2001年12月22日

「太陽にほえろ!」第58話「夜明けの青春」

脚本は小川英と武田宏一,監督は竹林進. 今週放送のスコッチ編も山さん主役だったが今回も山さん主役の話. ちなみに今日もシンコは登場しない.

新宿駅西口のビルの屋上で拳銃を構えた若者が「来るな! 来たら撃つぞう!」と, 叫んでいた.山さんが説得を始めた.ゴリさんは山さんならと安心.見守るボス. だが若者は盗んだ金をばら撒き,拳銃を自分の頭に向けた.
山さん「いいかげんに強がりはよせ.降りろ.降りるんだ.」
だが若者は拳銃で頭を撃ちぬいて死んでしまった.呆然とする七曲署の面々.

この事件は新聞に大々的に報道された.出勤してきた山さんの表情は暗かった. その頃,ボスは西山署長に呼び出され,山さんを当分謹慎させろ, と命じられていた.ボスは山さんをかばった. ボスは山さんに全てを任せた自分の責任だと言った. 西山は山さんの免職も示唆したが,ボスはなおも食い下がり,去って行った. 捜査一係室に戻ったボスは,相変わらず子供の自慢話だよ,と言い, 山さんを慰めた.そこへゴリさんのところに情報屋のトクさんから電話が. 拳銃の密売が行われていると言うのだ.

ゴリさんと山さんはトクさん(上田忠好)と会った. 福永が暴力団に拳銃を密売しようと言うのだ. その情報を元に山さんは聞き込みを開始した. みのる(峰竜太)と言う男が怪しいようだ. ある店で山さんは流しの歌手みのるを見かけた. みのるは「戦友」をリクエストされたが,弾く事はできなかった. それが元でみのるは兄貴に連れ出された. みのると店の女の子なおこ(降旗文子)が目配せしあうのを, 山さんは見逃さなかった. そして外でみのるが兄貴に殴られるのを目撃.山さんが注意すると, 兄貴は山さんが刑事だと言うことを知っていた.
兄貴「犯人の説得に失敗したデカだろう.」
それを聞き,山さんは言葉を失ってしまった.

みのるを尾行したジーパンと山さんは, 公園でみのるとなおこが茄子に水をあげているところを目撃した. みのるとなおこは同郷だったのだ.茄子は大きくなっていた. もうすぐ花が咲いて実がなるぞと喜ぶ二人. 二人にとって毎朝茄子の様子をみるのが心の休まる時だったのだ. ジーパンはみのるは怪しくないと思っていた.

福永芸能社の社長福永隆三は3年前までは梶尾組の組員だった. 福永は梶尾組に拳銃を売りつけようとしていた. 一方,山さんは二郎とみのるが歌のコンテストに落ちたところを, 福永に声をかけられたことを聞き込んでいた. その頃,福永はなおこが喘息だろうと言い, 金がかかるからと仕事を持ちかけていた.

翌朝.茄子に花が咲いた.なおこと別れたみのるはタクシーに乗って行った. すかさず山さんもタクシーを拾って追いかけた. みのるは福永の家に入っていった.そこへゴリさんも現れた. するとみのるがアタッシュケースを持って出てきた. 山さんとゴリさんは車でみのるの乗ったタクシーを尾行. みのるは渋谷の宮下公園で梶尾組の男と会っていた. そして鞄を交換したところをゴリさんと山さんが襲い掛かった. 男はゴリさんに取り押さえられたが,みのるは鞄を持って逃亡. 渋谷駅から井ノ頭線ホームから電車に乗り,電車の中を逃走. そしてホームから外へ飛び降り,山さんを巻く事に成功した.

ボスはみのるを緊急手配した.福永は山さんの質問にも知らぬ存ぜぬを通した. あきらめた山さんは二郎が拳銃で頭を撃ち抜いた事や茄子の事を考えながら, 歩いていた.その頃,みのるはなおこの店に来ていた. その晩,山さんは公園の茄子を見ていた.ジーパンは来るわけないと言って, 他を探しに行ってしまったが,雨の降る中, 山さんは茄子の前にじっと立っていた.

翌朝.山さんのところに来たジーパンは, みのるが別の場所で事件を起こした事を告げた.犬を撃ち殺してしまったのだ. それでも山さんは動こうとしなかった.一方, みのるとなおこは公園のそばに来ていた.そこへ福永と部下がやってきた. 鞄を返せと言うのだ.お前に撃てるかな,と言う福永に向けてみのるは発砲. 銃声を聞いた山さんとジーパンはそこにかけつけた. みのるは山さんにも発砲し,山さんの右肩をぶちぬいた. ジーパンは福永達に襲い掛かった.ゴリさんが来ると今度はみのる達を追いかけ, 走った.山さんはみのる達を追いかけた.みのるとなおこはビルの階段を昇った. 山さんも階段を昇ったが,倒れてしまった. 駆けつけたジーパンは山さんに肩を貸し,一緒に階段を昇った. そして二郎のときと同じようにみのるとなおこは屋上に上った.
ジーパン「山さん.ボスがくるまで待ってください.」
山さん「うるさい.」
山さんは屋上に上った.
山さん「みのる.茄子が実をつけたぞ.茄子だ.お前達二人がかわいがっていた, あの小さな遊園地の片隅の茄子が,実をつけた.」
みのる「茄子が…」
山さん「それを見てもやらないのか,みのる.何もかもうまく行かない世の中で, お前達がどんな気持ちで茄子を育てたか,俺は知ってるぞ. 少なくともそれだけは俺は知っている.」
みのるとなおこはお互いを見合った.
山さん「みのる.拳銃を捨てろ. そんなことでお前の一生を台無しにするのだけはやめろ.」
みのるは号泣した.
みのる「どうしようもないじゃないか.どうしようも.」
みのるは拳銃を捨てた.飛び降りようとしたみのるだったが,
山さん「みのる,待て.」
一生懸命梯子をのぼる山さん.
山さん「みのる.」
みのる「刑事さん.」
山さん「死ぬんじゃない.死んじゃいかん. かわいい茄子にだって花は咲いたじゃないか.実もなったじゃないか. わかりあう仲間だっているんだ.生きてくれ.生きるんだ.」
力尽き梯子から落ちそうになる山さん.駆け寄ろうとしたジーパンをボスが制止.
山さん「生きるんだ,みのる.生きるんだ.」
みのるもなおこもうなずいた. こうして山さんはみのるとなおこの説得に成功した.泣くみのるとなおこを, 山さんは優しく慰めるのであった.

福永は全て自供した. なおこはボスの知り合いが信州で開いている牧場で世話になり, みのるを待つ事になった.それを聞いた一同は,安心するのであった.

次回は長さんとジーパン主役の回.長さんと同年代の中年男の悲哀を描きます. でも年内の放送は今回でおしまいです.うーん,待ちきれない.

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東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp