2002年5月18日

「太陽にほえろ!」第78話「恐怖の瞬間」

脚本は鎌田敏夫.監督は竹林進.主役はジーパンと山さん.

護送車が走っていた.その通り道のビルから男がライフルを構えていた. そのビルのすぐ近くに刑事が来ていた.男が護送車を狙った.角を曲がる瞬間, 弾丸は中の男に命中.男は逃走しようとしたが, ビルから出ようとしたところ,張りこんでいた刑事のくしゃみに気づいた. 緊張する男,そして刑事.刑事は入口に向かったが,男に一発で射殺された.

護送車で撃たれたのは滝口松造という金貸しの男で, 脱税容疑で検察庁に送られるところだった. そして射殺された刑事は本庁の岡崎だった. 胸部貫通で意識不明だが助かると言う.早速ボスとジーパンは病院へ行った. 病院には殿下が先回りしていた.垂れ込みがあって行ったのだろうか, と言うジーパン.ボスはその意見を否定した.滝口が狙われると言う事は大事件. だから一刑事が独りで行く筈がない.本庁からも刑事が大勢来ていた. 例え岡崎の意識が回復しても七曲署の刑事に尋問の順番が回る筈はない. ボスはジーパンに病院に残り,岡崎の意識が戻ったらすぐに報せろと命じた. それを聞きつけ,本庁の刑事は釘を刺した.本庁から所轄に報せると. ボスは所轄で起きた事件だから所轄にも調べる義務があると主張した.

ジーパンと本庁の刑事は岡崎の病室の前を見張っていた. ジーパンはタバコを吸おうとしたが火がなく, 丁度タバコを吸おうとした本庁の刑事から火を借りようとしたが, 本庁の刑事はライターを消してしまった.仕方なくジーパンはマッチをすった. 本庁の刑事はトイレへ行くのでしっかり見張ってくれと行って,立ち去った. 本庁の刑事は医者に化けた男に殴り倒されてしまった. そして偽医者はジーパンに,刑事がトイレで倒れている,と言った. ジーパンはトイレへ急行.それを見届け,偽医者は岡崎の病室に入り, 点滴の管を抜いた.ジーパンが戻ると丁度偽医者が出てきたところ. 慌ててジーパンは偽医者を追いかけた.偽医者は車に乗った. ジーパンは車の屋根につかまった.それを山さんが気がついた. 偽医者は車から飛び降り,ジーパンを殴った. 山さんはジーパンに深追いをやめるように言った.

この事が問題になった.本庁は犯人を目撃しながら逃がした責任を取れ, と言ってきたのだ.岡崎は死亡.ボスはジーパンの傷を気遣った. ジーパンは大丈夫だと言った.
山さん「それよりジーパン. ただがむしゃらに突っ走ればいいってもんじゃないぞ.」
ジーパンは山さんの方を見た.
山さん「命は一つしかないんだ.」
ジーパン「大丈夫ですよ.俺は不死身ですから.」
そこへシンコが戻ってきた.本庁のガードは固く, 本庁の刑事の傷の具合も判らなかった. ただ凶器はブラックジャックらしい事をシンコは聞き出していた. 強く殴られているが頭の表面には傷がなかった.おそらく芯は固いが, 表面は革のように軟らかい物で殴られたのだろう. そうなるとプロの仕業と言う事になる.

その頃,車の中でジーパンを襲った男が依頼主と話していた. 岡崎は滝口を撃ち殺した男こと坂田を殺す手筈になっていた. チンピラを不審尋問したらライフルで向かって来たから射殺した, と言う事になった筈だった.が筋書きが狂ってしまった. 依頼主に男は「はじめから自分に任せていればこんな事にはならなかったんだ.」 と言ったが,依頼主は男が麻薬中毒である事に懸念を抱いていた為, 男に頼まなかったのだ.警察は未だ坂田に気づいていない. 依頼主は坂田の始末を男に指示した.男は佐伯弁護士事務所の中へ入って行った.

男は旅行社から出てきた坂田の恋人に目をつけ,彼女を尾行した. 彼女はアパートの中に入ろうとした時,男は素早く入り込み, 女が旅行社からもらってきた物がパスポートである事を確認した. 坂田の本名は坂田明男.女の名前は本田まゆみ.男はそのまま居座り, 坂田に用があると言った.本田は男に出て行けと言ったが, 男はそのまま居座った.女は逃げようとしたが,男のナイフ投げの腕に屈し, 逃げるのを諦めた.

さて七曲署の面々は滝口に強請られていた男を調べていた. 本庁も行き詰まっていた.
ボス「犯人達の弱みはライフルを撃った男だ.」
ジーパンは怪訝な顔.
ボス「俺の想像では,岡崎って刑事の役割はライフルを撃った男を殺す事だ. 刑事がライフルを持っている男を撃っても何とでも言い訳はつく. ところが逆に撃たれた.」
ゴリさん「すると…」
ボス「ライフルを撃った男は自分が裏切られたことを知って逃げ回ってるだろう. 奴等も必死になって探してる筈だ.奴等よりも前にその男を捕まえるんだ.」
依頼主こと佐伯弁護士の懸念は的中した.しかし手がかりらしい物は全くない. ジーパンは一生懸命考えた.

さて男がラーメンを食べていると本田のところに電話が掛かってきた. 本田は電話に出る事を躊躇したが,男は出ろと言った.電話は坂田からの物. 坂田は必死に来ないでと言った.それを聞いた坂田は誰かいるとピンと来た. それでも坂田は四時にいつもの所で会おうと言って電話を切った. 男は本田に,どこで会う約束をしたかを訊いた.だが本田は答えなかった. 男が,行かなければ会いにここまで坂田が来る,と言うと, 本田は窓を開けて,助けを呼ぼうとした.だが本田は殴り倒されてしまった.

本田のところに七曲署の面々が現れた.本田の死因は首の骨折. 凶器はブラックジャックらしい.しかも一撃で即死させられていた.
ジーパンの声「あの時,俺が捕まえていたら…」
ゴリさんが坂田明男のことを調べ上げていた.早速ジーパンは坂田の住居へ直行. だが半年前に転居したばかり.坂田は半年前に勤め先も辞めていた. さらにゲームセンターのシューティングゲームに夢中だった事が判った. だがそこへも半年前から姿を現さなくなっていた.つまり, 半年前にガンマニアの坂田に本物のライフルを与え, 半年の間に坂田を本物の狙撃手に育てた者がいると言う事になる.

その頃,男は競艇場にいた.男はそこでジーパンと長さんを見かけた. 男もジーパン達も坂田の兄に目をつけていたのだ. 坂田は兄のところにも現れていなかった.坂田の兄が去った後
ジーパン「長さん,さっき向こうの物陰に隠れた男がいるんです.」
長さんはその物陰を見た.
ジーパン「紺のコートにサングラスの男なんです.」
ジーパンと長さんは競艇場でその男を探し回った. そしてジーパンは男を見つけ,長さんにその事を話した. ジーパンと長さんは二手に分かれて男に近寄ったが,男もそれに気づいていた. 男は様子をうかがい,逃走.ジーパンと長さんは男を追いかけたが, 男は駐車場に消えた.ジーパンと長さんは車を一台一台探し回った. その時,白い車が発進.ジーパンは拳銃を構えたが,男は夫婦を盾にしていた.
ジーパン「畜生.また逃げられた.」

シンコ「逃がしたけど無駄じゃなかったわ,柴田君.」
ジーパン「何が?」
シンコ「乗っ取られた車の中からかなりの指紋が取れたんですよ.」
ジーパン「ほ,本当か?」
シンコ「今,ゴリさんが犯罪者カルテを照合しています.」
その結果,男の本名は風間五郎で十年前に殺人事件を起こした男と判明. ジーパンは闘志を燃やした.ちなみに人質に取られた夫婦は無事だった. しかも殺したのは実の母親.その頃風間は強度の麻薬患者で, 精神病院に送られていた.5年前に完全に治って父方の叔父に引き取られたが, 3年前から行方不明.坂田明男にライフル銃を教え込んだのも風間だろう. 風間の父親が鉄砲きちがいで母親を殺したのも父親のライフル銃によるもの.
ジーパンの声「風間五郎.」
ジーパンはあの時のことを思い出していた.
ジーパンの声「なんて奴だ.よし,今度は必ず捕まえてやる.」

長さんと殿下は坂田の兄の家を訪れていた. 妻と子供は彼が営んでいる小料理屋へ行っていた.だがそこには風間がいた. 風間は坂田の甥のやすおを盾に取り, 坂田から連絡があったら坂田の兄と刑事が出かけるはずだ,判ったら連絡しろ, と命じた.妻は血相を変えて戻ってきた.やすおはどうしたと訊く兄に, 妻は預けてきたと誤魔化した.そして妻は坂田から連絡がないのかと訊いた. 長さんはなぜそれを知っているのか不審に思った.妻は,店にも刑事が来た, と誤魔化した.妻の言葉を信じた兄は店には行かないでくれと言った筈だ, と詰め寄った.そこへ坂田から電話があった. 坂田は刑事が来ている事を見抜いていた.坂田は,死ぬ前に話したかったから, 電話をした,と言った.兄は死ぬのはやめろと言った.その頼みに負け, 坂田は,グルグルで待ってる,と答えた.兄は独りで行くと言っていた. 電話を切った後,殿下はグルグルはどこかと訊いた.妻も血相を変えて訊いた. そして妻は「教えてくれないと坊やが,やすおが…」と口走ってしまった. それを聞き,坂田の兄は話した. グルグルというのは昔よく遊んだあけぼの遊園地の観覧車のこと. それを聞いた長さんと殿下は出て行こうとしたが,妻が電話するのを見て, 行先を店に変えた.長さんは無線で助けを頼んだ. ボスは山さんとジーパンを遊園地に向かわせることにした.

子供は無事だった.山さんとジーパンはあけぼの遊園地へ向かった. 一足先に風間はあけぼの遊園地(昔の多摩川園)に来ていた. 風間は遊園地前の駅(昔の多摩川園駅.今の多摩川駅.)に入り, 観覧車に坂田が乗っている事を確認.風間はサイレンサーを拳銃に取り付けた. 駅に風間がいる事に坂田も気がついた.その頃, ジーパンと山さんがあけぼの遊園地に到着.風間が狙いを定める. 慌てふためく坂田.走るジーパン.観覧車を狙う風間. だがジーパンが観覧車の下に現れた.拳銃を構えるジーパン. 風間が坂田の肩を撃ち抜いた.ジーパンのテーマに乗り, 風間を追いかけるジーパン.山さんは観覧車を止めるように指示. 風間を追いかけるジーパン.風間は丘を登って逃げた.途中, 坂田はジーパンを威嚇.だがジーパンの拳銃が風間の足に命中. 風間は反対側の坂を転がり落ちた.ジーパンはゆっくりと降りていった. だが風間の姿はなかった.様子をうかがうジーパン. そのとき,一台のダンプカーがジーパンに向かって走ってきた. 運転しているのは風間だ.ジーパンはダンプめがけて拳銃を撃ったが, 風間には当たらなかった.ジーパンはダンプをよけながら拳銃を撃った. だが遂に全弾使い果たしてしまい,その上,足まで撃ち抜かれてしまった. ジーパンにダンプカーが迫る.ジーパンはダンプをよけるのがやっとだ. しかも風間は拳銃をどんどん撃ってくる.
風間「今度は外さないぜ.」
風間のダンプが近づく.
ジーパン「う,う,やめろ.やめろう.」
だが風間は気がつかなかった.荷台に山さんが飛び乗った事に. 風間は山さんに射殺された.その頃,坂田は観覧車に手錠で継がれていた. 長さんと殿下は坂田を発見.山さんはジーパンを助け起こした.
山さん「ジーパン.大丈夫か.大丈夫か.」
気がついたジーパンはダンプを見て恐怖で一瞬身を引き, そして山さんに抱きついて泣くのであった.

依頼主の佐伯シンイチロウは逮捕された.そこへ本庁の刑事が現れた.
ボス「ああ,ごくろうさんです.後は本庁にお任せします.」

翌朝.
シンコ「夕べ,柴田君,大変だったらしいわよ. 足の怪我は大したことなかったらしいけど,夜中にうわ言言って跳ね起きたり, お母さん,とうとう鎮静剤打ち込んだんですって.」
よっぽどジーパンは恐かったのだ.たまにはいい薬だと言う久美ちゃん. そこへジーパンが登場.
ジーパン「おはようございます.あれ,どうかしたんですか? 何かあったんですか?」
お前の心配をしてるんだというゴリさんに,ジーパンは大丈夫だと答えた. だが山さんには照れくさそうに「どうも」と礼を言った. 山さんはジーパンを叩いた.そこへ電話が.ジーパンが電話を取った. 安浦町で恐喝だと言うのだ.さあ,ゴリさん,行きましょう,と言うジーパン.
シンコ「ねえ,拳銃.」
ジーパン「チンピラなんかなあ,素手で充分だよ.不死身なんだから,俺は. じゃあ,山さん.」
ジーパンは出て行った.
山さん「全然,薬が効いてないようですなあ.」
ボスは肯いていた.

次回は麻薬中毒患者に陥った殿下,そして禁断症状の苦しみに付き合う山さん.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp