2002年6月26日

「太陽にほえろ!」第245話「刑事犬対ギャング犬」

脚本は田波靖男と四十物光男と小川英.監督は竹林進.主役はボン. スコッチ転勤に伴い,オープニングのボン激走シーンと, オープニング最後のボン登場シーンが新撮されています. またオープニング最後でスコッチが登場していた部分は, ボスが電話をとるシーンに差し替えられています.

ボンは国際郵便の切手の展覧会を見に来ていた. そこへ植木屋(下塚誠)らしき男が鉢を届けにやってきた. 植木屋は鉢を「インド ポルトイの総督切手」の近くに置いた. この切手は世界に二枚しかないのだ. 外へ出たボンは植木屋のトラックに黒いシェパードが乗っているのに気づき, 頭をなでた.戻ってきた植木屋は「ブラック,何してる.」と言い, トラックを発進させた.それを見たボンはジュンを思い出し, ジュンの所へ行った.だがジュンは吠えてばかり. 警察犬の飼育係(木之本良一こと木之元亮)は, 他の犬に触らなかったかとボンに訊いた. ボンはブラックをなでた事を思い出した.その事にジュンは嫉妬したのだ.

その夜.植木屋は犬のブラックを放し,通風孔から切手の展示室に侵入. 植木を倒した.早速ボンとゴリさんが駆けつけた.鉢が倒れているので, 中に入ってみると,何と切手がなかった.ボンとゴリさん達と入れ替わりに, 物陰に隠れていたブラックが切手を持ち出していたからだ.

当然の事ながら指紋は採集されなかった.だが通風孔から犬の毛が見つかった. 外の通風孔はビスが外されており,会場の通風孔はビスが緩められていた. 犬を使ったのではないだろうかというボン. ゴリさんは現実離れしているなあと言った. 第132話「走れ! ナポレオン」で翻弄された事を忘れたのだろうか? 閑話休題.ボンはあの時の植木屋を思い出した.しかも犬の毛は黒かった. 発見された毛も黒.だがボンは植木屋の顔を見ていなかった. ボンはジュンの出動を要請した.ジュンはブラックの臭いを知っていたからだ.

ボンはジュンを使って跡を追いかけてみた. 山さんは会場の主催者に通風孔のビスをいじった可能性がある者を尋ねたが, 不特定多数の人間が出入りする為,ビスを緩めた者を特定するのは難しい, という答えが返ってきた.ボンのテーマの変調曲が流れる中, ボンはジュンと一緒に追いかけたが,途中でジュンの動きが止まった. ここから犯人が車に乗ってしまったからだ.

植木屋が使ったトラックは盗難車だった. それだけの芸当ができる犬なら保健所の鑑札が出ているはずだ. 山さんはそう考えた.だが黒いシェパードでしかもブラックという名の犬は, たくさんいた.だからその線から手繰るのは困難を極めた.

そんなある日.スーパーマーケットで盗難車が発見された.ボンのテーマに乗せ, スーパーマーケットからジュンが走る.ボンもジュンを追いかける. ジュンは造成地まで走った.ボンは階段を登ったが, あの時の植木屋に背後から殴り倒されてしまった. 一方,ジュンはなおも追跡を続けていた.植木屋は車を途中で止め, 液体を撒いた.今度はテキサスのテーマの変調曲に乗せ, ジュンがタイヤの跡を追いかけた.だが途中で犯人が撒いた液体で臭いを阻まれ, 引き返してしまった.

気がつくとボンは山荘の中で手錠につながれていた. ボンの頭の怪我は手当てされていた.ボンのそばにはブラックがいた.

ボスはボンから定時連絡がない事を皆に伝えた.何かあったのかもしれない. ジュンが戻ってきた.だがボンがいない.吠えるジュンを見て, ゴリさんは変時に気づいた.そしてゴリさんと殿下はジュンと一緒に外へ出た. 心配する山さん,長さん,そしてボス.ゴリさんと殿下はジュンの後を追いかけ, 犯人の車を発見.さらにあの時のタイヤの跡をゴリさんや殿下, そしてジュンは追いかけ,あの液体の撒かれていたところまでやってきた. 殿下は撒かれていた液体がピクリン酸だと言うことを見抜いた. 犬がピクリン酸の強力な臭いを嗅げば, しばらくは鼻が使い物にならなくなるだろう. 無線でゴリさんからその事を聞いたボスは,ジュンを連れて帰って来いと命じた. だがゴリさんはジュンが動こうとしない事を報告した. ボンが帰ってくるのを待っているのかもしれない. ボスはジュンを置いて戻るように命じた.

翌朝.ボンの閉じ込められている山荘の電話が鳴った. それを合図にブラックが動いた.
ボンの声「ベルで犬が動いた.」
ブラックはボンに朝食を渡した.
ボン「朝食ってわけか.ブラック,お前の主人は満更悪人でもないようだなあ. こうして飯は用意してくれるし,傷の手当てもしてくれた.大体, 悪人にお前がなつくはずないもんなあ.へ,へ,そうだろう. お前はただ主人から仕込まれた通りに切手をとった,そうだろう? 本当はお前も優秀な犬なんだ.な,ブラック.」
ボンはブラックの頭をなでた.

植木屋は取引をしていた.取引相手は現物を渡せと言った. 植木屋は山荘に電話した.それを合図にブラックは切手を取った. それを見たボンは確信した.
ボンの声「さっきの朝食といい,電話のベルであいつが… 犯人は別な誰かと取引してるのかもしれない…そうだ,この電話を…」
ボンは足を伸ばして電話を落とし,受話器を外し,ずっと話中の状態にした.

植木屋は取引相手の伊沢に話した. 山の中でブラックと一緒に「二人っきりで」暮らしていたい, と植木屋は思っていた.伊沢がブラックに目をつけてこの話を持ちかけた時, 植木屋はその夢が叶うと思ったのだ.だが伊沢はボンの始末を示唆した. 植木屋のところにブラックがやってきた.植木屋はブラックを返した. 伊沢はブラックを呼び戻すように植木屋に言ったが, 植木屋はこう言った.すぐには無理だ.ブラックの足で片道30分かかると.

山荘へ戻るブラックをジュンが見つけた. ブラックを追いかけるジュン.犬同士の追跡が始まった.

アッコはボンの事を心配していた.ボスは山さん達が何とかするさ,と慰めた. とは言え,ボスもボンの事を心配している事に変わりはなかった.

山さんと殿下は通風孔のビスを外したガードマンを見つけ出し,捕まえたが, ガードマンは金をもらってやっただけ.男の手がかりは得られなかった.

ボンのいる山荘にブラックが戻ってきた.植木屋は山荘に電話したが, 話中でつながらない.取引相手はブラックのいる場所へ連れて行け,と脅迫. その頃,ジュンが山荘に乗り込んできた.喜ぶボン. ジュンはブラックと吠えあった.ボンはジュンに言った.
ボン「待て,ジュン.」
ジュンは吠えるのをやめた.
ボン「このブラックもこいつの飼い主も何かに利用されてるんだ. 悪い奴じゃないんだよ.ジュン,喧嘩はよせ.やめるんだ,ジュン. 同じシェパードじゃないか.仲好くするんだ,ジュン.」
ジュンは静かになったが,今度はブラックが吠えた.ボンはブラックに言った.
ボン「ブラック,お前だって本当はいい犬なんだ.やめろ.」
一回ブラックも吠えるのをやめた.だがまた吠え始めた.
ボン「ブラック,ジュンはな,友達になろうって言ってるんだ. まだ判らないのか.」
だがブラックは吠えるのをやめなかった.車が山荘の前に着いたからだ. 車には伊沢達と植木屋が乗っていた.植木屋はブラックを呼んだ. 外へ出るブラック.ジュンもブラックの跡を追いかけ,外へ出た. 伊沢はブラックを撃ち殺せと命じた.やめろと叫ぶ植木屋.拳銃が撃たれた. 弾はブラックを庇ったジュンの右前足に当たった.伊沢はジュンを殺せと命じた. これを見て怒り狂ったブラックは拳銃を持った伊沢の部下の腕にかみつき, 拳銃を落とさせた.植木屋は「ブラック,やめろ.」と命じた.外は大混乱. 右前足の傷をおしてジュンは中に戻ってきた.心配するボン. そこへブラックが戻ってきた.
ボン「ジュン,ジュン,どうした,ジュン.お前…」
ジュンは倒れてしまった.そこへブラックがやってきた.
ボン「おい,ブラック.ジュンは怪我してるんだ.ブラック.」
ブラックはジュンの傷をなめてやった.
ボン「ブラック,やっとわかったんだな.」
起き上がったジュンはボンのところに駆け寄った.
ボン「ジュン,大丈夫か.ジュン.ジュン.お前,署の人間に報せたいんだろう. しかしなあ,その傷じゃあ,無理だよ.無理だよ,ジュン.何だ,ジュン.」
突然,ジュンはボンの懐から警察手帳を出し,ブラックに渡そうとした. 意味がわからず,しばらくぼんやりしていたブラックだったが, やっと意味が通じた.ブラックは警察手帳をくわえ,外へ出た.
ボン「ブラック,頼むぞ.大丈夫かな,ジュン. ブラックは署の場所を知らないんだ.ジュン,来い.」

その頃,植木屋は逃走を続けていた.植木屋は伊沢達に向かって発砲. ボンから拳銃を取り上げていたのだ.

ガソリンスタンドから七曲署に電話がかかってきた. ブラックがガソリンスタンドに駆け込んだのだ. ボスはゴリさんにガソリンスタンドへ直行するよう命じた. ガソリンスタンドに着いたゴリさんと殿下は, ボンの警察手帳を主人から見せられた.だが犬はジュンではない. その時,殿下が閃いた.この犬はブラックではないだろうか. そして犬も改心する事があるのだろうと.

山荘に植木屋を捕まえた取引相手がやってきた. 伊沢達はもう一枚あるあの切手の持ち主に傭われた者. 依頼主の目的は切手を世界でたった一枚にする事. 伊沢は山荘を燃やしてしまう事を宣言.その途端に犬の鳴き声が. ブラックがゴリさんと殿下を連れてきたのだ. ジーパンのテーマに乗せて大捕り物劇が繰り広げられ, 切手強奪一味は全員逮捕された.ボンは伊沢を何度も何度も殴りつけ, ゴリさんに止められた.植木屋はブラックを呼び,こう言った.
植木屋「ごめんよ.俺の代わりに刑事さん達によーくかわいがってもらうんだ.」
ジュン,ゴリさん,殿下,そしてボンがそれを見ていた. 植木屋はずっとブラックの名を呼び出すのであった.

切手は主催者の手に戻された.主催者は植木屋こと山中の減刑を願い出ていた. この切手が彼の人生を誤らせたのではないかと主催者は考えていたのだ. ボスは裁判で決まる事だと言った.主催者が帰った後, ボンはブラックも警察犬養成所に入った事をボスに報告するのであった.

余談ですが,今回の犯人役の下塚誠さんは, 宮内淳さんが学生役でテスト出演した回にも出演し,真犯人役を演じていました. その回でも下塚さんの演じた役は,悪人とは言い難い,善良な性格でした. ボンとロッキーのカメラテストに出演しているというのは, 何かの縁かもしれません.さて次回は麻薬捜査官の村岡が登場. 今度はボンと絡みます.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp