2002年4月24日

「がんばれ! レッドビッキーズ」第45話「帰れ! ホームラン太郎」

脚本は鷺山京子.監督は広田茂穂.

今日も太郎は絶好調.ノミさんの球を軽々と外野へ飛ばしていた. そこへオーナー登場.何と全国少年野球大会が開かれると言う. 東京大会上位4位の球団が選抜されて出場すると言うのだ. 勿論,レッドビッキーズも出場可能だ.喜ぶナイン達. 気がつくと太郎の姿はいなくなっていた.

練習の帰り道,ナッツ達は次郎の姿を見かけた.そこでシゲ,カリカリ, ブラザーが次郎の跡をつけてみた.そして見た. 太郎が他のチームで練習しているところを. カリカリ達はどういう理由だと詰め寄った.太郎は事情を説明した. 1週間前にラブリーズの山口(上屋健一)が自転車の修理を頼みに, 西郷自転車店にやってきた.生憎父親は不在.そこで太郎がパンクを修理した. だが練習の時間になったので太郎はブレーキを修理せずに出かけて行った. そしてうっかり,ブレーキの修理を忘れたまま山口に自転車を返してしまった. そのため,山口は下り坂に差し掛かった時, ブレーキの故障で怪我してしまったのだ.それに負い目を感じた太郎が, ラブリーズの練習を手伝ってやっていたと言うわけだ. だがカリカリ達は納得しなかった.ジュクは太郎に, レッドビッキーズかラブリーズかどちらか一つを選択するよう迫った.
太郎「そりゃ,レッドビッキーズさ.」
ジュク「じゃあ,ラブリーズを辞めて, レッドビッキーズに戻ってきてくれるんですね?」
だが太郎は悩んでしまった.やめちゃえよ, 全国大会を控えてレッドビッキーズは今大事な時だ,という声を聞き
太郎「判ってるよ.だけど見捨てるわけにはいかないし…」
カリカリ「ラブリーズはできたばっかりの一度も勝った事のない, ボロチームじゃないか.どうせ,すぐ解散さ.ほっとけ,ほっとけ.」
ブラザー「そうだよ.」
太郎「だけど,山口君もみんなも一生懸命なんだ.何とか一勝させてやれば, 自信がつくと思うんだ.」
太郎の言葉には深い意味がある事に,皆気付かなかった. そのため,皆,「辞めちゃえよ」と言うばかり.
太郎「俺,レッドビッキーズが好きなんだ.後から皆に追いつく. 迷惑は掛けない.だからあと一週間待ってくれ.な,頼むよ.な. あと一週間待ってくれよ.な,いいだろう.あと一週間待ってくれよ.」
だがジュク達は納得しなかった.
ジュク「君には判ってないんです. 僕達がどんな苦労をしてここまでやってきたのか.」
太郎は落胆してしまった.皆,かつてはラブリーズのようなチームだった事を, 忘れてしまったのだ.

ジュクは独断でラブリーズの山口に練習試合の申込書を渡しに行った. それを聞いた令子は怒った.そして令子は何か訳があると見抜き, 聞いてみた.ジュクが,二つのチームに所属している奴がいる, と言ったりするなど,婉曲に太郎の事を批判した. これに太郎は耐え切れなかった.
太郎「みんな,俺を辞めさせたいんだな.」
令子は驚いた.
カリカリ「そうじゃないよ.ただ,どっちか一つを…」
太郎「俺は一週間だけ待ってくれって言った. 俺を信じてくれって頼んだじゃないか.それなのになんだ.みんな,汚いぜ!」
ジュク「でも今は大事な時ですから…」
太郎「何が大事だ.全国大会に出ることがそんなに大切か? それが野球か? そんな野球がレッドビッキーズの野球なら,俺は御免だ!」
太郎は怒って川原へ行った.次郎は慌てて跡を追った. 太郎の目から涙が零れ落ちていた.
太郎の声「畜生.全国大会がなんだ.何がレッドビッキーズだ!」
太郎はレッドビッキーズのユニフォームを脱ぎ捨て,力任せに踏みつけた.

太郎はラブリーズの指導に専念していた.それを令子は見た.
令子「これがラブリーズ.そうだ.ビッキーズも最初はこうだった.」
令子は皆が下手糞だった頃を思い出していた. ペロペロキャンディーをなめてボールを追わないペロペロ. 亀に夢中のトータス.そして次々と帰って来る相手打者.

CMが明け,川原で素振りする太郎に令子は声を掛けた. ラブリーズの監督は仕事が忙しく,1週間に1回しか来なかった. だから太郎はラブリーズの練習を手伝っていたのだ.そして, 太郎はラブリーズが1勝するのを見届けたかった. ラブリーズは未だ一勝もしていなかった.
令子「一週間待ってくれって言うのはそのことだったのね.」
太郎「もういいよ.俺はずっとラブリーズにいる事に決めたんだ.」
令子「その気持ちは立派よ. でもあなたが必要なのはラブリーズだけじゃないわ. レッドビッキーズだって必要なのよ.」
太郎の顔は濡れていた.汗なのか,涙なのか,それとも川の水がかかったのか. 太郎はしばらく考えた後,言った.
太郎「何のために? 勝つ為にか?」
令子は二の句が告げなくなってしまった.
太郎「友達の言葉も信じないで弱いチームを踏みつけにして, それで勝ってどうなるって言うんだよ.」
令子は絶句してしまった.
太郎「そうだろう.最低じゃないか,そんなの.そうだろう!」
太郎は怒って走り去ってしまった. 令子は次郎が持って来た太郎のユニフォームを手にとった.
太郎の声「弱いチームを踏みつけにして, それで勝ってどうなるって言うんだよ.最低じゃないか.最低じゃないか. 最低じゃないか…」

令子は太郎のことで頭が一杯で, 恵子から頼まれたすき焼き用の肉としらたきを買い忘れてしまった.
令子「人間って忘れるものなのね.」
恵子は呆れてしまい,メニューを湯豆腐にすることにした.令子は呟いた.
令子「あの頃のレッドビッキーズ.」
本当に皆,下手糞だった.
令子「下手ならば上手になればいい.それが練習なんだ.情熱なんだ. 未来なんだ.そうだわ.」
突然,令子は立ち上がり,恵子を驚かせた.
令子「そうよ.あたし達は大切な物を忘れていたんだわ.」

練習終了後,令子は皆を集め,泥だらけの太郎のユニフォームを見せた. そして言った.
令子「そう,あたしはこのユニフォームの泥をすっかり落とさない限り, 選抜大会の出場は辞めるわ.このユニフォームはレッドビッキーズの心よ. ねえ,みんな.もう一度スタートした頃の真っ白な心を思い出してみて. まず1勝どころか1アウトを奪るところから始まったわね. 次は一点を取る事.そしてやっと勝つ事を目標にできたわ. あの頃のチームは最低だったわ.そしてここまで来た. その結果が一人の人間の心を踏みにじってまで, ただ勝とうとするチームになったのなら,何の意味もないわ. あたしはみんなにそれを言いたかったの.」

メンバーは令子の言葉を真摯に受け止めた. そしてラブリーズのグランドにやって来て,太郎に会おうとした. だが太郎は皆を避けようとし,背を向けて歩き始めた. 皆の呼ぶ声に太郎の足が一度止まった.だが太郎はまた歩き始めた.
ジュク「ねえ,太郎君,僕達,君に謝りに来たんです.」
太郎の足が止まった.
太郎「謝ることなんかないよ.」
山口「みんな聞いたろう.太郎はもうレッドビッキーズとは縁を切ったんだ. 帰れよ.」
カリカリ「レッドビッキーズとしてではないんだ. 友達として君に謝りたいんだよ.」
太郎「友達だ? 誰が友達なもんか!」
シゲ「怒るのは当然だよ.だけど,俺達知らなかったんだ.」
太郎「知ってることを信じるなら誰だってやるさ.」
また太郎は背を向けた.
太郎「友達ってのは,一言信じてくれって言う時に, 黙って信じてくれる奴の事じゃないのか.」
これを聞いたレッドビッキーズのメンバーは言葉を失った. 去ろうとする太郎にカリカリが駆け寄り,土下座した.皆,土下座した. 太郎の怒りは解けなかった.だが太郎は涙で鼻をすすりながら歩いていった.

そんなある日.ラブリーズのグランドは毎日毎日きれいに磨かれていたのに, 太郎と山口達は気がついた.石一つ落ちていなかった. 太郎は,一体誰の仕業だろう,と考え込んだ. 実はこれはレッドビッキーズのメンバーの仕業だった. ラブリーズのメンバーよりも先に来て,石を拾ったり, トンボで土をならしたりしていたのだ.それを太郎は偶然見てしまった. 太郎は黙ってその様子を見ていた.ジュリは太郎が来た事に気がついた. 後からやてきた山口は, 洗濯された背番号13のレッドビッキーズのユニフォームに気がついた. 山口はそのユニフォームを手に取り,太郎に手渡した.
山口「君に来てもらったら,ラブリーズも強くなれると思った. レッドビッキーズのようにね.でも違うんだ.レッドビッキーズの強さの秘密は, チームワークなんだね.」
太郎は肯いた.そして言った.
太郎「いいのか?」
山口は肯いた.太郎はラブリーズのユニフォームを脱ぎ, レッドビッキーズのユニフォームを着た. それを見て,レッドビッキーズのメンバーは太郎の元に駆け寄った.
太郎「もう一度,レッドビッキーズの仲間に入れてくれるかい?」
ジュク「勿論だとも.」
太郎「ありがとう.レッドビッキーズのチームワークは日本一だよ. これからも一緒に頑張ろうな.」
皆,喜んでいた.それを遠くで見ていた令子は思った. レッドビッキーズは日本一のチームだ,と.

次回は冒頭でオーナーが言っていた全国少年野球大会にレッドビッキーズが出場. 対戦相手のエリートスターズがスパイを派遣し,ナッツとシゲがピンチに…

「太陽にほえろ!」第236話「砂の城」

脚本は柏倉敏之と小川英.監督は竹林進.主役はスコッチ.

ある日の朝.スコッチはマンションで紅茶を飲みながらサボテンを眺めていた. そこへ電話が.宿直のボンからの物. 矢追3丁目のみどりハイツというマンションで事件が起きたというのだ. 早速スコッチは現場に駆けつけた.死因は後頭部の打撲による頭蓋骨骨折. 凶器は傍らに落ちていた壷らしかった.殺された男の名は広田良一.27歳. 広田の爪の間に血がついていた.犯人を引っ掻いた時についた物らしい. 机の中が掻き回された跡があったが金には手がつけられていなかった. 怨恨による素人の犯行だと思われる. 管理人が前の晩の10時頃に若い女が部屋から出てくるのを目撃していた. 女は大学ノートを持っていたので学生かもしれなかった.

広田はB型.が,爪の間に着いていた血液はO型だ.やはり犯人の物だと思われる. 広田はサラリーマンにしては多額の預金をしていた. しかも毎日毎日多額の金が預け入れられていた. 広田はアルバイトをした様子もないし, 株などの相場に手を出した形跡もなかった. という事は強請りを働いていたのかもしれない. その頃,スコッチと長さんは被害者の勤めていた土建新報へ行ってみた. 広田の上司の大内正巳は強請りをするようには見えないと否定していた. スコッチは広田の机の上のメモ帳が一枚だけ破られている事に気がついた. スコッチが破られたメモの下の紙に鉛筆を塗ってみると, 「西条景子」という言葉が出てきた.

スコッチと長さんは西条景子が働く縫製工場へ管理人を連れて行き, 面通しさせた.確かに西条は管理人が目撃した女だった. 早速,スコッチと長さんは西条(倉野章子)を引っ張った. 西条は広田良一を知らないと言い張った. スコッチは前の晩に工場を出てから10時までの事を訊いた. 西条の供述は曖昧だった.西条は10時頃にどこにいたのか, 覚えていなかったと答えた.
西条「一人暮しですから時間は気にしないんです.」
西条は定時に工場を出て,二丁目の蕎麦屋で食事をした後, 二丁目の付近をブラブラし,それからアパートに帰ったと言う. アパートに帰った時間は覚えていない,と西条は言い張った.
スコッチ「嘘をつくんじゃない!」
スコッチは机を叩いた.
スコッチ「西条さん,一人暮しの人間には夜は長いんだ. 夕べの何時にどこにいたのか,よーく覚えている筈ですがねえ.」
西条の顔に緊張が走った.
スコッチ「あなた,夕べの10時には3丁目のみどりハイツにいた. そしてあなたを強請っていた広田良一を殺した.そうですね.」
西条「知りません.そんなことしません.」
スコッチ「だったら何故嘘をつくんです.なぜ私の目が見られない.」
西条は黙秘を続けた.そこへボンが入ってきてスコッチを廊下へ連れ出した.
ボン「西条恵子の毛髪から検出された血液型はB型. 被害者の爪から検出されたのはO型です.」
つまり,西条恵子は犯人ではないのだ.

それでもスコッチは西条が怪しいと睨んでいた.嘘をついていたからだ. ゴリさんは, 彼女も広田に強請られていたとすれば嘘をつくのも当然だと言った.だが
スコッチ「それだけのことなら当に彼女は崩れてます.」
皆,スコッチを見た.
スコッチ「彼女の嘘の中にもっと強い何かが. 身柄は釈放しますが,その嘘だけは突き止めさせてください.」
ボス「プライバシーの尊重が条件だぞ.いいな.」

みどりハイツの住人からは何も収穫がなかった.
ゴリさん「隣りは何をする人ぞか.一変に難しくなったぞ,これは.」
その時,広田の部屋の前に一人の男が現れた.ゴリさんと殿下が声を掛けると, 男は慌てて逃げようとした.結局,男はゴリさん達に捕まった.

西条を見張っていたスコッチにボンが言った. ゴリさんが捕まえた男の証言によると, 広田は強請りの材料を大学ノートに書き込み,写真を挟んでいたと言う. ちなみに男は自分の写真を取り返しに来ただけだった. 西条は10年前に18歳の時に山形から上京して以来,ずっとこの工場に勤めていた. どこから見ても真面目で善良で浮いた噂など全然なかった. その時,西条が外に現れた.
ボン「服装が違う.まるで別人だ.」
西条は小田急に乗って出かけていった.そして一人の男(横光克彦)と会っていた. ちなみに降りた駅は梅ケ丘の辺り.どうやらデートのようだった. スコッチは二人が会っていた喫茶店で聞き込んだ.男の名前は川村真司. 二ヶ月前に川村が落とした定期券を西条が拾い,届けた. それがきっかけで知り合い,今では三日にあげず二人は会っていた. 川村は宮園土建会社に勤めていた.部署は経理課でエリートコースを歩いていた. 土建会社となると広田とつながりがあることが考えられる. しかしタバコの吸殻から検出した川村の血液型は犯人の物と一致しなかった. しかも川村は犯行時刻にはスナックにいた.だが
ボス「それでも川村真司はこの事件と関係がある.そういうんだな?」
スコッチは肯いた.ボンは,川村が強請られており,その交渉に西条が行った, と興奮して喋った.そのためボスに注意された.
ボン「すいません.でも安心したんです.あんなに慎ましく生きている女性が, 実は悪女だなんて,やっぱり思いたくないんですから.」
スコッチ「悪女じゃないから余計厄介なんだ.」
ボン「は?」
ボス「ボン,彼女は九分九厘, 強請りのネタが入っている大学ノートを持っている.だがなあ, その事実を主張し,ノートを差し出すことは最愛の男を傷つけることになる. 彼女は必死にその秘密を守り通そうとするだろう.」
スコッチ「捜査を続けます.」
ボンは興奮し,スコッチの跡を追いかけた.

土曜日の午後.西条は信用金庫に入り,大金を下ろしていた. それをスコッチとボンが目撃した.すかさずスコッチは信用金庫で聞き込み. 西条はその足で川村の待つ喫茶店へ行った.
川村「つけられなかっただろうな.」
西条「大丈夫よ.」
そして西条は川村に金を渡していた.ボンはしっかりそれを目撃. スコッチも合流し,また跡をつけた.ボンは興奮し, 西条は川村に騙されてるんだ,とか言いたい放題.
スコッチ「黙っててくれよ,ボン.」
川村は西条をアパートまで送った.
川村「じゃあ,後でね.」
西条「きっと来てよ.お夕飯作って待ってるからね.」
川村が車で去った直後に,別の車が走ってきた.
スコッチ「危ない.」
その声を聞き,川村は車を何とか避ける事が出来た. スコッチは車に向けて拳銃を発射しようとしたが, 車は曲がり角を曲がってしまった.その車をボンが追いかけた.

ボンは車のナンバーを無線でボスに報せた.スコッチは西条の部屋に上がりこみ, 西条に迫った.
スコッチ「西条さん,今の車に乗った人物の顔を見ましたね?」
西条「いいえ.」
スコッチ「見なくてもあなたには判る筈だ.あれは広田殺しの犯人だ. そうですね?」
西条「判りません,あたし.どうしてそんな他人があたしを…」
スコッチ「広田が殺されたアパートで,あなた,誰か見たんじゃないですか? ノートを持ち出した時に誰か見てる筈だ.」
西条「違います.あたし,そんなところには行きません.」
スコッチは複雑な顔をして下を向いた後,鳥篭に気がついた. スコッチは鳥篭を見ながら言った.
スコッチ「西条さん,あなたが広田の部屋から持ち出したノートには, 川村真司という名前が書いてあったんじゃないですか?」
西条の顔色が変わった.だが
西条「知りません.ノートなんか知りません」
スコッチ「川村さんの事はわれわれはどうでもいい. そのノートに書いてあるに違いない犯人の名前が知りたいんですよ.」
西条「ノートなんか知らないって言ってるでしょう.出てって.」
スコッチ「西条さん,あなたは命を狙われてるんだ.ノートを渡して下さい.」
沈黙が流れた.二人は睨みあった.
西条「命なんて惜しくないわ.帰って.帰って下さい.」
また二人は睨みあった.スコッチは出て行こうとした. 鳥篭の中に文鳥が2羽いた.それを見たスコッチは自室のサボテンを思い出した. スコッチは西条の気持ちが判るような気がした.そして出て行った.

翌日.西条の工場を見張っていたボンはスコッチが来なかった事を, 無線でボスに報告.西条も様子は変わりがなかったと言う. その時,山さんから電話が掛かってきた.前日に西条を轢き殺そうとした車は, 貫井建設の社長の物だった事が判ったのだ.山さんは殿下と一緒に貫井に迫った. 貫井は広田に強請られていた.手抜き工事をネタにされていたのだ. だが広田が殺された時,貫井は突貫工事で現場に詰めていた. だから貫井にはアリバイがあったのだ. だがこれにより判ったことがあったと山さんは殿下に言った. 殿下にはそれが何か判らなかった.
山さん「犯人は証人の西条景子を殺し,全ての罪を貫井に押し付けようとした. という事は広田が貫井を強請っていると知っている者の中に, 犯人がいるって事だ.」

スコッチは川村の勤める宮園土建株式会社に現れていた. そして経理部長に帳簿を調べるように迫っていた. 帳簿を管理しているのは川村なのだ.捜査終了後, スコッチは西条のアパートに現れた.まず,見張っていたボンに, 西条と川村がいる事を確認.スコッチは理由を尋ねるボンには何も言わず, ただ一言,「ここにいろ.」と言い残してアパートに乗り込んだ.
スコッチ「川村さん,あなた会社の金を200万使い込んでいる. 今日全額を返済して帳尻を合わせていますがねえ.」
川村の顔に緊張が走った.西条は明らかに動揺していた.
スコッチ「それを広田にかぎつけられて強請られていた.そうですね.」
川村「景子,お前,喋ったのか?」
西条は否定した.スコッチがそれを受けて言った.
スコッチ「その通りだ,川村さん.この人はあなたを庇う為に, 広田のところからノートを持ち去った事も隠し続けた.」
川村の顔は青ざめていた.
スコッチ「あなたが使い込んだ二百万の為に, 十年もかかってこつこつと貯めた預金まで引き降ろしている. あなたを裏切る気なら誰がこんなことをしますか?」
西条「刑事さんは私を…どうしてそんなことを? どうして?」
スコッチ「今これで全てがはっきりした.もう隠しておく必要はない. ノートを渡して下さい.」
それでも西条はノートの件を否認した.それを聞きながら川村は笑った.
川村「とぼけたってもう遅いよ.」
西条「川村さん.」
川村「どうせ会社で調べたに違いない.私はこれでおしまいだ.終わった. 終わったよ,何もかも.」
そして川村はアパートを出て行った.西条は川村を追いかけた.だが, 川村は西条を突き飛ばし,こう言い放った.
川村「俺だって,お前どころじゃないんだよ.自分だけで手一杯だ.」
これを聞いた西条はショックを受けた.それでもスコッチは訊いた.
スコッチ「ノートはどこです.」
西条「あなたのせいよ.こんな事になったのはみんなあなたのせいよ.」
スコッチは何も言わなかった.否,言えなかった.見かねたボンが言った.
ボン「西条さん,川村がどうして会社の金を使い込んだのか,あなた, 知ってるんですか? 暴力団絡みの性の悪い女に引っかかったせいです.」
西条「知ってるわ.」
ボン「いや,知らない.あの男があなたに近づいたのは, 使い込んだ金をあなたに出させる為です.」
スコッチ「よせ.」
西条は泣きながら言った.
西条「この東京で一人で暮らしてる女の気持ちが判りますか? 毎日,毎日,砂を咀むような暮らし.あの人は私に優しかった. たとえ上辺だけでも優しかったんです. あの人の為ならお金なんか惜しくなかった.もうおしまいよ.」
西条は中に入ってしまった.スコッチは西条の言葉を思い返していた.
西条の声「一人で暮らしてる女の気持ちが判りますか?」

その晩.話を聞いたゴリさんはスコッチのやり方を批判していた. 情が無さ過ぎると.ボンはスコッチを弁護し,こう言った.
ボン「滝さんは言ってました. あの二人の暮らしは砂で作った城みたいなもんだって.」
ボス「砂の城か.」
ボン「ええ.いくら大切でもどうせ崩れるんだから早く崩れた方がいいって.」
ゴリさん「それはあいつの理屈だよ.傍目から見りゃ, 砂だか蜃気楼だか知らないが,本人達にとっちゃかけがえが無いんだ. 壊れりゃ血が出るんだぞ.」
ボン「血が出たって,そんな砂の城の為に命まで落とす事は無い. それが滝さんの気持ちなんです.滝さんには判ってるんです. 東京での一人暮し.西条景子の砂を咀むような暮らしが,誰よりも, あの人にはよく判ってるんです.」
ゴリさんは衝撃を受けた.
ボン「あの人を傷つけたくないと一番思ってるのは, 本当は滝さんだと僕は思います.」
ボス「ボン,スコッチの様子を見にやってやれ. 今度の事で,あいつの受けた傷が一番深いかもしれん.」

その頃,スコッチは外で西条のアパートの前にいた.西条は鳥篭に布を被せた. その後でカーテンを開け,外を見た.スコッチがいるのが見えた. 西条はカーテンを閉めてしまった.スコッチはずっと外にいた. ボスもずっと七曲署に居残っていた.そこへ山さんがやってきた. ボスはスコッチからの連絡をずっと待っていた. 山さんは広田の強請りの線を洗っていたが,収穫がなかったと報告. 今夜は冷えるなあ,というボスに山さんはお茶を入れてやった. スコッチのマンションへ行ったボンは外に出しっ放しのサボテンを見て, スコッチの不在を知った.スコッチは未だ西条のアパートの前にいた.

翌朝.西条がカーテンを開けるとスコッチが未だ立っているのが見えた. そこへボンがやってきた.ボンは自分がノートを取りに行くと言ったが, スコッチはボンを止めた.
スコッチ「無駄だよ.」
その時,若い男がアパートに現れた.そして西条の部屋の戸を叩き, 包み紙にくるまれた箱を西条に渡した.
スコッチ「危ない.」
西条「何するの?」
スコッチは何も答えずに箱を奪い取り,外へ走り,箱を放り投げた. 途端に箱が爆発.驚く西条.
ボン「滝さん,大丈夫ですか?」
スコッチ「ボン,彼女を頼むぞ.」
スコッチはボンが乗ってきた車に乗り込んで男を追いかけた. ジーパンのテーマのスローバージョンが流れる中
西条「あの刑事さん,なんであたしを助けてくれたの? あたしはノートも渡さないでずーっとあの人を憎んでいたのに. 憎んでいたのに.」
ボン「憎まれるように,そういう風にしか出来ない人なんです. 滝さんって本当は凄く優しいのに.」

スコッチは男を問い詰めた.男は爆弾が入っている事など知らなかった. ただ電話で頼まれ, 金を渡すと言う約束で駅前のロッカーから部屋に運んだだけだったのだ. そこへボンがやって来た.
スコッチ「何故彼女の部屋にいないんだ!」
ボンはゴリさんが応援に駆けつけた事と,西条がノートを渡すのに応じた事を, スコッチに話した.

西条は全てを話した.あの晩,広田の部屋の前で男とすれ違った事, 広田の部屋で広田が死んでいるのを見た事,驚いた拍子に本棚にぶつかり, あの大学ノートが落ちた事,そして大学ノートを持ち去った事を. 西条は後姿しか見なかったので中年の男だという事以外, 犯人の様子を知らなかった.だが大学ノートには意外な人物の名前が載っていた. それは広田の上司の大内正巳.大内は保険金目当てに自分の妻を殺していた. それをネタに広田に強請られていたのだ. 大内なら貫井が揺すられていた事も知っていた筈だ.大内は直ちに逮捕された.

翌朝.スコッチは工場の前で西条に言った.
スコッチ「犯人が自供しました.ありがとう.」
西条「いいえ.そんな.」
スコッチは立ち去ろうとした.そのスコッチを西条は呼び止めた.
西条「刑事さん.私,もう一度やり直します.今度こそ寂しさに負けないで, 生きていきます.自分にも他人にも嘘をつかないで.刑事さんのお蔭です.」
そう言ってから西条は中に入って行った.スコッチは頬笑んでいた.その時, クラックションの音がした.ボスが来ていたのだ.ボスは送ってやると言ったが, スコッチはこう言って断った.ちなみにスコッチは非番.
スコッチ「乗るとまた仕事で休めなくなりますから. ここんとこほったらかしだったんで,今日はゆっくりと話をしたいんです, サボテンと.」
去っていくスコッチを見ながら,ボスは「ばーか」と口真似するのであった.

次回はそのボスが主役です.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp