第十七回

改造拳銃密売ルートを暴く.
地獄へ送る世紀の大魔術

脚本:中村勝行 監督:真船禎

とある銀行で発生した銀行強盗.とある宝石店で発生した宝石強盗. とある公園で発生した無差別殺人.そのいずれの事件の犯人も, 改造拳銃を使用していた.情報を得た刑事がとあるスナックに乗り込み, 改造拳銃を発見.抵抗したマスター(鶴田忍)はその場で射殺された.

ゴッドからの指令が出た.ブラックが内容を説明した. 今回の使命は改造拳銃密造組織を探り出し,それを叩き潰すことだ. 警察はスナックのマスター沢井がボスだと睨み, 店に出入りしていた客やマスターの交友関係を当たっていた. だがパンやゴッドは沢井はただの売人だと睨んでいた. ゴッドの資料によると,沢井はギャンブル狂で多額の借金を抱えていた. 金目当てに改造拳銃に手を出したに違いない. それを聞いたマイトは借金の貸し出し人を当たったらどうかと提案した.

マイトはモデルガン愛好クラブの会長と称して,モデルガン屋に乗り込み, モデルガンを大量に買い込んだ人物がいることを聞き込んだ. パンは沢井が麻雀で大負けし,多額の借金を抱えたことを聞き込んだ. 一晩で四十万円から五十万円も動くでっかい麻雀だったのだ. 麻雀の常連はパンが聞き込んだバーのママと葡萄家と言うスナックのオーナー. 念のために探り出そうと言うブラックにパンが答えた.
パン「俺は遠慮させてもらいたいなあ.この仕事はマイトに向いてるんじゃないかなあ.」
タミー「なぜ?」
パン「なぜって,葡萄家ってのはオカマの店なんだよ.」
タミーとブラックは大笑い.
ブラック「マイトか…ピッタリ.

というわけでマイトとバイクは一緒に葡萄家を訪れた. 二人とも嫌そうに席に座っていた.
バイク「あ〜あ.マイトさん.」
マイト「なんだって俺がこんな役やらなきゃいけないんだよ.」
バイク「まま,そう言わずに.」
マイト「こんな趣味あわないんだよ.はやいとこ,引き上げようぜ.」
バイク「マイトさ〜ん♥」
マイト「気持ち悪いんだよ,お前.何だよ.」
バイクは葡萄家のママ(阿藤海)がある男に接触しているのを指差した.
バイク「つけてみましょうか?」
マイト「よーし.さ,出ましょう,出ましょう.」
バイクは車の中にいたタミーに合図し,男をつけさせた.それを見届けた後,
マイト「よーし,バイク,後はお前に任せた.行って来い.ほら,はやく.」
バイク「マイトさんは?」
マイト「当たり前じゃないか. ドレスアップして女のいる高級クラブで一杯ひっかけてくるよ.」

タミーは地下街で男の所持品を掏り取った. タミーの代わりにバイクが追いかけた. タミーは自動車免許証しか掏り取れなかった.男の名前は松木健二. バイクは松木が一人で連れ込みホテルへ入っていったのを見届けた.

一方,マイトは高級クラブで葡萄家のママのことを聞き込んでいた. 葡萄家のママには特にスポンサーはついていなかった.それを聞いたマイトは
マイト「ところでお前さん,ピストル買わないかね? 僕ちゃんのピストル.」

連れ込みホテルで松木は葡萄家のママと会っていた. 松木は改造拳銃を作って持ってきたのだ. 別の部屋へ移って改造拳銃製造に専念しないかと言うママに, 松木はこの仕事を降りたいと言い出した.ホテルを出た後, 松木はガード下で撃ち殺されてしまった.

松木が撃ち殺されたことをバイクから聞いたブラックは, タミーに松木のことを調べさせた.ここ数ヶ月,松木は予備校を休んでいた. 性格は内向的.趣味は機械いじり.何事にも没頭するタイプ. 金には困っていたようだった.松木は両親を亡くしていたが姉が一人いた. 姉(二代目引田天功)は手品師で地方公演のために富士急ハイランドにいた.

ブラックは予備校の講師と称して松木の姉引田麗香に近づいた. 麗香には松木が殺される理由が思い当たらなかった. だが一週間前に松木に会った時, 松木は何かを作っている様子だったことを聞き込んだ.

ハングマンは松木が改造拳銃密造に関わっていたこと, 松木と組織に何かトラブルがあって松木が殺されたことまでを突き止めた. ブラックは組織を探るため,葡萄家にもぐりこむことにした. 葡萄家のママに拳銃を見せ,俺が作ったんだと言って, 葡萄家のママから西尾組に連絡が入った. ブラックを連れて行った西尾組の車をタミーとバイクが追った. そして葡萄家のママをマイトとジャガーが脅した. 西尾組の連中はブラックを旭星会に連れ込んだ. 西尾組のボス西尾はブラックを確かめるために「工場」に電話をかけさせた. ブラックはパンのところに電話をかけると西尾は無理矢理受話器を取り上げ, 確かにブラックが工員かどうか確かめようとした. パンはテープと金属製のバケツを使って音をたて, ブラックはもう帰ったとごまかしていた.見事に騙された旭星会のボスは, 西尾にブラックを改造拳銃の工場へ連れて行くように指示した. ブラックは改造拳銃の工場へ連れ込まれ,30丁仕上げるように指示された.

翌朝,工場を脱出しようとしたブラックは逆に捕まり,拷問を受けた. そこへマイトとタミーが葡萄家のママを連れて旭星会を訪れた. ママはリモコン付きのダイナマイトを持たされていた.マイトは車に残り, タミーがママを連れて電気室に乗り込んだ. 工場ではブラックが時限爆弾で脅されていた. タミーは電気室でショートを起こさせ, 電気工事員に化けたパンとバイクとジャガーが乗り込んだ. マイトは旭星会事務室に乗り込み,旭星会のボスと用心棒と大立ち回り. ブラックが自力で時限装置を破壊したところへバイクが排気口から顔を出し, ナイフを差し入れた.そしてブラックが自力で縄を切り, マイトがドアをダイナマイトで破壊した.
マイト「ああ,なんていうツラしてるんだ,相棒.」
ブラック「ああ.」
マイト「大丈夫か,おい.」
ブラック「助かったよ,おホモ達.」
マイト「よしよしよしよし.表でジャガー待ってるから.行きなさい.」

ハンギング

ブラックは引田に会い,ハンギングへの協力を依頼した.

マジックの舞台裏.脱出マジック用の箱が置かれていた. そこへ一味のものが縛られて連れてこられた. 箱が開いてブラックと引田が登場.
ブラック「待ってたぜ.」
ボス「貴様だったのか.」
ブラック「世話になったなあ.たっぷりお礼させてもらうか.」
ブラックと引田が箱から出て,代わりに一味が箱の中に入れられた.
パン「一晩の辛抱だ.ちょっとせまいけどね.明日の朝がお楽しみよ.」

翌日.富士急ハイランドから「決死の脱出! 焦熱地獄」と題して, 引田のマジックがテレビで中継されていた.舞台にあの箱が置かれ, 引田麗香が登場.引田が箱の中に入った.
司会者「一分後に,この箱の周りに火をつけます. 万一手違いがございましたら,そのマイクでしらせてください.」
引田「わかりました.」
引田は一味を置いて隠し扉から外へ出て行ってしまった.
一味の一人「おおおお.ちょっと待たんかい.」
司会者「え? 何か仰いましたか?」
ボス「しゃべるな.ただのこけおどした.喋るんじゃないぞ.」
ブラック「あと一分だ.」
隠し扉からブラックが箱の中に現れた.
ブラック「あと一分でこの箱は火達磨になる.お前達が俺に仕掛けた時限爆弾. 今日はそのお返しだよ.蒸し焼きになりたくなかったら, 密造拳銃の一件と松木殺しの一部始終を吐くんだな.」
そう言ってブラックは去って行った.箱にガソリンがかけられ, 司会者が秒読みを開始した.ついに一味の田代(小林稔侍)が喋り始めた.
司会者「いったい何が起きたんでしょう? 私にはわかりません.」
箱が開けられると同時に一味が箱の中から登場.田代は大声で犯行を自供し, ボスは犯行を否認.そこへ引田が登場した.
引田「皆さん.お聞きの通り,この三人が拳銃密造一味の主犯で, たった一人の私の弟を殺した殺人犯です.今テレビをご覧になっている皆さんが, 証人です.皆さん,お願いします.どうかこの三人を捕まえてください. そして,私のたった一人の弟の仇を取ってください.お願いします.」
かけつけるパトカーと入れ替わりに, ハングマンは富士急ハイランドから立ち去るのであった.

「ザ・ハングマン 燃える事件簿」へ 「全話のあらすじ」へ 「全話のキャスト」へ 「緊急指令トラトラトラ」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.


東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp