第二十一回

姉の「横領」をネタに社長の馬鹿息子の替え玉受験をさせられる青年と ブラックとの交流
替え玉合格の悪ガキは十三階段へ

脚本:筒井ともみ 監督:永野靖忠

国会議事堂へ向かう車の中で,パール観光株式会社の社長高槻三郎50歳が, 代議士の阿久田修造60歳に袱紗に包んだ分厚い包みを渡していた. 阿久田にオーストラリアのリゾートクラブ建設に便宜を図ってもらったからだ. 近々オーストラリアへ飛ぶと言う三郎に, 阿久田はゴードンという男に会うといい,と言った. ゴードンはオーストラリアの経済を牛耳っている大物だからだ.

その頃,パール観光の本社では副社長で三郎の妻の高槻和代40歳が, 総務部長の沢井から忠告を受けていた. 近いうちに税務署の抜き打ち調査があるかもしれないという情報を, 沢井が得ていたのだ.和代は阿久田に渡した政治資金の件を, 帳簿上でうまくごまかしているかどうか,沢井に確認. 沢井は抜かりがないと答えた.そこへ秘書課の井口朝子25歳が入って来た. 慌てて和代と沢井は「土地売買」の話をしてごまかした. そして和代は朝子に,取引銀行から500万円を下ろすように命じるのであった.

朝子は500万円を下ろして銀行から帰る途中, ローラースケートを履いた男が朝子に突進してきた. 朝子はかわそうとしたが,間に合わず,跳ね飛ばされてしまった. そして朝子はアスファルトに頭を打ち付けて気を失うのであった. そこへ車がやってきて朝子を羅致した.(完成作品で追加)

仕事開始

アジトでブラックがメンバーに仕事の内容を説明した.
ブラック「3年前,飲酒運転で死んだ経理部長の林田. 2年前に飛び降り自殺をした斎藤部長.どちらもパール観光の社員だった. そして1年前の脱税騒ぎ…」
ブラックは新聞記事をスクリーンに映した. 新聞は「背後に政治家の黒い影」と報じていた.
ブラック「だが,いずれも法の力では裁けなかったってわけだ. どうやらこの黒い政治家というのはタカ派の代議士阿久田修造らしい.」
パン「阿久田か.そいつは大物だな. 阿久田修造? なかなか大物じゃねえか.
マイトが,パール観光は今はやりのレジャー産業の会社だろ,と言うと, タミーがそれに応えた.パール観光は国内ばかりか, ハワイやグアムにも会員制のリゾートホテル,テニスクラブ, ゴルフ場やスキー場までも経営していて,大躍進の企業だ. そしてブラックはパール観光について汚職や黒い噂も絶えないと付け足した. そこで今回の仕事は
ブラック「パール観光のやり手社長,高槻三郎と女房の副社長その副社長で女房の,高槻和代. この二人の尻尾を掴む事だ.」
取っ掛かりは,というマイトにブラックが答えた.
ブラック「先日,井口朝子と言う秘書課の社員が失踪したらしい. 最近,井口朝子と言う秘書課の社員が失踪した. それもしかも500万の金を横領して消えたらしい.」
タミーが三郎と和代達に消されたのかと聞くと
ブラック「それはうーん,まだわからんが, 和代はこのことをこのことを和代は警察に届けていないし, ただの失踪とは思えんのでねじゃあないだろう.
バイク「ダンナの方は?」
ブラック「今,オーストラリアに出張中だ.」
マイト「その井口朝子のことを洗えば, 奴らを揺さぶる糸口が掴めるかもしれないってわけ.」
ブラックはうなずいた.

マイトは「パール・テニス・クラブ」でテニスに興じる和代に接触した. そしてマイトは井口朝子の「横領失踪」事件について尋ねたが, 和代はたかが500万円なので告訴しなかったといけしゃあしゃあと答えた. 結局マイトは収穫なしで帰る羽目になった.

その頃,井口朝子の妹の柚子19歳は警察に朝子の捜索を頼み込んでいた. もう10日も音沙汰もなかったからだ.しかし警官は事務的に対応. 次に柚子は弟の大学資金のため,給料の前借を店長に頼み込んだが, 贅沢だ,と言われ,断られてしまった.

その頃,柚子の弟の高志18歳は予備校で授業を受けていた. 授業を終えて予備校を出た高志に,高級車に乗った和代が声を掛けてきた. 話があると言うのだ.高級車を運転しているのは沢井. 沢井は尾行しているオートバイを気にしていた. オートバイに乗っているのはバイクとジャガー. バイクは尾行を勘付かれたことを察し,素知らぬ顔で和代の車を追い抜いた.

ブラックは柚子に会い,朝子の事を聞いた.
柚子「姉が家出をしたり,蒸発するなんて絶対にありません.」
ブラックは,朝子が長い間柚子と高志の親代わりをして面倒を見たことに, 疲れたのではないか,とカマをかけてみると
柚子「そんなことありません.だって, 今年の春は姉にとってとても嬉しい春だったんです. やっと弟が大学生になるんです. 姉はその日の来るのを誰よりも楽しみにしていました.」
柚子は,朝子が夜中に夜食を作り, 高志に出してあげていたことを思い出していた.毎日,朝早く出かけるのにだ.
柚子「そんな姉が,高志の受験を前に,どうして突然いなくなったりするんです. そんなはずありません.きっと,きっと何かあったに違いないんです.」

ブラックが柚子をアパートに送ると, ドアのところで高志が弁護士の本橋ともみ合っているところに出くわした. 本橋は500万円を請求しに来たのだ. 激怒した高志は「返せばいいんだろう!」と叫び,外へ出た.

土手の上でブラックは高志に声を掛けた.
ブラック「俺は朝子さんが失踪した本当の理由を調べているんだよ.」
高志「どうせあんたも姉さんのことを疑っているんだろ. 俺は姉さんを信じている.」
ブラック「それならじゃあ なぜあんなことを言ったんだ. 金を返せば姉さんのしたことを認めてしまったことになるじゃないか. 第一,君に500万もの金が」
高志「あんたになんかに関係ないよ.独りにしといてくれ.」
ブラックは黙ることしかできなかった.

その頃, パンは宝石商と称して高槻邸の表玄関のインターホンのブザーを押していた. はじめは追い返そうとした女中だったが,すかさずパンが「いや, 代議士の…」と言うと態度が一変.中に入ることに成功した.阿久田の名刺が功を奏したのだ. 和代はパンが持って来た宝石を見て,息子の兼一の入学式にいいかもしれない, と言っていた.和代は兼一を東都大学に入れるつもりだったのだ. そこへ兼一が登場.
兼一「ママ,明日,友達とサーフィンやりに行くんだけど,別荘のキー, 貸してよ.」
和代「兼ちゃん,まだ水が冷たいんじゃないの? 大丈夫なの?」
兼一「心配しなくていいの.僕はこう見えてもサーフィンにかけちゃプロ級なんだ からね. ね,キー,早く早く.」
和代はドラ息子のためにキーを取りに行った.それを見ながら
パン「東都大のっ受験も近いというのにサーフィンとは,いやあ, 坊ちゃんも受験も控えてサーフィンとは, 余裕ですなあ.は,は,は.」
そう言いながら,ライターでタバコに火をつける…振りをして写真を撮った. 兼一はブランデーを飲みながら,新しい車を買って,と和代にねだった. そこへ電話がかかってきた.電話は高志からのもの.
高志「アルバイト,やらせてください.」

マンションのアジトでハングマンはドラ息子兼一の写真を見た.
マイト「最近のガキはなんでもかんでも東都大だよ. 俺はまあ学習院だけど.
タミー「ふーん,これが和代のどら息子か.」
マイト「悪ガキの顔しちゃって.こいつが東都大だって?」
パンは裏口入学でもさせるのではないかと睨んだが, タミーはそれを否定した.そのとき,ブラックがあることに気がついた.
ブラック「似てるなあ.」
マイト「誰に.」
ブラック「井口朝子の弟だよ.」
パン「なんだって!」

バーでブラックが考え込んでいると,バイクとタミーがやってきた. そこへバイクとジャガーがやってきた. バイクの調べでは,和代にはずっと沢井と言う秘書課長がついていた. それを受け,タミーが沢井の身元を報告した. 沢井は博打にこってヤクザとトラブルを起こし,角丸商事を首になった. そして和代が沢井を拾い,総務部長に抜擢.沢井はかなりの切れ者で, 一連の事件も和代達の片腕として沢井が絡んでいるらしい. そのとき,バイクがあることを思い出した. 和代が沢井を連れて第一栄光予備校へ行ったのだ. それを聞いたブラックは兼一の写真に目をやり,何か気がついた.

そしてある週末の夕方.原宿の表参道を兼一のポルシェが走っていた. 兼一はカーステレオのボリュームを上げ,クラクションを鳴らし, 歩道の女の子を冷やかしながら走っていた.そして兼一は, サングラスの若い男達(バイクとジャガー)に絡まれた, ミニスカートの娘(タミー)が走ってくるのに気がついた. タミーは兼一に助けを求めた.兼一はタミーの助けに応え, ポルシェに乗せてやった.タミーは兼一が東都大を受けること, そして兼一が自信たっぷりに, 「それがちゃーんと入れる手筈になってんのさ.」と言うのを聞いた. 兼一はポルシェを止め,タミーに襲い掛かった. さすがのタミーも兼一の馬鹿力には敵わず,ブラウスを破かれてしまった. だがタミーは兼一から逃げるのに成功. そこへ,ブラックのワゴンが登場.ライトを当てて兼一の目をくらませた. その隙にタミーは兼一のミゾオチにパンチを当て,飛び出すのであった ブラックのワゴンに乗り込むのであった.

フォトスタジオで高志は兼一に似せて髪を整えられ, メガネをかけさせられていた.椅子の上に足を投げ出した兼一は, 茶々を入れていた.隣りの部屋で沢井は店主に札束を渡し, 秘密を守るように厳命していた.外にはブラックのワゴンが停まっていた.
ブラック「思ったとおり,替え玉受験ってわけか. 替え玉受験.思った通りだ.
タミー「どうやら朝子さんの失踪も仕組まれたことに違いないわね.」
パン「500万の借財の返済を突きつけ,高志君を無理矢理…」
タミーは憤った.
タミー「汚いやり方だわ.高志君だって東都大学に入りたかったでしょうに…」
ブラック「全く汚えやり方だな.」
タミー「高志君だって東都大学に入りたかったでしょうに…」

ブラックは無言だ.
パン「しかし,生きとるのかな,朝子さんは. 朝子さん,生きてるのかなあ.
ブラック「そいつがつかめないことには下手にはっきりしなければ手出しはできないからな .」

ホテルのティーラウンジで沢井が和代に首尾を報告していた.
和代「兼一の将来に傷を残すようなものは取り払っておいた方がいいでしょう.」
沢井「姉の方は会社の金を横領した挙句, 弟の方は受験ノイローゼで自殺と言うわけですね.」
和代は沢井に朝子の方は心配いらないのか,確認した.沢井は大丈夫だと答えた. 高志の人質として生かしてあるのだ. その密談の様子を脇でマイトが目撃していた. 沢井は外で待っていた部下の坂口に何か指示. マイトはやはり外で待機していたバイクとジャガーに, 沢井と坂口の尾行を指示した.

沢井と坂口はパール観光KKの倉庫へやってきた.そして中へ入って行った. バイクとジャガーも中へ入った.しかし,監視カメラが入口に仕掛けられており, 坂口と坊主頭の大男の関がバイクとジャガーに銃を向けてきた. バイクとジャガーは坂口と関と格闘を開始. 坂口と関を倒すことに成功したバイクは地下室で女物のハンカチを発見した. 朝子はここに閉じ込められていたのだが,既に沢井が連れ去っていたのだ.

バイクからの無線でブラック達もこのことを知った.
パン「ブラック,朝子さんもまだ生きているようだし, 高志君に替え玉受験をやめるように言ってやったらどうだ.」
パン「どうも気にいらねえな.」
ブラック「何が?」
パン「替え玉受験だよ.」

だがブラックの答えは
ブラック「親父,俺達の仕事は, 和代をハングに掛ける吊るす ことだ.そのための持ち駒はギリギリまで使う.」

そして東都大学の入試の日を迎えた.高志は兼一の替え玉として受験していた. 高志は「高槻兼一」と書いた答案用紙をじっと見た. そして消そうとしたが
和代「お姉さんの横領した500万,帳消しにしてもらいたくはないの.」
和代が第一栄光予備校から高志を車に乗せ, 高志に替え玉受験を迫った日のことを思い出していた. 高志は第一栄光予備校でも三本の指に入る優秀な成績だった. さらに高志は兼一と背格好も似ていた.そのことに和代は目をつけたのだ. 高志は断ろうとしたが
和代「あのお金を返すためには大学にだって行かれなくなるでしょう? 引き受けてくれたら,来年の受験の費用も, それにあなた達の将来だって力になってあげてよ.」
そして高志は鉛筆を握り締め,思いを振り切るように答案を書き込んでいった.

高志が家に帰ってくると卓袱台の上に布巾がかけられ,置手紙があった.
柚子の声「高志,受験お疲れ様.留守にしていてごめんね. 先に食べて下さい.柚子」
思わず高志は外へ出た.すると家の前にブラックがいた.
ブラック「話したいことがある. 君に訊きたい事があるんだ.
高志は無視して行こうとしたが
ブラック「君のしたことはわかっているのだ.」
高志ははっとしてブラックを見た.
ブラック「正直に何もかも正直に話してくれないか.」
高志はブラックを突き抜けて走ろうとしたが
ブラック「高志君,君に見せたいものがあるんだ. ちょっと来てくれないか.

ブラックはワゴンに高志を乗せ,スナック「タジオ」へ高志を連れて行った.
高志「なにするんだ.どうしてこんなところへ…」
そのとき,高志は客に酒を運んでいる女を見て息を呑んだ. それは柚子だったのだ.柚子は500万円を返すために働いていたのだ.
高志「小姉ちゃん,あの金のことならもう心配しなくていいんだ.」
柚子は驚いた.
高志「僕が片をつけてきたんだ.」
驚いた柚子は高志にその理由を尋ねた.
ブラック「高志君,本当のことを言ったらどうなんだ.」
高志は無言でブラックを見た.
ブラック「柚子さんは例えわずか 少しずつでも自分の手で返そうと, こうやって夜まで働いているんじゃないか.それなのに君は, たった500万の金で自分を売って悔しくないのか.」
仕方なく高志は言った.
高志「僕はもう,大学へ行くのはやめにしたんだ.」
柚子はお金なら何とかすると言ったが高志はいいんだと言い張った.
柚子「馬鹿なこと言わないで.朝子姉さんが, 一体何のために苦労してきたと思ってるの.高志を大学へ行かせたいからでしょ. あんたが法律の勉強をしたいっていうから.」
高志「だからさ,もういいんだ.」
柚子は高志の頬を打った.そして高志は外へ駆け出し,ブラックが追いかけた.

ブラックが高志に言った.
ブラック「君は高槻和代の罠にかかったんだ. 朝子さんは金なんか持ち出しちゃいない.彼女達に連れ去られただけなんだ.」
驚く高志にブラックはバイクとジャガーが拾ったハンカチを見せた.
高志「姉さん.」
やはりハンカチは朝子のものだったのだ.
ブラック「聞かせてくれるな,本当のことを.」
高志は朝子のハンカチを握り締めた.
高志「畜生.あの女.」
そのとき,銃声が響いた.ブラックは身を盾にして高志を逃がした. 肩を撃たれたブラックは,高志を追いかける車を見てマイトに救援を要請した. 慌ててマイトとタミーは車でブラックの元へと急いだ. だが高志は車に跳ね飛ばされてしまった. 車はさらに高志を襲おうとバックしたが,間一髪,マイトが駆けつけた. マイトは小型ダイナマイトを投げ,車の前で爆発させた. 車を運転していたのは坂口と関.坂口と関は慌てて退散した. だが高志はぐったりしていた.

その頃,和代は兼一と一緒に豪勢な食事をしていた. そして高志のことを沢井から報告を受けた.

病院では高志の手術が行なわれていた. 責任を感じたブラックは土下座して柚子に謝った. 柚子は目に涙を溜めながら首を横に振った.ブラックのせいではないと言うのだ.

朝子をパール観光が経営するアスレチックセンターの一室に閉じ込められていた.
和代「高志が助からない事を祈ってやるわ」
それを聞いた浅子は涙で目を潤ませた.

高志の意識はまだ戻らなかった.病院でブラック,マイト,パンは焦っていた. 高志の意識が戻らないと全ての糸は絶たれてしまう. 朝子も高志の口封じのために生かしておいたかもしれないが, このまま高志の意識が戻らなければ,朝子を生かしておく必要もなくなる. そこへバイクから通信が入った. バイクは都内にあるパール観光の倉庫を全て当たったが, 朝子を見つけることができなかったのだ. 残るはテニスクラブやゴルフ場等だが,それもいれるとかなりの数になる.
マイト「とにかくやれるだけやってくれ.」
ブラックはしばらく無言だったが
ブラック「よし,こうなったら思い切ってハングをしかけてみるか.目には目をだ.」

ハンギング

マイトが車で遊び呆けている兼一を尾行していると無線が入った.
ブラック「ゴッドからのゴーサインがあった.」
マイトはにやりと笑い,兼一の車にカーチェイスを仕掛けた. マイトのドライブテクニックの方が兼一よりも上だった. 兼一はポルシェを草むらに突っ込ませてしまったが, マイトは悠々と車から降り立った.

パンは阿久田の秘書と称してパール観光に電話を入れ, 国税庁の調査があると和代達に言った. そしてブラックは阿久田の秘書と称して現れ,和代と沢井をワゴンに乗せた. ワゴンにはマイトとタミーも乗っていた. マイトはニトログリセリン入りの小ビンを持っていた. そして和代と沢井の首にニトログリセリン入りのペンダントをかけた.
マイト「あびないよ〜ん」
マイトはワゴンの外にニトロを投げた.ニトロは爆発. 和代と沢井はビビリまくった.そしてワゴンは死刑室の前に到着. タミーはペンダントを外してやった.死刑室の中に入る和代と沢井を見ながら
タミー「ただのミネラルウォーターなのにね.」

和代と沢井は死刑台の前に連れて来られた.階段は十三段あった. そして和代と沢井の首にロープの輪が垂れ下がり, ぐいっと二人の首を締め上げた.ロープが吊り上がるので, 階段を昇らないと苦しくて仕方がない.和代と沢井は十三階段を昇らされた.
ブラック「俺たちはお前達の罪を裁く 死刑執行人だ.お前達の罪を裁いてやる.
和代「な,何ですって!」
ブラック「井口朝子さんを公金横領に見せかけて誘拐したことは既にわかっている んだよ.」
和代「そんなこと,知らないわ ,そんなこと放して!
だがロープが上がっていった.
ブラック「この十三階段は,どの段で床が落ちるか分からない. 白状しなお前達がすなおに吐かな ければお前達は地獄行きだぞ.」
ロープが引かれた.苦しむ和代と沢井.そして遂に
沢井「や,やめてくれ.」
ブラック「言え.朝子さんはどこだ.白状しろ.」
ついに沢井は朝子を監禁している場所を白状した.
ブラック「それをネタにして高志君に兼一の替え玉受験をさせ,その上, 高志君を殺そうとした.そうだな,和代.」
和代「こ,この人よ.手を下したのはこの人よ.」
沢井「副社長.」
和代「重役の座が欲しくて話を持ちかけてきたのも,みんなこいつよ. ロープを放して!」
沢井「何言ってんだ.命令したのはあんたじゃないか. 俺のロープをといてくれ.」
パン「それだけじゃない.お前らは脱税の金で正解と癒着し, 甘い汁を吸ってきた.その脱税を陰で助けた政治家はどこのどいつだ.」
沢井は無言.
和代「し,死んでもそれだけは言えないわ.」
ガタッと段が外れ,同時にロープもゆるんだ.
パン「よーし,じゃ,これを見ろ.」
そこでバイクとジャガーは別室で兼一を拷問した.兼一は殴る蹴るの乱暴を受け, うめき声をあげた.これは効いた.
和代「兼一,何をするの,兼一に,やめて頂戴.お願い.」
ブラック「言うか.代議士の名を.」
和代は無言.
沢井「それを言ってしまっては我々は破滅だぞ.」
だが苦しげな兼一の声を聞き
和代「言うわ.言うから兼一から手を返して.」
沢井「やめろ.」
和代「阿久田よ.阿久田修造よ.兼一を帰して.」
隠し書類が振ってきた. そして,死刑室のカーテンが外された.そこは東都大学の広場テニスクラブだったのだ. 和代と沢井の声はスピーカーで外へ流されており, 死刑室の周りには東都大学の学生弥次馬 が集まってきた. そして空から脱税の証拠書類が降ってきた.マイトは三郎をつれてきた. そして三郎と和代達は駆けつけた警官に連行されていった.

事件解決後,マイトとタミーはテニスをしていた. バイクとジャガーは朝子と高志の無事をブラックに報告した. ジャガーは親指を立てて最後の挨拶. そしてブラックはワゴンに乗って去っていった.

備考

のページはメイルでいただいた情報と, 台本を複写したものを見ながら書きました. ですから,実際に放送されたものとは台詞回しが違うところを明記しました. ちなみに放送されたラストは上記の通りなのですが, 台本ではハンギングを終えたブラックが朝子を助け出して病院まで連れて行き, 朝子が入っていく姿を見守りワゴンに乗って去っていくという場面で終わります.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp