは懐から戸籍を取り出した.
パン「ちょっと本籍がかわったけどね.島根県の山本明夫です.」
ゴッド「とにかく,長い間ご苦労だった. 警察を刺激しただけでも諸君の功績は大きい.感謝する.」
ゴッドは右手を出した.マイトが,パンが,タミーが, そしてデジコンが右手を上に乗せた.
タミー「楽しかった.」
デジコン「また呼んで下さい.待ってます.」
パン「足のある幽霊としては結構な暮らしをさせていただきました.」
マイト「ゴッドもお元気で.」
ゴッド「君達も.」
ゴッドは左を上に乗せた.

オフィスを出た四人は散り散りに別れた. 夕日の中にパンが,タミーが,デジコンが,そしてマイトが消えて行った.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp