第四十二回

公害反対運動に便乗し工場の土地を地上げする一味を死刑台に送る.
リモコン・ヘリ空爆処刑

脚本:山浦弘靖 監督:西村潔

ある川でパンは釣りをしていたが全然釣れなかった. すると魚が死んで浮かび上がっているのが見えた. 実は上流にあるメッキ工場が廃液を「垂れ流して」いたのだ. パンが工場へ行ってみると住人が工場へ乗り込んでいた.
住人(小林昭二)「それじゃあ,廃液を流した覚えはないと言うんですか.」
工場主(織本順吉)「当たり前だ. うちの工場には以前から廃液の浄化装置はちゃんとつけてある. 有毒な廃液を川に流すはずがない.」
住人「しかし現実に魚が浮いてるじゃないですか. この近辺には他に青酸性の薬品を使う工場はないし, お宅以外には考えられませんよ.」
他の住人(九重ひろ子)「いい加減な浄化装置を使っているんでしょう.」
他の住人「それとも電気代けちって浄化装置使ってないんじゃない.」
工場主「何!」
他の住人「騒音は酷いし,臭いはあるし,とんだ近所迷惑よ.」
住人「そもそもこの住宅街のど真ん中に工場があること自体おかしいんですよ. どっか他に移転してください.」
そのとおりだと言う声が次々とあがった.それを見て一人の工員が中に入った.
工場主「俺はなあ,昔からここに住んでるんだ. あんたらが後からやってきてここに住んでるんじゃないか. そんなに迷惑だって言うならなあ,あんたらが引っ越せばいいだろう.」
工場主の妻がたしなめた.
他の住人(九重ひろ子)「なあんですって. そんな誠意のない言い方ってあるかしら.」
他の住人「取り消しなさいよ.」
工場主「取り消さないよ.」
住人「白石さん,あんたがそういう態度をおとりになるなら, 我々にも考えがあります.いいですね.」
白石「ああ.死の公害課だろうと警察だろうと,どこへでも訴えたらいいだろう. 俺は絶対負けんぞ.」
白石は中に戻っていった.
パン「けしからんな,まったく.」
白石が中に入ると先ほど中に入っていった工員が話があると声をかけたが, 機嫌の悪かった白石は後にしてくれと取り合わなかった. その晩,その工員は暴漢に襲われ,酒を飲まされて川に投げ込まれてしまった.

調査開始

そんなある日.マイトとタミーはテニスをしていた. その様子をパンが眺めていた.
マイト「恐れ入りました.純白のズロースが目に入りまして.」
タミー「まあ.」
そしてマイトはテニスを再開した.
マイト「廃液の垂れ流し工場がどうしたって?」
パン「人の話を真面目に聞け.」
マイト「公害問題には興味ないんでねえ.美女公害なら話は別だがね.」
パンは呆れかえった.
パン「女のことしか頭にないのか.人が一人死んだんだぞ.」
マイト「え?」
マイトはテニスをやめてパンに近寄った.
タミー「人が?」
タミーもパンに近寄った.
パン「ああ.その町工場の工員がな,水門におっこって死んだんだよ. 警察の調べじゃ酔っ払って死んだってことになっているけれども, 俺が調べたところによると,彼氏は肝臓が悪くて, 医者から酒止められたばっかりだ.」
タミー「公害を起こした町工場とその工員の変死事件. 確かにひっかかるわねえ.」
そこへデジコンから無線が入った.
マイト「はい.」
デジコン「ゴッドからもその辺のところを調べろって指令が出てますよ.」
デジコンはドラゴンと一緒にゴッドのオフィスにいたのだが, なぜかマイト達の話の内容を知っていた.
マイト「ゴッドから?」
デジコン「ゴッドの話じゃあ, 最近同じ市内で公害が原因の工場移転が相次いでいるそうです.」
マイト「町がきれいになって結構な話じゃないか.」
デジコン「でも,ゴッドは何か犯罪の臭いをかいだようです.」
マイト「よしわかった.手分けして当たってみよう.」

タミーは公害問題の取材と称して, あのとき白石メッキ工場に乗り込んだ牧田(小林昭二)の家を訪れた. 牧田は運動の中心人物だったのだ.この辺は昔は原っぱだったが, 3年前から家が建ち始めて住宅街になったのだ. 牧田は死んだ工員が工場のミスを隠すために消されたと言う噂があることを, タミーに話した.その話を聞いたパンは怒り狂って工場へ潜り込もうと言ったが, マイトに止められた.結局,デジコンが白石メッキ工場へ潜り込むことにした. デジコンの持ってきた履歴書を見た白石は驚き, デジコンを工員として採用することにした.デジコンは廃液浄化装置を調べたが, これといって故障している個所はなかった. すると白石の息子(主題歌を歌っているヒロスケ)が, ギターを弾いているのが見えた.白石は息子にあとを継いで欲しかったのだが, 息子はそれを嫌がり,時々クラブでギターを弾いていたのだ. その頃,不動産屋(福山象三)が白石に会い,工場を売るように迫っていた. 白石は怒ったが,息子のこういちは「売りゃあいいじゃないか」と, 親不孝なことを言った.怒った白石はこういちを殴った. その間に不動産屋は去ってしまった.見かねたデジコンがこういちに言った.
デジコン「相手は父親じゃないか.少しは口の聞き方を気をつけろ.」
こういち「俺の夢つぶしちまった人間でもか?」
デジコン「何?」
こういち「二年前,親父がレコーディングの金さえ出してくれたら,俺, 歌手としてデビューできたんだ.だけど息子の俺より金のほうが大事だったんだ. そういう人間なんだ,親父は.」
こう言い放ってこういちは立ち去った.

その頃,マイトやパンやタミーは手分けして, 同じ市内で住民運動により閉鎖に追い込まれた工場を訪れていた. どの工場でも人為的な操作による事故が多発し, やり手だった住民運動のリーダーが熱心に動き, そしてそのリーダーは工場閉鎖後転居していた. しかも日頃から公害には注意していたと言うのにだ.

終業後,デジコンは白石に声を掛けられ,居酒屋へ連れられた. 居酒屋で白石は昼間の礼を言った.
白石「しかしなあ,子供を育てるってもんは難しいもんだなあ.」
デジコン「え?」
白石「俺だって,あのとき,倅の夢を叶えてやりたかったんだ.」
デジコンは白石をじっと見た.
白石「が,親の金で叶う夢なんてろくなもんじゃねえ. 繭から散々吸い取られてぼろくずみたいに見捨てられるのがオチだ. 俺はなあ,そういう人間を大勢見てきたんだよ.どんなに踏まれようが, 蹴られようが,負けない人間として生きるには,自分のこの手で, 歯を食いしばって生きなきゃなんないんだよ.」
またデジコンは白石の方をじっと見た.
白石「それしかないんだよ.そうやって生きて来たんだ. だからな,倅にもそういう生き方をして欲しいんだよ.」
しばらく沈黙が流れた.お店が流しているお囃子だけが聞こえていた.
白石「だがなあ,親の心,子知らずだ.鬼の飛行隊長も,もう形無しだよ.」
寂しそうに白石は笑った.
デジコン「鬼の飛行隊長?」
白石「あ,いや,俺のあだ名だよ.昔,ゼロ戦のパイロットだったもんでな.」
デジコン「そうですか.親父さんがゼロ戦の?」
白石は嬉しそうにタバコを吸いながらうなずいた.
白石「戦争はもうこりごりだが,空を飛ぶのはいいもんだぞ. どこまでも高くて広くて.ホンジャーンと広くてな. いやな事なんてもうきれいさっぱり忘れちまうんだ.」
そのとき,女将が料理を持ってきながら,「私との約束,忘れないで下さいよ.」 と言って話に入って来た.白石は「約束」をすっかり忘れていた. デジコンは「約束?」と言って意味を聞いた.
女将「ほら.ヘリコプターを買った時,私を一番最初に乗せてくださるって, 仰ったでしょう.」
白石「ああ.そうだったな.」
デジコンは驚いた.
デジコン「へえ.親父さん,ヘリ買うんですか?」
白石「ああ.ヘリだったら,蝶々みたいにきままに空を飛べるからな.」
そして白石はさっきとはうって変わって寂しそうな顔で言った.
白石「しかしなあ,今の工場の状態じゃ,とても叶わぬ夢に終わりそうだ.」
白石は寂しそうにビールを飲んだ.デジコンは感心しながらビールを飲んだ.

ブランコに乗りながらデジコン,パン,マイトが話していた.
パン「ヘリコプターとはロマンチストだなあ.」
デジコン「ええ. あの親父さんが廃液の垂れ流しや殺人を犯す人間には思えませんがねえ.」
パン「いやいや.人間は上辺だけじゃわからん. なかなか奥の深い生き物だからな.」
デジコン「は?」
パン「かの独裁者ヒットラーな,彼は美術品にとても造詣が深く, ベートーベンのピアノ曲に涙を流したそうだ.」
デジコン「へえ.」
パン「しかしわからんと言えば今回の一連の事件だよ. おかしな共通点があるなあ.」
デジコン「おかしな共通点?」
パン「ああ.まず第一になあ, 誰かが工場を陥れようと故意に公害騒ぎを起こした.」
デジコン「え?」
マイト「第二は工場が倒産し立ち退いたあと, 住民側のリーダーはいずれも引っ越している. しかも引越し先は不明だ.」
デジコン「ゴッドが言ったとおり,犯罪の臭いがしますねえ.」

その頃,白石メッキ工場に男が忍び込み,廃液浄化装置を壊そうとした. 男はドラゴンに見つかったが,白石の妻が窓を開けてそれを見たので男は逃げた. 翌日,また川に魚が浮いた.
牧田「何者かが浄化装置をですって?」
白石「ああ.家内がはっきり見てるんだ.」
牧田「白石さん.下手な言い訳はおよしなさい.みっともないですよ.」
白石「何?」
白石の妻「嘘じゃありません.ホントの事なんです.」
牧田「もうたくさんです. 私達はすぐに市に頼んで操業停止を強制執行してもらいます.」
白石「操業停止だと! おい,おい.そんな無茶な. 下請けのうちが仕事を止められたら親会社からどんな仕打ちを受けるか. 従業員もろとも路頭に迷っちゃうんだ.」
牧田「そんなことは私達とは関係ありません.」
住人(九重ひろ子)「そうよ.自業自得だわ.」
住人達からブーイングが上がった. ドラゴンがデジコンを呼び,工員の一人が浄化装置を操作したことを話した.

デジコンがその工員をつけると, オートバイに乗った男が工員を待っているのに出くわした. 男はヘルメットを目深にかぶっていて,顔はわからなかった.
男「夕べの手間賃だ.」
男は工員に報酬を渡した.
男「もっと廃液を流してくれれば徹底的に追い詰めることができたのに.」
工員「すいません.実は途中で邪魔が入っちまって.」
男「何? どういう相手だ.」
工員「いや,わからないんです.とにかく,今度は必ずうまくやりますから.」
男「頼むぞ.」
男はバイクで去って行った.
デジコン「あんたが浄化装置を細工してたとはなあ.」
工員はデジコンにとびかかったが,デジコンの敵ではなかった.
デジコン「今さっきお前が会っていた男は誰だ?」
工員「知るもんか!」
デジコン「おとなしく喋ったほうがいいんじゃないのか?」
工員は観念して喋ろうとしたが,男がバイクで戻ってきて, 工員をはねてしまった.デジコンはバイクについているライオンの飾りを拾った. 早速タミーがオートバイ店の店主(高瀬仁ら)などに聞いて調べ, その飾りが中年ライダー向けに作られたものであること, そして買い主が誰であるかを調べ上げた.

飯里市役所に牧田達が乗り込み, 大山市長(中山昭二)に工場の操業停止を陳情していた. 大山は操業停止を約束した.操業停止になった白石メッキ工場で白石は, ここにしがみつくことを誓うのであった.白石はここで生まれ育ったのだ. 死ぬときはここで死ぬのだ.そんな白石を尻目に, こういちは出かけようとしていた.デジコンはこういちを呼び止めた.
デジコン「親父さんはここの工場の事でとても苦しんでいるんだ. あんたも息子なら少しくらい助けてやったらどうなんだ!」
こういち「は.他人のあんたには関係ないよ.俺が何しようと勝手だろう!」
思わずデジコンはこういちの胸倉を掴んだ.
デジコン「こういち君.君は親父さんの事を誤解してるよ. あんたの親父さんはね…」
だが,こういちはデジコンの言葉を無視して出て行ってしまった. そのとき,タミーがデジコンを呼び出した. あのときのライダーは住民側のリーダー牧田一郎だったのだ. これを聞いたデジコンは他の工場の公害反対運動のリーダーも, 牧田じゃないかと考えた.早速,マイト達が他の工場の辺りで聞き込みを開始. デジコンの推理は当たっていた.

その頃,打ちっぱなしで牧田は土建屋の川辺(福山象三)に, 白石が立ち退かないことをぼやいていた.それをドラゴンが目撃した. そしてマイトの調べで, 川辺が移転した工場の跡地を全て買い占めていたことがわかった. この跡地と白石メッキ工場を線で結ぶと, 市当局が建設を予定しているバイパスのコースになる. こうやって要所要所を安い値段で買っておくと莫大な儲けになる. それに川辺は土建屋なのでバイパスの工事も請け負えば一挙両得だ. 川辺は市の上層部とつながりがあるに違いない. どうでもいいが,マイトが取り出した地図は調布市のものだ.

その晩,こういちはクラブで歌っていた.クラブからの帰り, こういちは音楽プロダクションのものと称する男に連れ出された. 男は牧田に雇われた男だった.牧田は白石に電話をし, こういちを預かっていると言った.白石は牧田の呼び出しに応じた. 白石の後をドラゴンがつけたが,ドラゴンは暴漢に襲われた. ドラゴンは暴漢を撃退.白石の後をデジコンがつけた. 牧田は水門のところで待っていた.こういちは水門のところで倒れていた.
白石「こういち!」
牧田「いやいや,ご心配ない.気を失ってるだけですよ.」
白石「牧田さんとか言ったなあ.こりゃいったいどういうことなんだ.」
牧田「手荒な手段使ってすいませんねえ. いやあなたがねえ,素直に立ち退いてくれれば こんなことしなくて済んだんですよ.」
白石「あんた,わしを脅迫すんのか?」
牧田は高笑いした.
牧田「脅迫したくらいで折れるあんたじゃないでしょう.」
白石「何?」
牧田「あなたにふさわしい理由で死んでいただきますよ. 父親が息子の将来を悲観して無理心中.いかがですか?」
白石「そんなことさせるか!」
だが白石は牧田の部下に殴られた.その様子をデジコンがカメラで撮影していた. 牧田達は白石とこういちを川へ投げ込んだ.

白石とこういちはデジコンに救い出された.白石は布団に寝かされ, 心配する妻とこういちとデジコンが布団のそばにいた.
白石の妻「あなた,しっかりして.」
こういち「父さん.」
白石は目を覚ました.
白石「こういち.お前.」
白石は起き上がろうとした.
白石の妻「あなた,大丈夫ですか.」
白石「ああ.大丈夫だ.」
白石は起き上がった.
こういち「加納さんがたまたま近くを通りかかって助けてくれたんだよ.」
白石「ああ,そうだったのか.ありがとう,加納君.」
白石の妻「ねえ,あなた.こんな酷い目にあわされて黙ってることありませんよ. 警察に訴えましょう.」
白石「やめておけ.」
白石の妻「どうしてですか?」
白石「わしらには公害の加害者と言うレッテルが貼られている. どう訴えたところで色眼鏡で見られるのが落ちだ. それに下手をすればお前にまでとばっちりが.わしはなあ, もうどうなったって構わんが,お前達まで巻き添えにするわけにはいかん.」
その言葉にこういちは胸を打たれた.
白石の妻「あなた,でも.」
白石「工場のことか.それだったらもう,お前達には心配はかけん.」
白石の妻「え,まさか,あなた.」
白石「わしゃ,もう疲れた.この土地を離れて,また一からやり直そう. それしかなさそうだ.」
白石の妻「あなた…」
こういちも沈痛な表情だ.
白石「加納君.ヘリを買って大空を自由に飛び回りたいというわしの夢は, やっぱりただの夢に過ぎなかったなあ.」
デジコン「親父さん.」
こういちは部屋を出て行った.そしてこういちはギターを弾いた. その様子をデジコンは見ていた.

マイトは川辺を追い,川辺と市長の大山が会っているのを目撃した. 川辺は大山に白石が土地の売り渡しに応じたことを伝え, バイパス計画のことを念を押した. 川辺は立ち聞きされている気配を察したのでドアを開けてみると, マイトが掃除係とディープキスをしているのが見えた. 川辺はドアを閉めて中に戻った.
マイト「失礼しました.」
掃除係「あー,あー,えがったあ.」

ゴッドのオフィスにハングマンが集合した.
マイト「ゴッドから許可が下りた.」
パン「よーし,やったろ.公害反対の名を借りて, 市長ぐるみあくどい金儲けを企むとは実にけしからん.」
タミー「真面目に公害反対運動をやっている人を考えると,絶対許せない.」
ドラゴンも怒ってテーブルを叩いた.
マイト「そういうこと.やるからにはうんと苦しめてやろう. 何かいい手はないかなあ.」
デジコン「俺に任せてください. ついに飛ぶことのなかった親父さんのヘリコプターを, 俺のこの手で飛ばしたいんですよ.」

ハンギング

大山,牧田,川辺はゴルフをしていた.そこへヘリコプターが飛んできた.
川辺「しかしうるさいヘリコプターだなあ.」
牧田「写真でも撮っているんですかねえ.」
ヘリコプターは三人へ向かってきた.
大山「こっちへ向かってくるぞ.」
ヘリコプターは大山達を狙ってかんしゃくダマをぶっ放した.逃げる大山達.
牧田「あ,あれはリモコンのヘリコプターですよ.」
大山「リモコン?」
それはデジコンが作ったラジコンのヘリだった. ヘリの操縦機を握っているのはデジコンでヘリはデジコンの操縦で動いていた. 逃げる大山達をハングマン全員が眺めていた.
マイト「大山市長,土建屋の川辺,そして牧田. お前ら三人は天に恥ずべきふるまいをした. よって今からヘリコプター一機による総攻撃を始める.」
ヘリコプターについていた拡声器からマイトの声が流された.
川辺「リモコンのヘリコプター? そんなものに負けてたまるか.」
大山達はゴルフクラブを振り回したがヘリの攻撃にはかなわなかった. やめてくれえ,助けてくれえと叫びながら大山達は逃げた.
マイト「お前達三人がやったことを洗いざらい喋れば助けてやる.」
川辺「馬鹿なこと言うな.そんなこと,話せるものか.馬鹿.」
大山達は木の下に隠れたがヘリは低空飛行で木の周りをぐるぐる周回した. そして機銃掃射も加えられた.
マイト「これでもまだ喋る気にならんか?」
川辺「話す,話す.」
パン「よーし.ヘリに仕掛けた録音テープ,スイッチオンだ.」
デジコンがスイッチを入れた.
川辺「市がバイパス道路の建設計画をしていることを知って, それで金儲けを企てたんだ.」
牧田「社長の指示を受けた私は住宅地の中にある工場を見つけて, 近所に引っ越してその工場の従業員を抱きこんで公害を起こさせました.」
大山「市長のわたくしはその反対運動を理由に工場側に圧力をかけて, 立ち退きに追い込んだ.」
川辺「しかしわしは殺人までは指示してない.」
牧田「そんな.何を言うんですか. 邪魔するものや秘密を漏らそうとしたものは消せって言ったのは, 社長じゃないですか.」
川辺「いや私じゃない.市長に言われて私はそのとおり…」
大山「馬鹿,馬鹿,何を言うか,君は.」
三人は互いに罪をなすりあいながら喧嘩を始めた.
パン「は,は,は.いい年をしてまあみっともないこと.」
タミー「呆れた連中だわ.」
ドラゴン「ソウイウコト.」
マイト「お前達が今自白した内容は全て録音テープにとった. 証拠写真とともに警察に手渡す.お前達もこれで終わりだ. アディオス,または,さようなら.」
パン「デジコン,タイミングとしては落下傘投下だな.」
デジコン「よーし.」
デジコンのスイッチにより,落下傘が投下された. 落下傘には牧田が白石親子を殺そうとしたときの写真がくくりつけられていた.
大山「いつ撮られたのか,判らなかったのか!」
川辺は首を振った.
大山「こんなへましおって,馬鹿者が.」
そして大山達はかけつけたパトカーによって連行された.

白石メッキ工場には住民達が謝りに来ていた. 白石も公害を出さないように注意するといった. そしてこういちはあれほど嫌がっていた工場の仕事を手伝うのであった.
こういち「父さんのことは加納さんから聞いたよ. 父さんの本当の気持ちも知らないで,俺,馬鹿だった.ごめんよ,父さん.」
白石は目を潤ませ,みっちり仕込んでやると言った. その様子を見て白石の妻は目頭を熱くした. そしてデジコンもその様子を見て,車に乗り込んだ.
デジコン「親父か.いいもんだな.」
こうしてデジコンは白石メッキ工場から去って行った.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp