第三十三回

団地妻を売春させ外国へ売り飛ばす組織の悪事を暴く
団地妻を喰らうゴキブリ達

脚本:武末勝 監督:西村潔

タミーがヨットを走らせていると,パトカーの音が聞こえてきた. ヨットハーバーに立ち寄ると女の水死体が. 警官は水死体が団地の主婦のものらしいと話していた.

調査開始

さてゴッドのオフィスにタミーを除くハングマンの面々が集合した. パンが自分の位牌に向かってお経を唱えていた.
マイト「能ある鷹は爪を隠す.たいしたもんだ.」
パン「そりゃあ,そうさ.死んだことになってるのに こうやって生きて仕事してんだもん.たまにはお経上げてやらなきゃ.」
デジコン「自分の位牌を自分が拝む.」
ちなみにデジコンの位牌には「俗名 加納良次之霊」と書かれていた.
パン「ま,そういうなって.いつも仕事引き受けるたんびになあ, 俺は今回で死ぬんじゃないかなあと毎回そう思ってるんだ.」
マイト「親父さんみたいなのに限って長生きするんだよ.俺なんか危ねえなあ. しかしこの部屋陰気臭くてたまんねえなあ.」
デジコン「そうかなあ.ゴッドの指令を伝えるにはドンピシャって感じで, 俺は好きだな.」
マイト「俺も.」
一体どっちなんだ,マイト.そこへタミーがやってきた.
マイト「さあさ,ゴッドの指令を聞こうじゃないか.」
タミーがゴッドの指令を説明した.
タミー「まず,これを見て.」
タミーはあの水死体が海に浮かんでいるところが写っている写真を, スクリーンに映し出した.
タミー「警察では,酒に酔った上誤って海に転落,事故死と見ているわ.」
デジコン「それだけの事件ならゴッドの指令はない.」
タミー「そういうこと.次にこれを見て.」
タミーは水死体が引き上げられているところが写っている写真を見せた.
タミー「被害者は東きょうこ,30歳.星が丘団地に住むごく平凡な主婦なの. 夫は市役所勤め.その主婦がこんなパンティーはく? パリの一流品で一万円以上もするわ.」
パンはびっくり.
パン「へ? パンツ一枚一万円以上! おい,マイト. なんだってこんな高いパンツはかなきゃいけないんだ?」
すかさずマイトが真面目な顔をして答えた.
マイト「親父さん,そんなことで驚いちゃ駄目だぜ.僕ちゃんのはいてるパンツなんか,5万5千円だよ.
タミーはマイトの言葉を無視して先を続けた.
タミー「ゴッドの資料によると,ここ三ヶ月の間に, 団地の主婦が十数人も行方不明蒸発している.それも届出があった人だけでよ.」
マイト「自分の子供を絞め殺して新婚旅行に出かける時代だ. まあ不思議はねえなあ.」
タミー「行方不明者のうち,すでに三人が奇妙な死に方をしているわ. 行方不明の団地主婦死体で発見,団地主婦謎の親子心中, 若い主婦団地の屋上から飛び降り自殺.」
デジコン「一時も速くこの線を結んで背後をほじくりだせってことか.」
タミー「そう.彼女達を結ぶ線は団地ってこと.」

早速ハングマンは調査を開始した.まずタミーが生命保険の調査員と称して, 東きょうこの団地を訪れた.事件の起きた直前にそこの団地の主婦達が, 東きょうこと一緒だったのだ.主婦の一人,富子(根岸明美)のおごりで, パアっとやりましょうということになったのだ. そこへ牧村なつこという主婦がやってきた. 東きょうこと最後まで一緒だったのは富子と牧村なつこの二人だった.
タミー「じゃあ牧村さんときょうこさんは, 最後に一緒にお店を出られたんですね.」
なつこは「いや私はまだ…」と答えようとしたが,富子が強引に制止. 富子「なつこさんはね,あのう,後から来たから飲みたいって残ったの. あたしはきょうこさんがあんまり酔っているものだからね, 送ってあげようと先に出たの.そうだったわね,なつこさん.」
なつこは頷くことしかできなかった.タミーが帰った後, なつこはとみこから前借のお金20万円を受け取った. それを見て他の主婦は「あんただけよ,だんなさんのために働いてるの.」 と言い,外車を買うだの,都心にマンションを買うだの, 稼ぎの少ない能無しの亭主を持つと大変だろう,と言いたい放題.なつこは
なつこ「主人は能無しなんかじゃありません.」
と大声で叫ぶのだった.

早速,マイトがなつこを尾行した.すると怖い男二人がやってきて, マイトを原っぱへ連れてきた.いつのまにか男の仲間(春田純一ら)が増えていた.
男A(亀石征一郎)「なんで女をつけてきた.」
男B「言わないと痛い目にあうぜ.」
男Aがマイトを殴ろうとしたが彼の拳はむなしく二度も空を切った.
男A「この野郎.」
マイト「ちょ,ちょ,ちょ,ちょっと待ってくださいよ.あのう言いますけど, 誰にも言わないでくれますか.実は僕ちゃん,女性の下着を集めるのが趣味で, あのう干してあったら持って来ちゃおうかなあと思ったんですよ.」
男A「いい加減なこと言いやがって! やっちまえ.」
だがやられたのは男達の方だった.
男A「だらしない奴らだ.陳!」
拳法使い(陳孔金)が宙返りして登場した.
マイト「や,や.」
さすがのマイトも歯が立たない.
マイト「アーア,アーア,アーア,アーア,アー.」
マイトがターザンのように叫ぶと同時にドラゴンがジャンプして登場. ドラゴンは陳と対決した.さすがの陳もドラゴンにはかなわなかった.
マイト「まあ,そんなもんだろう.」
男達は逃げ去った.ドラゴンとマイトは拳法使いを尋問しようとしたが, 拳法使いは撃ち殺され,男達に狙撃されそうになった.
マイト「俺は本当に怒ったぜ.」
マイトはダイナマイトの導火線に火をつけ,車の前にぶん投げて爆発させた. 男達は車は逃げ去るのであった.

その頃,富子はタミーに声をかけていた.タミーは, 夫が発明マニアで一発大当たりを狙っては失敗ばかり, でも憎めないんです,と富子に言った.富子は,月に50万円以上稼げる,と言い, 自分の名刺をタミーに渡した. 名刺には「社団法人 白バラ会 会長 金沢富子」と書かれていた.
富子「日本人の一流の人達が集まって一流のプレイを楽しむ, 会員制のサークルなの.そのコンパニオンになってもらいたいの.」
富子は大学へも行けると言う.タミーは富子の誘いに乗り,住所を書いた. 電話番号は料金未払いで止められているとごまかした.

タミー「ということで,とっさにここの団地の住所を書いちゃった.」
パン「まずいな,それは,もう.」
マイト「いいじゃないですか.ゴッドにこのアジトを変えてもらえばいい.」
デジコン「じゃあ引越しだ.ぐずぐずしてるとすぐにでも調査が…」
慌ててタミーがデジコンの話をさえぎって説明を加えた.
タミー「違うのよ.住所はここなんだけども, 棟番号と部屋番号は変えてあるの.」
パン「余計まずいよ.」
マイト「まずくないですよ.タミー,その部屋へ住め.」
デジコン「なるほど,そりゃいいや.」
だがマイトの作戦はそれだけではなかった.
マイト「あ,デジコン,タミーとメオトになれ.」
デジコンは大慌て.
デジコン「え,そりゃないですよ.結婚の経験もないし…」
マイト「(大声かつ早口で)前から好きだって言ってたじゃないか,君は. 僕の大好きなタイプだって言ってたじゃないか,君は.仕事,ビジネス!」
マイトは右手の指を4本立てた.
デジコン「4千万?」
自分が蒔いた種とはいえ,タミーはずっと困ったような顔だ.

ドラゴンが中華街で拳法使いの身元を洗っていた頃, タミーとデジコンはタミーが言った部屋に引越しをしていた. この部屋に住んでいた老夫婦は,パンにうまく騙され, 4泊5日の温泉旅行に出かけたのだ. 4泊5日もタミーと一緒に寝泊りすると聞いてデジコンは大慌て.
デジコン「そりゃ困るなあ.」
タミー「私も困るけど,仕事だからしょうがないでしょ.」
突然,タミーが声をかけた.
タミー「あ,デジコン.」
デジコン「は?」
タミー「じゃない,あなた.あれ変えなきゃ,あれ.」
デジコン「あれって?」
タミーは状差しを取って,
タミー「これ.」
その頃,ドラゴンはサントラベル旅行代理店を探し当てていた. あのときの男をみかけ,車でどこかへ出かけるのを見かけたドラゴンは, タクシーを拾い,追いかけるように運転手に言ったが, 英語や中国語で命じたので運転手には通じなかった.

一方,デジコンはベランダで女性の下着を干していた.
デジコン「女のパンティーなんか干したら出世しないってさあ, お袋に言われたけど,なんか実感だなあ. ほんとに我ながらなんかもうなよなよっとしてきたよ.」
タミー「いいじゃない.発明マニアで女房に食べさせてもらってるんだから.」
デジコン「まあね.」
そこへサントラベルからでてきた男達が団地リサーチのものと称してやってきた. タミーは二人を居間にあげ,デジコンにお茶を入れさせた. 二人はタミーが言ったことが事実かどうか調べに来たのだ. 二人は発明部屋はどこかと言って別室を開けるとガラクタばかりが転がっていた. これを見た二人は見事に騙された.そして書類を取り出した. タミーとデジコンは書類にはんこを押してくださいと言われて大慌て. デジコンはとっさに別室で作っておいたはんこを押した.二人が帰った後,
タミー「いつのまにガラクタ部屋作ったの?」
デジコン「今朝の午前三時にどかっとね.」
タミー「それにしてもあのはんこどうしたの?」
デジコン「うーん,ちょっとおてて出して.」
デジコンはあのはんこをタミーの手に押した.
タミー「さすがデジコン.見直しました.」
デジコンは得意げに笑った.
タミー「じゃあ,私も記念スタンプ.」
タミーはデジコンの頬にキスをした.デジコンはポーッとしてしまった.
タミー「さあ,戦闘開始.」

その日の夕方.富子の事務所でサントラベルの二人は富子に, タミーのことを信用しても良いだろう,と報告していた. 富子は二人に報酬を渡した.そこへ秘書が入って来て,辻本という者が, 衆議院議員の草加軍平の紹介状を持ってやって来たと伝えた.辻本はパンの偽名. パンは別室で富子を待っていた.部屋には隠しカメラも盗聴マイクもなさそうだ, と言っていると富子がやってきた.
富子「大変お待たせいたしまして…」
パン「ああ,どうも.」
富子「申し訳ございません.草加先生にはいつもお世話になっておりますの.」
パン「ああ,そうかね.まあ,かけたまえ.」
富子「失礼します.」
富子は椅子に座った.
富子「先生はお元気でいらっしゃいますか?」
パンは適当に答えた.
パン「ああ,今選挙区の方さ帰っているけども,元気にしてますよ.」
富子「ああ,左様でございますか.それでは, 私どもの会の趣旨を簡単にお話しいたします. 白バラ会はあくまでも優良階級の方々の交流を広めていただくのが, 目的でございますの.」
パン「はあ,あのう,わたしゃねえ,金はなんぼでもあるんだけども, なんといいましてもうちが農家ですからあ.」
富子「はあ.それはよろしいんでございますのよ. 白バラ会の会員になれたことで上流階級のお仲間に入れたわけですから.」
パン「上流階級の仲間入り! いやあ,是非入会したいですなあ.」
富子「それでは,入会金が五百万,月々の会費が三十万です. それでも世界一流のお料理,お飲み物がご自由にご賞味いただき, ダンスでもルーレットでもお楽しみいただけるようになってございます.」
パン「それでなにの方はどうなってますかね? あのおなごの…いや,あのう,御婦人のほうは.」
富子「はあ.ご婦人方も皆上流の方でお名前も言わずに, お好きな方を私どもがご自由に.」
パンは大喜び.
パン「ああ,そうですか.それじゃ早速,五しゃく三十万でよろしいですねえ. それじゃあ,これに.」
パンは小切手を富子に渡した.
富子「これが純金のカードでございます.」
パン「ほ,ほ.」
富子「これで上流階級のメンバーになられたわけでございます. ありがとうございました.」
パン「上流階級の仲間入りか.イヒ,ヒ,ヒ,ヒ.参ったな,これは.」

その直後,タミーは白バラ会の事務所に電話をかけていた. 富子はコンパニオンに合格したことをタミーに伝えた.そして, 7時に来て欲しいと付け加えた.デジコンはタミーに発信装置を渡していた. この発信装置があればタミーの位置がわかるのだ.一方, なつこは夫の牧村に今夜は店に出ると言っていた.なつこはお金を渡し, 夕飯はこれで食べてと言った.牧村は「また店屋物か!」と不平をこぼしたが, 直後に「すまない.俺のために.体,壊すなよ.」と謝っていた. 牧村は論文を執筆している最中だったのだ.

その夜.サントラベルの事務所から二人が出て行った. それを見届けたドラゴンは事務所に潜入した. ボクシングの中継を見ていた事務員が, ドラゴンにボクシングで対抗しようとしたが, ワンラウンドくらいでKOされてしまった.ドラゴンは金庫を開け, 主婦達の写真つき名簿を発見.写真撮影した.

その頃,白バラ会の集まりのためにパンを含めた上流階級の人達が, マイクロバスに乗せられて会場へ向かっていた. 中でサントラベルの社員の三田がガイド役だと名乗っていた.
パン「会員はたったのこれだけ?」
三田「いいえ,途中何箇所かで会員の方をお乗せしながら参ります. つきましては真に恐れ入りますが,これで目隠しをさせていただきます. 失礼します.メガネを外してください.」
会員達は次々に目隠しされていった.

中に入ったパンはカードを見せるように言われ,カードを見せた. 次にボディーチェックを受けた.そこで金属探知機が反応し, ブザーが鳴ってしまった.まずパンはゴールドカードを出して見せ, 次に怪しげな機械を見せた.
事務員「これはなんですか?」
パン「これはねえ,痴漢予防機.顔見りゃわかるでしょう. 襲われやすいタイプってのがねえ.」
パンがスイッチを押すと「痴漢予防機」のブザーがなった.
事務員「どうぞ.」

会場に通されたパンは,これは素晴らしい,と感心して見せた. 中は高級クラブのようだった.
和服のホステス「お飲み物は何にいたしましょうか?」
パン「飲み物はいいから,はやく,あのう,なにの方. ほれ.」
ホステス「ああ,はい.」
ホステスはメニューを差し出した.
パン「なにやってんの? 飯はまだ.飯はまだ.ほれ. はやくなにの方.」
ホステス「これはメニューではございません.」
パン「え?」
ホステス「さあ,どうぞ.」
パンは表紙を開けてみた.
パン「あれ,れ,れ.」
それは女の写真つき名簿だった.作曲家夫人に政治家夫人.俳優夫人に歌手夫人. なお歴史家夫人にはなつこの写真が, 発明家夫人にはタミーの写真が貼られていた.
ホステス「お断りしておきますが, これらの方はご覧のように上流階級の方ばかりでございます. お席でまずお話になって,女性のほうから No とおっしゃることもございます.」
パン「それはまずいなあ.わだしはなんと言っても訛りが強いからねえ, ふられっかもしんないね,これ.」
すかさずホステスがフォローをいれた.
ホステス「それもまたプレイでございます. 案外,先方から親しくなりたいと申されることもございます.」
その言葉にパンは目を輝かせた.
ホステス「勇気です.ドン・ファン,カサノバのように.」
パン「カサノバ.じゃカサノバで行ってみようかねえ.」
パンはなつこを指名した. なお鏡はハーフミラーになっており,外から覗けるようになっていた. それを見て,サントラベルの親玉は辻本(パン)をマークしろと三田に命じていた.

団地のアジトではマイトとデジコンがドラゴンの撮影した名簿を見ていた. 名簿にはところどころ×印がつけられていた.
マイト「旅行代理店と白バラ会,そして団地の主婦か…」
デジコン「わかった.J-5229.これは商品ナンバーだ. つまり,1952年生まれ29歳.そして,身長,体重,バスト,ウエスト,ヒップ. そしてこの P とあるのは price つまり売値が米ドルで3万ドルだ.」
マイト「売値だと?」
デジコン「売値の次に HKG とあるのは売った国のシティーコード, つまり,彼女の場合は香港(Hong Kong).MNL,これはマニラ.」
マイト「シティーコードが記されてる女はその国に売り飛ばされたってことか.」
デジコン「そして,これはタミーが見た水死体の女.」
大きく×印がつけられていた.
デジコン「×印をしている.」
マイト「その女はマニラに売られようとして逃げ出し,殺された. この悪党めが.」

なつこは富子に仕事をやめたいと言った. 富子は交換条件としてフィリピンのマニラツアーに参加しろといった. その様子をタミーが立ち聞きしていた.そこへサントラベルの親分がやってきて, なつこを指名した客がいるのではやくしてほしいと言った. 仕方なくなつこは辻本(パン)のところへ向かった. パンがなつことルーレットで遊んでいるところへタミーがやってきた. タミーはパンになつこを逃がしたいと言った.パンは難しいといったが, 結局承知した.ベッドルームでなつこに
パン「君はこういう仕事をする人じゃないね.」
帰ろうとするなつこを制して
パン「ここにいた方がいい.君は今危険な状態だよ. ここにいるのが一番安全だよ.」
その頃,タミーは脱出口を探っていた.だが暗号錠を外そうとして失敗. 捕まってしまった.

その頃,マイトとデジコンはタミーの発信装置がうまく作動せずに慌てていた.
マイト「おいおい.どうなってるんだ,この発信装置は.え? タミーの車が海の中に入ってるぜ.だから機械はあてにならねえんだよ. 大事なときにぶっ壊れやがって.」
デジコンはコンピュータを一生懸命調整していた.
デジコン「いや,故障じゃないですよ.それにしてもおかしいなあ.」
マイト「だからさっきからおかしいって言ってるじゃないか! どこを走ってるんだ,どこを?」
デジコン「ちょっと待ってくださいよ.」

一方,なつこは警察に訴えると言っていたが,パンは止めていた. なつこ一人が訴えても,女性達も客も否定するに違いない. 結局なつこ一人の犯行として片付けられてしまうのがおちだ. だがなつこは東きょうこ殺しを目撃していた. 東きょうこは富子に外国行きを拒否し,サントラベルの社員達に殺されたのだ. パンはあとは私達に任せておきなさいといい, さらに仲間がいてこれ(例の「痴漢予防機」)で連絡を取っていると付け加えた. パンはだんなには一切喋っちゃ駄目だと付け加えた. そこへサントラベルの社員がやってきた.三田が無線機を取り上げ, パンとなつこを連れ出した.

その頃,デジコンは調整に手間取っていた. マイトとドラゴンは横浜港に着く頃だった. 捕まったタミーとパンは拷問を受けたが何も吐かなかった. 諦めた富子は香港からの指示で秘密クラブを当分閉めることにし, その場でタミー達を始末することにした.

ついに朝になった. マイトとドラゴンはデジコンの指示により横浜港の第一埠頭に到着した.
マイト「デジコンの奴,計算間違いやったのと違うか. こんなとこに秘密クラブがあるわけねえだろう.」
ドラゴン「ソウネ.」
そこへデジコンから通信が入った.
デジコン「なにが見えます?」
マイト「浜の港と並んだ倉庫,阿呆なカモメがとんでれらー.」
ドラゴン「ソウネエ.」
ちなみにこの頃,研なおこさんが蚊取りマットの宣伝で 「トンデレラー」とか「シンデレラー」と言っていた.
デジコン「いいんです,それでいいんです. プラスマイナスの誤差が半径500mの地点まで近づいています.いいですか, これからコンピュータで誤差を少なくしていきますから.」
マイトとドラゴンは周りを探し回ったが…
マイト「駄目じゃんか.」
そこへデジコンからの通信が入った.
デジコン「そのまま200m行ってください.」
マイト「南へ200m.Ok!」
マイトとドラゴンは車を200m進むことにした.
その頃,タミー達が閉じ込められている場所に時限装置が仕掛けられていた. そしてなつこは富子達に連れられてしまい,タミーとパンは置いてけ堀.

マイト達はサントラベルの車に出くわした.マイトはライフルで煙幕弾を発射. ドラゴンとマイトは富子達を捕まえ,なつこの救出に成功した. マイトはなつこからタミーとパンが第10倉庫に閉じ込められていることを聞き, 急行.
タミー「時限爆弾よ.」
マイト「十秒前,九秒前,八秒…」
マイトが間一髪,コードを引き抜き,爆弾は処理された.
マイト「成仏しそこなったな,親父さん.え.」
パン「野郎,たっぷりお経上げてやるからな! くっそー.」

ハンギング

ここは「生ワイドショー 告白コーナー」の特設会場. 「団地主婦売春組織白バラ会会長 金沢富子」という看板と, 「人妻売買旅行社社長 岩崎信也」という看板と, 「人妻売買旅行社社員 三田収」という看板が壁に貼られており, 壁の前には大きな白い箱が置いてあった. スタジオでは司会者がなつこの告白を聞いていた.
司会者「そうですか.ご主人のためにお金がいる. それでコンパニオンになったわけですねえ.」
男性司会者の言葉に女性アシスタントがうなずいた.
司会者「それでそのう,白バラ会の実態と言うのは?」
なつこはスリガラス越しにカメラに映っていた.
なつこ「団地の主婦ばかりを集めた売春が目的の恐ろしい組織でした.」
なつこの告白をテレビで牧村も見ていた.
牧村「なつこ…」
なつこ「でも,私は夫には何にも言いません. 嘘つき.自分を叱りながら生きてゆきます.」
司会者「よく告白してくださいました.ありがとうございました. それでは,その首謀者達が星が丘団地で悪を懺悔するという情報ですので カメラを早速そちらに切り替えてみたいと思います.」
カメラが特設会場を映した.
マイト「いいか.これは脅しじゃない.吐かなきゃ,このまま燃やすぞ.」
デジコンの操作により,スイッチが入れられた.たちまち箱の中に煙が充満し, 悪党が煙にむせながら自白を始めた. その言葉はスピーカーから大音量で会場に流された.
岩崎「悪かった.許してくれ.言う,言う. 悪いのはこのやり手ババアなんだよ.」
三田「そうだ.白バラ会の会長金沢富子だ.この女のために十何人もの女を, 外国に売り飛ばしたり,殺したりしてきたんだ.」
富子「なにいってんのよ! あたしはねえ,殺人はしてないわよ. 殺したのは全部岩崎と三田よー.」
岩崎「何を言うか.」
パトカーが駆けつけた.デジコンの操作により,箱が解体され, 煙の中から煙にむせる富子達の姿があらわになった.その様子を, 団地の主婦達もテレビで見ていた.そして富子達は新聞記者のフラッシュを浴び, 警官に連行されていくのであった.それを見て,デジコンは車で去り, ドラゴンはタミーの車で,マイトはにやりと笑ってパンと一緒に去るのであった.

解説

ギャグ炸裂の作品で全編ギャグ,ギャグ,ギャグ. マイトの「親父さん,そんなことで驚いちゃ駄目だぜ. 僕ちゃんのはいてるパンツなんか,5万5千円だよ.」という台詞は, 初見の時は大笑いしてしまいましたが,これだけではありませんでした. パンの潜入シーンもかなり笑えます. そしてマイトとパンだけではなくタミーとデジコンの仮面夫婦, さらに帰国前は無口だったドラゴンでさえ, マイトと一緒にギャグを演じる始末です. 思わずファイルが大きくなってしまいました.

しかしギャグばかりではありません. 夫を支えるために売春婦に身を落としてしまった牧村なつこの悲劇や, 中盤でのマイトとドラゴンの格闘シーンなど, ギャグ以外のシーンも必見の濃い話なのです.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp