2001年12月15日

「太陽にほえろ!」第57話「蒸発」

脚本は鴨井達比古,監督は斎藤光正. 岡田晋吉プロデューサーが著書「太陽にほえろ! 伝説 疾走15年 私が愛した七曲署」の中でベスト・エピソード100に推す一編. セットを建て替える話があった為,ジーパンが七曲署捜査第一係室で大暴れ. 文字通り,目茶目茶にしてしまう.ちなみに今日もシンコは登場しない.

やくざが殺された事件が発生した.その直後,一人の男(山本耕一)が電話を掛け, 寺林組の石岡が犯人だと言う垂れこみの電話があった.男は, 自分が目撃したのを石岡が知っているので,早く石岡を逮捕してくれと懇願. 夕刊が出ていないというのに時刻や現場の状況を正確に話していた事から, ボスはこの情報を信じ,石岡を別件逮捕することにした. そして山さんはボケ安という「日雇い労働者」が姿をくらませたことを聞き込み, 探すことにした.彼が目撃者に違いない.山さんは情報屋から情報を買い, ジーパンと一緒に彼を探すことにした.アパートには種田山頭火の句集と, 2年前に期限の切れた運転免許証を発見.彼の名前は江原というのだ. 山さんとジーパンは免許証に書かれていた住所を元に江原の家を訪れた. ちょうど出かけるところだった江原の妻(長内美那子)に会って話を聞いた. 江原は3年前から信州で行方不明になっていた. そしてそれから2年後に白骨死体が発見され, 彼の着ていた服などが近くに残っていたので, 江原は死んだものと考えていたのだ. その頃,江原の息子はジーパンに「何で拳銃持ってないの?」と聞いていた. ジーパンは新米だからと口を濁すのであった.

山さんは江原とボケ安が同一人物だと考えていた. だが夫が失踪したのに何で死んだものと誤認しようと思ったのだろうか? そのとき,久美が話に突っ込んできた.
久美「新しい恋人でも出来たんじゃないの?」
それを聞いた山さん達は閃いた. まだ若い彼女が新しい幸せを掴もうとするのも無理はない.

ジーパンは江原家へ行き,子供と話をした. パパが帰ってきたらどうすると聞くジーパン. 子供はパパは二人も要らないからいいと答えた. 「小坂のおじちゃん」がもうすぐ新しいパパになるからだ. やはり久美の直感は当たっていたのだ. 喫茶店で江原の妻は小坂とそのことを話し,悩んでいた. それをジーパンは目撃していた.

家に帰ったジーパンはたきにその話をし,なぜ再婚しなかったのかと聞いた. たきは,母さんにはそういう相手が現れなかったからなんだよ,と言い, はにかんだ.続けてたきは,なぜ江原は帰ろうとしないんだろうね,と言った.
ジーパン「そんな奴はどこかで野垂れ死にしちゃえば良かったんだよ.」

遂に江原が見つかった.ゴリさんは警官と一緒に江原を追いかけると, 走ってきた車から拳銃で江原が狙われた.江原は病院に運び込まれた. 頭に傷を負ったが幸い軽傷だった.ジーパンは江原の妻を病室に連れてきた. 江原の妻は病室の前で躊躇したが,結局病室に入った. 江原を見た江原の妻は山さんの「ご主人ですね.」という問いに首を振った. なおも聞く殿下と山さんに向かってジーパンは言った.
ジーパン「山さん,もういいじゃないですか. 奥さんが違うって言ってるんだから.」
ジーパンは江原の妻を連れて帰った.江原も否定した. 病院へ戻るジーパンのタクシーを江原の妻くにこは呼び止めた.
くにこ「待ってください.あの人,あの人,私の主人です.」
そしてジーパンは小坂に聞いた.
ジーパン「小坂さん,あなた,あの人を幸せに出来ますか?」
小坂は「出来ます.」と答えるのであった.

寺林組に動きがあった.山さんはボケ安は江原だと見抜いていた. 家族を事件に巻き込みたくない為,否定したと考えたのだ. だがジーパンは3年も別れているのだから,そんな愛情があるわけないと否定. そして病室へ行き,殿下と見張りを交代した. そのとき,寺林組の者が医者に化けて登場した.早速格闘を開始するジーパン. 物音を聞きつけた江原はその隙に外へ出てしまった.

病院の近くの食堂で殿下は山さんと出くわした. ジーパンが代わりに見張っていると聞いた山さんは慌てて病院へ直行. 寺林組の者が囮を使うと考えたからだ.予想通り, ジーパンが格闘していたのは囮役. 別の男が医者に化けて江原のベッドを拳銃で撃ったが, ベッドに江原はいなかった.既に江原が逃げた後だったのだ.山さんは叫んだ.
山さん「ジーパン.お前が江原夫婦にどんな感情を持っているのかは知らんが, 刑事にとって大切なのは犯人逮捕よりも人命尊重なんだろう!」

その頃,小坂はくにこに新婚旅行などをキャンセルすると言っていた. 出かけたくにこと入れ替わりに江原が自宅の前に現れた. そこへジーパンも登場し,証言するよう求めた. 江原が七曲署に入るのを見て寺林組の者が七曲署に入り込んできた. ジーパンは取調室で江原を待たせ,捜査第一係室へ入った. そこにはくにこも来ていた.ジーパンはくにこを連れて取調室へ向かったが, 取調室に寺林組の手の者が乗り込んできた.逃げる江原. ジーパンは江原を守ろうとしたが,寺林組の者はくにこを盾にした.
江原「その人を放してくれ.」
そのとき,寺林組の者に隙ができた.それを見逃さず, ジーパンは襲い掛かってくにこを救出.その後, 七曲署の室内でジーパンは寺林組の者と格闘した.窓ガラスは割れ, ドアも戸も滅茶苦茶.黄色いペンキがこぼれて壁や窓は黄色になり, 阿鼻叫喚の様を呈した.

その後,ボスは西山署長に呼び出され,油を絞られた. ジーパンは悩んでいた.江原家のことをめちゃめちゃにしたのではないかと.
山さん「俺も一度はあったよ.蒸発したいことが.」
そこへ,江原からジーパンに手紙が届けられた.江原は自由になりたかったこと, くにこの幸せだけを願っていること,探さないで欲しいことなどが書かれていた. やるせない気持ちになるジーパン.そのとき, ボスは缶ビールを皆に渡して乾杯した. 缶ビールを飲むジーパンはボスに肩を叩かれ, 思わずビールをこぼしそうになるのであった.

「2001年12月」へ 「テレビ鑑賞記」へ 「私の好きなテレビ番組」へ 「touheiのホームページ」へ戻る.


東平 洋史 E-Mail: hangman@basil.freemail.ne.jp