2002年1月30日

「必殺仕業人」第21話「あんたこの計り事どう思う」

脚本は保利吉紀.監督は松野宏軌.

芸者のおりく(水原麻記)のところに, 米穀問屋越後屋の若旦那伸吉(太田博之)が通いつめていた. おりくはいつ身請けしてくれるんだと詰め寄っていた. そこへ金貸しの久六が現れて30両を返せと詰め寄ったが, 逆に伸吉にぶん殴られてしまった.伸吉は岡引(田口計)と久六に連れられ, 越後屋にやってきた.越後屋の旦那藤兵ヱ(西山嘉孝)は, 伸吉の放蕩ぶりに呆れていた.ちょうどやいと屋が来ており, 奥で女将のお仙(双葉弘子)にお灸を据えていた. そこへ伸吉の弟の孝助(道井和仁)がやってきて,女将を呼んだ.表へ出てみると, 旦那が伸吉を勘当するので,人別帳から外せ, と言い放ったところに出くわしてしまった.岡引と久六は外へ出た. 金は奉行所で何とかしてくれるんですよね,という久六に, 岡引は自分に話を預けろと言っていた.今回はここでタイトル表示.

岡引は伸吉を自分の家へ連れ込んだ. そして弟の孝助をかどわかせと岡引は言った.疑いの掛からないよう, 岡引はしばらく新之介を牢屋敷へ入れておき,その間に弟をかどわかす. そしてお金を受け取る役を新之介がやるという寸法だ.

伸吉は賽銭泥棒の疑いで牢屋に入れられ,刺青まで入れられた. その時銀次が「頑張りまーす」と言って放免になった. その頃,女将はやいと屋に伸吉が可哀想だとこぼしていた. 兄思いの孝助は伸吉を探すことにした.町中を歩き回った伸吉は, 兄の使いだという言葉に騙され,岡引の一味にさらわれそうになった. なんと孝助は捨三の洗濯屋に逃げ込み,そのまま立て篭もってしまった. 捨三は素早く身を隠したので存在に気付かれなかった.

岡引とおりくはぐるだった. 元々はおりくを使って伸吉から金を搾り取ろうとしていたのだが, 勘当になってしまい,計算が少し狂ってしまった. さて捨三のところに剣之介とやいと屋がやってきた. だが立て篭もった男達には気付かず,二人とも去って行った.
剣之介「ここんとこ仕事がねえんで一文なしだあ.やいと屋, ちょっと都合してくれよ.」
やいと屋「またかよ.いいかげんにしてくれよ,ほんとに.」
剣之介「次の仕事で返すよ.な,もう十日も酒呑んでねえんだ.」
やいと屋「しょうがねえな.貸すのはいいが,返すときには色つけてもらうぜ.」
剣之介「しっかりしてるな.ま,恩に着るぜ.」
やいと屋「そろそろ仕事の口がかかるかと思えばこのざまだ.ついてねえや.」
この会話は捨三の肝を冷やりとさせた.捨三は屋根瓦を外して洗濯屋を脱出. 皆を集めた.
捨三「旦那,こりゃきっと仕事になりますぜ.」
主水「馬鹿野郎.仕事場占領されて何が仕事だい.」
やいと屋「捨三,まさか勘付かれちゃいねえだろうなあ.」
捨三「てめえ達二人がつまらねえことくっちゃべってるから, こっちは気が気じゃなかったよ!」
剣之介「いずれにせよ,妙なことが小屋の中で起こったら, お前にも疑いが掛かる.」
主水「捨三,夜までに追い出しちまえ.」
捨三「でも旦那,奴ら人質抱えてるんですよ.いってえ,どうするつもりです.」
しばらく主水は思案した末,こういう作戦を思いついた. 捨三が少しだけ戸を開き,主水が十手を見せつけながら洗濯を「頼む」のだ. この脅しが聞き,連中は孝助を連れて捨三の洗濯屋から逃げていった. 捨三は子供の身を心配したが,やいと屋も剣之介も, 下手に関わり合いにならない方がいいと言って去って行った. 主水も親が銭出せば済むから仕事にならない, 下手なことすると子供の命が危ない,と乗り気ではなかった.

やいと屋のところに越後屋の番頭がやってきた.孝助が行方不明だというのだ. やいと屋は,知らないね,と番頭に答えた. お歌は剣之介達が子供を助けなかったので薄情だと言った.
剣之介「お歌,俺達は命をかけて仕事してるんだ. 気持ちだけで動くわけに行かん.」
その頃,越後屋に脅迫状が届けられていた.

主水が居酒屋の前をうろうろしていると中から千勢に手を取られ, 中に入れられた.主水は大喜び.さらに
千勢「働き盛りの中年の男の方っていいですわね. 頼りがいがあって,あたし好きですわ.」
これを聞いた主水はさらに喜んだ.そして主水は千勢を連れて帰った. そして主水は千勢に,一緒に呑んだことを内緒にするように釘を刺した. ちなみに今日はりつの誕生日.帰りが遅かったのでりつもせんも機嫌が悪かった. そこで主水はりつが前から欲しがっていた半襟を渡してやった.りつは大喜び. せんは自分の誕生日に何もくれないと嫌味を言った. りつは主水の誕生日に何をあげようかしらとのろけた.だが
千勢「遅くなってすいませんでした.中村様,今日は御馳走様でしたね. おやすみなさい.」
りつは機嫌を悪くし,せんはにやりと笑うのであった.

翌日.洗濯屋の前で主水と剣之介が出くわした.誘拐の一件が気になったのだ. 中に入ってみるとやいと屋もいた.捨三は連中の隠れ場所も探し出していた. やいと屋は勘当された兄の仕業だと睨んでいたが兄は牢屋敷の中.
剣之介「こいつは難しい仕事だな. 二人の男の手から子供を無傷で救い出そうって言うんだから.」
主水「ま,どっちにしてもただじゃ動けねえぜ.」
だが
やいと屋「そいつの方は心配いらねえよ.何しろ相手は越後屋だ. あたしが何とかしますよ.」
剣之介「銭が出るなら話は別だ. この不景気の時代に贅沢は言っちゃいられねえ.」
主水も乗り気になり,後ろで誰が糸を引いているか, 引き続き調べろと捨三に命じた.

放免になった伸吉はおりくのところに行った. その足で伸吉は岡引のところへ行き,刺青を入れられたと文句を言った. 伸吉は身代金は500両にし,折半しようと言った. 岡引は部下の粂吉(志賀勝)に越後屋へ行くように命じた. その様子を捨三がしっかり覗いていた.

越後屋と女将は孝助のことを心配していた.そして旦那が出た後で伸吉登場. 伸吉はみんな聞いてしまったといけしゃあしゃあと言った.そこへ投げ文が. 店の者一人で金を持って来いと言う.伸吉は心を入れ替え,奉公させてくれ, と言い,越後屋に頼み込んだ.越後屋は投げ文を見せ, 伸吉の差し金だと思っていた,と言った.すかさず伸吉は刺青を見せた. これに越後屋は騙されてしまった.伸吉が,命に代えても孝助を取り返す, と言ったので,越後屋は身代金を持っていく役を伸吉に頼むことにした. その様子を物陰から捨三が見ていた.

捨三から岡引の弥七が噛んでいたことなどを聞いた主水は, 早くやいと屋と剣之介に報せろと捨三に命じた.暮五つ.時間はあまりない.

越後屋は身代金の500両を伸吉に託した.そして伸吉は外へ出た. すかさずやいと屋が伸吉のあとをつけた.やいと屋の後ろに粂吉がいた. そこでやいと屋は伸吉が曲がった角を曲がらずに行ってしまった. 伸吉は弥七に分け前を要求したが,弥七に刺されてしまった. その現場にはおりくもいた.おりくは前から弥七の女だった. おりくは以前万引きをしたことがあったのを,弥七が見逃してやったのだ. そこへやいと屋がやってきたので,弥七達が逃げた.
やいと屋「しっかりしろ.」
伸吉「岡引の弥七にやられたあ.どなたか知らねえが,弟が,弟が危ねえんだ.」
やいと屋「わかった.弟さんは必ず救い出してやるから.」
伸吉「金なら…金ならここにある.恨みを…恨みを…晴らしてくれ.」
伸吉の袂から小判が零れ落ちた.

捨三,主水,剣之介は孝助の閉じ込められている場所へやってきた. 相手は一人だが匕首を持って孝助にぴったりと着いている. 剣之介は木の枝を折り,蔓と組み合わせて弓矢を作った. そこへやいと屋がやってきた.
やいと屋「案の定,弥七に殺された.恨み晴らしてくれと頼まれたんだ. 愚図愚図してると弟も危ねえ.」
金を受け取りながら主水が言った.
主水「中の奴は叩き斬ってもかまわねえなあ.」
やいと屋「ああ.それから粂吉って野郎がこっち来やがる.そいつも.」
皆早速仕事に取り掛かった.まず剣之介が弓矢を放ち, 孝助のそばにいた三下留三(島米八)を射抜いた. 留三は矢を抜こうとする隙を突かれ,主水に斬られた. 粂吉は剣之介に仕置された.捨三は孝助に目隠しし, 安全な場所へ連れて行った.
捨三「いいか,十数えたら目隠し外しな.」
孝助が目隠しを外した時には捨三の姿はなかった.

何も知らない弥七達は金を数えて大騒ぎ. そしておりくと弥七が情事している最中, やいと屋は二人に同時に鍼を刺して一辺に仕置した.

翌日.銀次が戻ってきた.牢に入れると思った銀次は二発叩かれただけ. 牢屋が一杯なのでこそ泥を買うわけにはいかないので,この措置になったのだ. 文句を言う銀次は主水にまた叩かれるのであった.

余談ですが,実はこの話が私が一番最初に見た必殺シリーズの番組です. 毎週土曜日の昼間に必殺シリーズの再放送が行なわれていたことがあり, この最後のシーンだけをチラッと見た記憶があります. その後,「仕事人大集合」を見,毎週土曜日に放送された「必殺商売人」を見て, それから月曜日から金曜日の午後4時代に放送された, 前期必殺シリーズの作品を見て必殺シリーズのファンになりました. ですから,私はこの年代にしては珍しく,後期ではなくて前期だけを見て, ファンになったというわけです.

「がんばれ! レッドビッキーズ」第33話「必勝! ありがとう作戦」

脚本は鷺山京子.監督は奥中惇夫.

レッドビッキーズの面々が練習をしているとガラの悪い連中がからかった. ノミさんの球は遅い,とか,ショートのかわい娘ちゃん,と言ってだ. 怒ったカリカリが連中と喧嘩を始めたので令子とコーチが止めた. 去り際に連中の一人,杉田がボールを投げた.投げた球は壁にめり込んだ. 連中は今度の対戦相手ブラックマンモスのメンバーだった.

令子が家に帰ってくると恵子がラブレターが着てるわよ,とからかった. だがそれはブラックマンモスと対戦して負けたバンビーズの監督からの物だった. ブラックマンモスのエース杉田の速球も重く,クリーンアップも強打者揃いで, 足も速い.令子はコーチにその手紙を見せた.

コーチはメンバーに殺人スライディングの練習をさせた. さらに殺人スライディングを避けながら送球を捕ってタッチする練習をした. そして令子はペロペロにある練習をさせた.さてタッチの練習が終わった後, コーチはダブルプレーを取るために送球を捕ってベースを踏み, 走者を避けながら球を投げる練習をした. 令子はペロペロに野次の練習をさせたが,迫力がなかった.

さて練習終了後,ジュクはペロペロにある事に協力してほしい,と言った. 翌日.全身黒ずくめで胸にブラックマンモスと書かれた格好をしてペロペロ登場. ジュクの頼んだことはこれだったのだ.ペロペロの野次は迫力満点. メンバーは野次に大声で「ありがとう!」と答える練習をした.練習終了後, ペロペロは家に来ないか,美味しいキャンディーがある,と誘ったが
シゲ「やだよ.ブラックマンモスのキャンディーなんか食えるか.」
他のメンバーもそう言って立ち去った.ジュクは引き止めようとしたが, ペロペロはがっかりしてしまった.

ジュクは令子の家へ行き,ペロペロに悪いことをした,ペロペロが可哀想だ, と令子に言った.翌日.令子はペロペロを慰めようとした.
ペロペロ「僕,いつも補欠だろう.今までの試合だって, 大して出るとこなかったし,チームのためになること,出来無かったんだ.」
令子「チームのために役に立ちたかったのね.」
ペロペロ「僕にできることって言ったら,こんなことしかないと思ってさ.」
令子「タイムリーヒットを打つだけが野球じゃないわ. 縁の下の力持ちがいなくっちゃ,勝つこともできないのよ.」
だがペロペロは黙ってキャンディーをなめてばかりだ.
ペロペロ「僕,今度の試合が終わったらチームやめるよ.」
令子「え?」
ペロペロ「試合には出られないし,みんなとは喧嘩じゃ面白くないもん.」
令子「ペロペロ.」
令子は絶句したが
令子「でも今にみんなきっとわかってくれるわよ.」

ブラックマンモスとの試合がやってきた.捕手の野次も柳に風. ナッツはフォアボールで出塁.予想通り,杉田の立ち上がりは悪かった. センターも出塁.シゲはダブルプレーに倒れたが, カリカリの一打でナッツが生還.ノミさんも続き,カリカリも生還. レッドビッキーズは2点を先制した. 裏の攻撃でランナーはカリカリに殺人スライディングを敢行. 思わず怒ったカリカリだったが
トータス「ありがとう.」
ありがとう作戦を思い出し
カリカリ「ありがとう.」
ブラックマンモスの野次には常に「ありがとう」と返す作戦だ. こうしてレッドビッキーズはブラックマンモスの挑発にも乗らず, 自分のペースを忘れなかった.そしてレッドビッキーズが一点リードし, 最終回の裏の攻撃を迎えた.だが盗塁した走者がナッツに激突. ナッツが球を落としてしまった為,盗塁は成功してしまった. ここぞとばかりにナッツをからかうブラックマンモスの連中. 妹がからかわれたので兄のブラザーの怒りが爆発してしまった. 遂に乱闘騒ぎになり,ブラザーは退場にさせられてしまった. 仕方無く令子はペロペロをレフトに起用しようとしたが, ジュクは自分がレフトに入り,ペロペロを捕手に入れる作戦を進言した. ペロペロは自信がなかったが
ジュク「相手は凄いパワーです.僕では跳ね飛ばされてしまいます. その点,君は柔道やってますから.」
ペロペロ「だって.」
コーチ「本塁を守る他,勝つ方法はないんだ.」
令子「ペロペロ,頼むわよ.」
ジュクも肯いた.
ペロペロ「うん.」
結局ペロペロが捕手に入り,ジュクがレフトに回る事になった.
ペロペロ「しまって行こう.」
ペロペロの捕球は下手で二球連続で球をこぼした.心配するジュク. それでもペロペロはブラックマンモス走者のタックルを二回も跳ね除け, 8対7でレッドビッキーズは勝利.準決勝へと駒を進めた. ナインはペロペロを賛え,シゲもペロペロに謝った.
ペロペロ「いいんだよ,もう.」
令子「良かったわね.」

次回はあのビューティースターズが相手.題して「倒せ! ビューティスターズ」 果たしてユリカボールを打つことが出来るのか?

「太陽にほえろ!」第224話「保証人」

脚本は長野洋と小川英.監督は斉藤光正.主役はボス.

ボスが行きつけの店にやってきた.女将(佐藤オリエ)は忙しそうにしていた. その頃,ゴリさんとボンが将棋をしていた.今日の宿直は長さん. ボンは置き引きの連絡があったと言っていた.バスに50万円忘れて行き, バス会社に連絡した時はもうなかったという.一方, 女将はボスに弟の大竹進(小野川公三郎)の保証人になってくれと頼んでいた. 前の会社で使い込みをしたことが原因でなかなか就職先が決まらなかったからだ. ボスはその話を承諾した.

翌日.ゴリさんは前の晩にボンとの将棋で負けたのでいらいらしていた. ボスは長さんのつけていた報告書を見て顔色が変わった. 大竹進の名が載っていたからだ.長さんが帰ろうとした時,電話が. 中央公園に男の死体が見つかったというのだ.皆が出て行った後, ボスは50万円の置き引きについて報告して欲しいと内線で電話した.

中央公園の死体は飛び降り自殺だった.遺書もあったという. さてゴリさんはボスが考え込んでいるのを見て何かあったのかと聞いた. ボスは何でもないと答えた.そこへ, 進を雇った細井製作所の工場主細井がやってきた. 置き引きの件について責任を取れというのだ.被害額は50万円. 細井は進が猫糞したと疑っていた.

ボスは工場へ行き,進と話した.ゴリさんは店へ行き,女将に話を聞いた. ボスは前日の夜に口頭で保証人になることを承諾したが, まだ保証書を書いていなかった.そこで進は焦って保証書を書いてしまったのだ. ゴリさんは文書偽造罪になる可能性があること, そしてボスの進退問題に発展する可能性があることを女将に示唆した.

ボスは進から話を聞いた.進は疲れていたのでついうとうとしてしまい, 気がついたら矢追三丁目だったので,慌ててバスから飛び降りたと言う. その後,封筒を忘れたことに気がついたという. 姉に頼んで金を弁償してもらう,どうせ金を盗んだって疑ってるんだろう, と進は投槍になっていた.
ボス「ああ,疑ってるぞ.」
進「は,は.本音が出たね,係長さんよ,え. あんたはじめっから俺の保証人になる気なんかなかったんだろう?」
ボス「だから自分で勝手に書いたのか? 俺の保証書で信用させて金を着服, 後の言い訳まで考えてたってわけか.」
進「は,は.そうと来た,そうと来た.警察ってのは, そうやって勝手に決めてかかるんだよな,へ.偉そうな顔してさ, 何が偉いんだか知らねえけどよ.」
進は自棄になって笑ったが,ボスの真剣な顔を見て黙った.
ボス「じゃあ,一つだけ聞く.お前が金を置き忘れたと気付いてから, 警察に報せるまでに二時間かかっている.その間,お前何をしてた?」
進「金を探してったと言ったら信用してくれんのかい?」
ボス「信用しよう.だって俺はお前の保証人だろう.」
沈黙が流れた.そこへ山さんがやってきた.山さんは進の狂言の可能性はないか, とボスに言った.ボスはわからないと言ったが,狂言なら, 2時間も経ってから警察に届けたり,警官に食って掛かったりしない筈だ. ボスはマンションの権利書を細井に持ってきた. 現金をそろえるのに二日ほど掛かるので, お金の代わりにこれで弁償しようというのだ. そして進を貸してくれとボスは頼んだ.

スコッチは最初から金が狙いの保証人じゃないかと言っていた. そこへ山さんが現れた.ボスが進を連れて現場検証に出かけたという. そして山さんはボスが進の保証人であることを認めたことを話した. これはボスの進退問題に発展する可能性がある.それを聞き,全員驚いた. そこで山さんはゴリさんに進の供述を説明させた. 進は石橋二丁目でバスに乗り,5つ目の矢追三丁目で降り, 忘れ物に気付いてバスをタクシーで追っかけて中川本通りで追いついた. その間の停留所は矢追二丁目,小学校前,矢追一丁目の3箇所だ. 進の供述が本当なら,この3箇所の停留所で降りた乗客が置き引きの真犯人で, しかも進の近くに座っている人物が怪しい. 進は後ろから二番目の席に座っていた.進の隣には顔形はわからないが, 若い男が座っていたことは確かだと進は供述していた.そのバスは3時50分頃. 進は4時までに会社に戻らなければならなかったので何度も時計を見ていた.
ボン「でもそこまでわかっていれば何とかね.」
スコッチはボンの楽観的な見方を否定した.
スコッチ「若い男は都内に何十万といる.」
なおもボンが抗弁すると
スコッチ「しかもその男が金を持ってったって証拠は何もないだろう.」
ゴリさん「何ごたごたごたごた言ってるんだよ.じゃ,ほっとけって言うのか?」
そこへ電話が.轢き逃げ事件が発生したというのだ.嫌がるゴリさん達を, 山さんは出動するよううながした.

ボスは進を連れ,バスに乗った.一方, ゴリさん達は轢き逃げして逃走する車を追っていた.そして見事, 轢き逃げ犯を逮捕した.さて進とボスは石橋二丁目からバスに乗り, 当日のことを思い出させようとした.石橋本町バス停にバスが止まった. 次のバス停は進が事件当日に降りた矢追三丁目だ.進の隣に老婆が座った. そして進が封筒を置いて立ち上がると,老婆は忘れ物だと言って, 進に渡した.そして「忘れ物をしたと思い出した」場所からタクシーを拾い, バスを追いかけたが石橋一丁目バス停で追いついてしまった.

女将のところに細井が現れた.そしてボスが保証人だと認めたと知り, 女将は心を痛めた.ボスと進はまたバスに乗っていた.進は封筒を置き, 立ち上がった.バスは矢追二丁目バス停を過ぎ,小学校前バス停に着いた. 進の隣に座った男は封筒を拾わず,降りていき, 入れ替わりに小学生が乗ってきた.小学生は封筒を見つけて大騒ぎ.
ボス「戻るぞ.」
進「いいかげんにしろよ.こんなこと何回繰り返したって同じことじゃないか!」
ボス「何度でもやるんだ.お前がこれに触った男を思い出すまでな.」
そのとき,進は思い出した.
進「あの男,確か自動車教習所の本を.」
そこでボスと進は自動車教習所へ行った.若い男の客は3人. とりあえず一人を進が当たることにした.残りの二人をボスが当たることにし, さらに何かわかったら署に連絡しろとボスは言った. ボスがいなくても話がわかるようにしておくと付け加えてボスは進と別れた.

2時55分.進からの連絡はなかった.そこへ殿下から電話が. 殿下の聞き込みで次のことが判った. 進の隣に座っていた蕎麦屋の店員は手前の停留所で降りたが, 封筒には気付かずに降りていた.本をずっと読んでいたため気付かず, 封筒を隠す余裕もなさそうだ.ちなみに進は蕎麦屋には現れなかった. 殿下は聞き込みを続けることにした.
ボス「進は消えたよ.」
ボスは外へ出て行った.
スコッチ「消えた…逃げられたんじゃないでしょうね,その前科者に.」
山さん「逃げられたんじゃない.だから彼を信じる.」
スコッチ「本当に心中する気なんですか,その男と.」
山さん「お前流に言えば,そうなる.」

進は競輪場にいた.ボスは女将のところに来ていた. そしてボスはボンに女将を見張らせることにした. 殿下は聞き込みを続けた.山さんも聞き込みを続けた. ゴリさんはそのバスに乗務していた運転手を探していた. そしてスコッチは毎日4時頃にあのバスに乗る母子を見つけた. 二人は毎日フランス料理教室の主婦コースに通っているのだ. 暇を持て余し,非番だというので長さんが捜査第一係室にやってきた. その頃,スコッチはバスの中の様子を例の主婦に聞いていた. 一方,殿下はいくら狭い場所とはいえ,封筒に手を出すのは勇気がいるだろう, と言った.
山さん「何か人目をそらすアクシデントがあった.」
ちょうどその頃,ゴリさんが運転手から, 矢追小学校前で人が飛び出し,急ブレーキを踏んだことを聞き出していた.

女将は遊園地で進と会っていた.女将は進をビンタした.
女将「進,判ってるの.あんたの無実証明するために, 藤堂さんがどんなに苦労なさってるか.」
進「嘘でえ.あいつ,俺を疑ってるんだ.散々人を引きずり回して, そのうち尻尾を出すだろうと思ってるんだよ.デカなんてみんな同じだよ.」
女将「そう.じゃあどうして藤堂さんは,あんた, 勝手に保証人にしたことを社長さんに話さないの?」
進「話さない?」
ボス「もういいだろう,ママ.」
ボスが現れた.ボンに女将をマークさせていたからここがわかったのだ.
ボス「俺のやってること,馬鹿に見えるか?」
進「ああ,そうだよ.あんたが本気で猫糞の犯人を探してるんだとしたら, あんなことはなお馬鹿げているよ.誰が人にわかるように猫糞するもんか. そうだろう?」
女将は進をたしなめたが
進「犯人なんて誰だっていいんだ.要するに金だよ. 俺が耳を揃えて金を返さない限り,誰も信用しちゃくれねえんだい.」
ボス「誰も信じてくれないか.世間がお前を信じないんじゃない. 人を信じられないのは,本当は進,お前の方だ.」
図星だったのか,進は黙って立ち去った.

ボスは蕎麦屋の店員に急ブレーキを踏んでつんのめった瞬間のことを聞いた. 蕎麦屋の店員は中年以上の男が後ろに座っていたことを思い出した. スコッチは例の主婦から,窓際に座っていた, 白髪混じりで黒っぽいコートを着ていた人が封筒を持っていたことを思い出した. ゴリさんはその男が遠山印刷の封筒を手にしていたことを運転手から聞き出した. 運転手の名前も遠山なので覚えていたのだ.

その夜.問題の男の住むアパートの前に進,ボス,スコッチ,殿下がやって来た. スコッチと殿下は車で去り,ボスと進は中を覗いた.
進「あの男が.」
確かに白髪混じりの中年の男だった.近くの公園にその男江崎を呼び出した. 江崎は一礼し,置き引きを認めた.頭金が四十万円足らず,困っていた. そして急ブレーキの時,封筒が前の席からずれ,お金がこぼれているのが見えた. つい魔が差して手に取ってしまったのだ.江崎は泣きながら土下座して謝った.
ボス「お金はいつ?」
江崎「明後日必ず.」
なおも江崎は何度も何度も謝っていた.

翌日.ボスは進の保証書に判を押し,工場主はボスに権利書を返した. ボスはたった一つの財産が戻ってきて一安心.
ボス「さてと,また何か起こらないうちに飯でも食いに行くか.」
皆,ボスについて行くことにした.なんと
スコッチ「あのう,たまには和食も悪くないと思います.」
ボス「スコッチ,お前まで,お前.」
からかうゴリさんと長さんにボスはヘッドロックをかけるのであった.

次回はスコッチ主役編. スコッチがああなってしまった原因となった事件で殉職した先輩刑事倉田, そして倉田の妻にかけられた疑惑とスコッチが対峙する羽目に陥ります. それはスコッチにとって辛い事件でした.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp