新宿のとある高層ビルの一室.
一人の男(ゴッド)と若い男(ドラゴン)が映写機でフィルムを見ていた.
ゴッドはフィルムに映っている,
新聞記者に取り囲まれている若い男について説明する.
ゴッド「使える男だ.つい先日,強盗を追って発砲し,
通行人に重傷を負わせて責任を問われている.話に応じてきた.まず,
この男を狙え.」
そんなある日,城東署管内で銀行強盗事件が発生した.フィルムに映っていた男,
堂門吾郎は使用を禁止されている拳銃を同僚から奪い,
そして駐車場に止めてあったバイクを奪って銀行強盗(実はドラゴン)を追った.
ゴッドの説明が入る.
ゴッドの声「堂門吾郎,25歳.長所は抜群の運動神経.短所は血の気が多い.
そこが気に入った.」
堂門吾郎は晴海埠頭の倉庫街まで追跡するが,結局,拳銃で撃たれて海に落ち,
昭和55年9月12日に「殉職」.堂門吾郎は黒子を取るなどの整形手術を受け,
ハングマン第2号バイクとなった.
ちょび髭を生やし,角刈りの初老の刑事が容疑者を尋問している.
ゴッドの声「辻雄太郎,46歳.長所,人情に厚く粘り強い.」
辻の人情話に犯人もほだされて泣いて自白した.
ゴッドの声「人情あふれる説得にどんな犯人も自白するので,
落としの雄さんの異名をとる.」
そんな辻の自宅にはサラ金の取り立て屋(きくち英一ら)が押しかけていた.
ゴッドの声「短所,人情過多.刑務所に送った犯罪者の留守家族を助けるために,
金を借りたのが悪質なサラ金業者で首が回らなくなっている.」
そして辻は誘いに乗り,昭和55年9月30日に「遺書を残して噴火口に投身自殺」.
辻の妻子はパン屋を開店.辻の娘みちこは辻らしき男を目撃したが,
彼はそそくさと立ち去ってしまった.それを聞いた辻の「元」妻(高田敏江)は,
天国から見に来てくれたんだね,と言っていた.
ゴッドの声「借金を返し,
パン屋を開店する資金を出すことを条件に死んでもらった.」
辻は髭を剃り,
髪型も変えるなどの整形手術を受けてハングマン第3号パンとなった.
28歳の工員林田みさきは,
手形詐欺容疑で逮捕しに来た刑事二人に溶接用のバーナーで火傷を負わせて逃亡.
一人は死亡し,もう一人は重傷を負った.林田は浅見令子の恋人だった.深夜,
令子は林田の逃亡先である伊豆の別荘に向かった.
二人の思い出の場所だったのだ.林田もそこにいた.
林田は自殺するつもりだったのだ.その決意を知り,
令子も自殺するつもりだと伝えた.
林田「君の気持ちは嬉しいが,君を道連れには出来ない.」
令子「あたしはお金持ちのパパも気取り屋のママも嫌い.
こんな顔のあたしも大っ嫌い.一緒に死にましょう.」
抱き合う二人.だが翌朝,林田は一人で自殺してしまった.泣き崩れる令子.
ゴッドの声「浅見令子,22歳.長所,優れた学識と大胆な行動力.
短所,拭い去ることのできない虚無感.」
そこへゴッドがドラゴンを連れてやってきた.
ゴッド「私はずっと前から君を知っている.君の何もかもだ.
君はこの男と一緒に死ぬつもりだね? うん.そうしなさい.
君が死ぬ手伝いは,あの男がやる.その前に取引がしたい.」
令子「取引?」
令子は取引に応じた.そして令子は昭和55年10月8日に「心中死」し,
髪型をマシュルームカットから長髪に変え,
右目の辺りにある大きな痣をとるなどの整形手術を受け,
ハングマン第4号ベニーとなった.
ゴッドの声「報酬は年俸3千万円.ただし,
もはや死んだのだから命の保証はない.これがハングマンとなるための条件だ.」
日下部はやくざの親分大里の愛人を強引にひっぱり,
取調室で強引な捜査を行なうなど,いろいろと問題を起こしていた.
その捜査ぶりにデカ長(高城淳一)も困惑していた.
そしてついに日下部は城北署を首になった.
ゴッドの声「日下部孝介,34歳.長所,正義感,抜群の行動力.
犯罪を憎む心が異常に強い.愛する妻と子を強盗に殺されたからである.短所,
激情のあまり過激な行動をとる.」
日下部は昭和55年10月25日に「暴力団(実はドラゴンとバイク)に殺害さる」.
ハングマン第5号マイトとなった.マイトは新宿の街を歩きながら呟いた.
マイト「正義,じゅんこ,お前達を殺した野郎をきっと見つけ出し,
復讐してやる.」
城北署時代の上司であるデカ長は新宿駅西口で日下部らしき男を見かけたが,
巻かれてしまった.
マイト「これからはサツに代わって俺が悪党を裁いてやる.」
11月5日の午後8時半頃, 大物政治家の大山(神田隆)が二子玉川で轢き逃げ事故を起こした. 轢き逃げされたのは都築俊也の妹由紀(深水真紀子)だった. 脊髄を強打していた由紀は手術もむなしく植物人間になってしまった. 都築は事故現場を検分した.外車らしいタイヤの跡と, ブルー塗料のかけらが残っていること以外,証拠はなかった. 都築は妹が買ったハーモニカを見つけ,ぎゅっと握った.
都築の実母春代(桜むつ子)は「紅花スタジオ」という風俗店を経営していた. 都築は春代の家から由紀を連れ出して出て行ったのだ.都築は金策に困り, 由紀の入院費用を借りにわざわざ頭を下げに春代の元を訪れた.しかし, 春代は金を貸すことを断った.高額の診察代を負担するのが嫌だったのだ.
一方,都築の執念の捜査で大山が犯人として浮かび上がった. 大山は事件直後に車を買い換えていた. そして大山の運転手三浦が「服毒自殺」する事件が起きた. 三浦の「自殺」現場でブルーの外車を発見した. 都築は先輩の砂川(竹内文平)と一緒に大山の元を訪れたが, 大山はアリバイがあることを主張した. 愛人の梅野という芸者のマンションにいたというのだ.
しばらくして大山の圧力で三浦の事件は自殺として片付けられ,
ブルーの外車も廃車処分にさせられた.このことに都築は激昂した.
由紀の病室にいる都築の元へ,ゴッドはドラゴンを差し向けた.
都築はドラゴンが持ってきた案内状の話に乗り,ゴッドの元を訪れた.
都築「三千万?」
ゴッド「妹さんの入院費は信託財産の中から月々送金される事にすればいい.」
都築「死体も無いのにどうやって戸籍を抹消できるんだ?」
ゴッド「行き倒れ,変死体,色んな死体を使って今までうまくやってきた.
君の場合もその心配は要らんのだよ.」
都築「しかし困る.今死んじまえば,あの大山をパクル事が出来ない.」
ゴッド「生きていて出来るのかね? 死ねば出来るよ.」
都築「どうして?」
ゴッド「ハングマンとはそういうことをやる集団だよ.」
これを聞いた都築は決心した.
昭和55年11月10日.都築は賭場にもぐりこんでいた. そこで一人のやくざ(実はマイト)が刑事が潜り込んでいる事に怒り狂った. 逃げる都築をマイトは追いかけた. そして京王線(今は亡き5000系が映っている)の踏切の前で, 都築を「撃ち殺した.」都築は「殉職」しハングマン第6号ブラックとなった.
ゴッドの声「竜清康,中国人.長所,空手,棒術, ヌンチャクと何でもござれの武闘派.短所,日本語が不得手. 麻薬密売事件に深入りしすぎて香港を逃亡,無国籍者となる.」
ハングマン全員を集めてゴッドは語った.
ゴッド「法律というものは元来弱いものを守るためにあるものだ.
ところが,その法律を逆手にとって悠然と悪事を働く悪い奴がいる.」
マイト「悪い奴はみんな殺しちゃおう.」
ゴッド「殺しは厳禁する.
許せぬ悪党はその正体を暴露して社会的に死に至らしめる.」
ベニー「社会的に死って?」
ゴッド「その悪事を公開することは死刑台に送ることだ.それが死刑執行人,
ハングマンのやり方だ.いいかね,諸君.
報酬を払うからにはわしの命令は絶対だ.誰をやるか,指令はわしが出す.」
ゴッドの本名は神島泰三.
元国家機関の中心的人物と想像されるが正体不明.
最初のハンギングの相手は大山に決まった.ある晩, 大山は梅野のマンションから車に乗った.が, 車を運転していたのは運転手の水原(中村孝雄)ではなくバイク. 助手席にはブラックが乗っていた.水原をドラゴンが捕まえた. ドラゴンが水原をいたぶった後,パンが登場し, 大山に頼まれたと称して三浦殺しの件を尋問した. 梅野の部屋にはマイトが乗り込んだ.ダイナマイトをちらつかせ, さらに大山に頼まれたとはったりをかませてマイトは梅野を尋問した. その頃,大山はバイクの運転するオートバイに追いまわされていた. その後でブラックが登場し, 梅野と水原が吐いたので悪事は全て露見したと大山に告げた. ハングマンは大山と水原と梅野の三人を廃車に乗せ, クレーンで吊り上げた.車の中の会話は全て警察無線に乗せて流された. 三人は互いに罪をなすりつけあいながら犯行を自白した. そして大山達は警察に逮捕された.大山が逮捕される様子を盗み見ながら, ブラックは由紀のことを思い出していた.森山周一郎のナレーションが流れる. 「一つの事件が終わった. 今彼らの心の中に映るものは捨てた肉親や友の姿である. 過去の絆を断ち切るにはまだまだつらい時間が必要であった.」
こうしてハングマンシリーズが始まりました. 各人が何故ハングマンになったのか,そして各人の性格を丹念に描いています. 初見の際は少々ハンギングに至るまでの過程が唐突かなあと思ったのですが, 時間の関係でこれは仕方がなかったのかもしれません.
「ザ・ハングマン 燃える事件簿」へ 「全話のあらすじ」へ 「全話のキャスト」へ 「緊急指令トラトラトラ」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.